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誣
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し
ふりがな文庫
“
誣
(
し
)” の例文
民を
誣
(
し
)
い、
条
(
じょう
)
(教えの個条)に
違
(
たが
)
い、法を犯した罪によって、かの牡丹燈を焼き捨てて、かれらを
九泉
(
きゅうせん
)
の獄屋へ送るというのであった。
世界怪談名作集:18 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
瞿佑
(著)
「罪ありと我を
誣
(
し
)
いるか。何をあかしに、何の罪を数えんとはする。
詐
(
いつわ
)
りは天も照覧あれ」と
繊
(
ほそ
)
き手を抜け出でよと空高く挙げる。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
誣
(
し
)
ひるに謀反を以てしたのではあるから、「虚言を心中に巧みにし」と将門記の文にある通りで、将門の罪せらる
可
(
べ
)
き理拠は無い。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
されば逍遙子まことにわれを以て人を
誣
(
し
)
ふるものとし、常識なきものとし、資格を重ぜざる時弊に染みたるものとなさむとするときは
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
蓋
(
けだ
)
しこの下田条約は、我邦外交史中における一大関鍵にして、維新開国の主脳、断じてここに在りというも、また
誣
(
し
)
いざるなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
▼ もっと見る
民を
誣
(
し
)
い、条にたがい、法を犯した罪によって、かの牡丹燈を焚き捨てて、かれらを九泉の獄屋へ送るというのでありました。
中国怪奇小説集:14 剪灯新話(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
俺は今に怨みに思っておるぞ! 事実を
誣
(
し
)
い、俺に濡れ
衣
(
ぎぬ
)
を着せたあげく、俺の股へ斬り付け、躄者になる原因を作ったな。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
符氏の女死して尚お
貪婬
(
たんいん
)
なり、生ける時知るべし。況んや金蓮の怪誕なる、明器を仮りて以て
矯誣
(
きょうふ
)
し、世を惑わし民を
誣
(
し
)
い、条に違い法を犯す。
牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
既に
無辜
(
むこ
)
の人を殺してなお足れりとせず、更にこれに罪悪を
誣
(
し
)
いんとす。これ実に第二の謀殺を行うもの。殺親罪を弁護するはこれを犯すより難し。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
唯、予が告白せんとする事実の、余りに意想外なるの故を以て、
妄
(
みだり
)
に予を
誣
(
し
)
ふるに、神経病患者の名を
藉
(
か
)
る事
勿
(
なか
)
れ。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
、ことさらに
誣
(
し
)
いて、彼をこの土地の農民扱いにして、そうして、ちょうさんの罪を着せて晒し者にしたということの処分が、どうも呑込めないのです
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
天子は驚いてそれを調べてみると、
旒冕
(
そべん
)
は
糜藁
(
きびわら
)
の
心
(
しん
)
で編んだもので、
袞竜
(
こんりょう
)
の服は敗れた黄ろな
風呂敷
(
ふろしき
)
であった。天子は王給諌が人を
誣
(
し
)
いるのを怒った。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
〔譯〕
誣
(
し
)
ふ可らざる者は人情なり、
欺
(
あざむ
)
く可らざる者は天理なり、人皆之を知る。
蓋
(
けだ
)
し知つて而して未だ知らず。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
また誹謗と
弁駁
(
べんばく
)
とその間に
髪
(
はつ
)
を
容
(
い
)
るべからず。他人に曲を
誣
(
し
)
うるものを誹謗と言い、他人の惑いを解きてわが真理と思うところを弁ずるものを弁駁と名づく。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
世に狡獪
姦佞
(
かんねい
)
の輩あり、国家権威の
鞏固
(
きょうこ
)
を唱道するを
誣
(
し
)
いて専権圧制の論となす、大識見を備うる者にあらざるよりは、それよく惑わすところとならざらんや。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
能く職分を守つて吠える者は直ぐ狂犬だと
誣
(
し
)
ひて殺して了う時勢では公の恩沢は今更のやうに渇仰するよ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
塩谷先生は菊乃さんが自殺したと説をなす者を故人を
誣
(
し
)
いるものだとお考えのようであるが(同氏手記「宿命」——晩香の死について——週刊朝日八月十二日号)
安吾人生案内:06 その六 暗い哉 東洋よ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「死んだ方に悪い! 貴女はまだ死者を蔑まうとなさるのですか。死者を
誣
(
し
)
ひようとなさるのですか。」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
浅膚
(
あさはか
)
な邪推とは言ひながら、人を
誣
(
し
)
ふるも
太甚
(
はなはだし
)
い! 失敬千万な、気を着けて口をお
利
(
き
)
きなさい
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
諺
(
ことわざ
)
にいう、「地獄の道も金次第なり」と。実に金は一種不思議の神力を有すというべし。その力、またよく知者を愚にし、才子を鈍にし、人を欺き、事を
誣
(
し
)
うるも自在なり。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
むろん偽善の一方法ともなり得るが、しかし恐らくは世の中のことで偽善になり得ないものはあるまい。柔和を偽善と
誣
(
し
)
うるならば、それと同じく
剛毅
(
ごうき
)
もまた偽善に供することが出来る。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
すなわち彼らは彼を
剽窃
(
ひょうせつ
)
者だと
誣
(
し
)
いた。彼の作品や無名な音楽家らの作品の中から、勝手な部分を選み取ってきていい加減に変装さした。そして彼は他人の
霊感
(
インスピレーション
)
を盗んだのだと証明した。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
僕が自分のところへ出入する作家に対して、まるで卒業生の就職口を世話するやうに芥川賞を推せんするなどといふのは、僕を
誣
(
し
)
ひる事甚しいとともに、他の委員を侮辱するものであらう。
芥川賞の人々
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
われらが闇を闇として安んずることができると
誣
(
し
)
うるのはきっとみずから欺いているのである。われらはその本性上光を愛するものである。
悉皆
(
しっかい
)
のものみな仏性を帯びているのに相違ない。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あたかもイエス御自身が宮を毀つと言われたかのごとくに
誣
(
し
)
いたのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
この年少巡査があえて我を
誣
(
し
)
いんとする念慮のあるのでもなく、また罪人を
悪
(
にく
)
む情が
烈
(
はげ
)
しいのでもなく、単に職務に熱誠であるため、自ら抑うることの出来ない血気に
逸
(
はや
)
るのであることを知った。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
江戸の都人は最も
惨澹
(
さんたん
)
たる
天変地妖
(
てんぺんちよう
)
に対してもまた滑稽諧謔の辞を
弄
(
ろう
)
せずんば
已
(
や
)
む
能
(
あた
)
はざりしなり。滑稽の精神は徳川時代三百年を通じて一貫せる時代精神の一部たりしや
遂
(
つい
)
に
誣
(
し
)
ふべからざるなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は吾人を
誣
(
し
)
ひて吾人の思はざることを思ひたるが如く言へり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
他の取る所の者は一理の存するなきが如くに
誣
(
し
)
ゆるもの誰ぞ。
頑執妄排の弊
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
天保五年は我国近年の大雪なりしゆゑ、右の
話
(
はなし
)
誣
(
し
)
ふべからず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
博徒の
頭
(
かしら
)
が参り、父と、密談いたしおりましたが、突然父が、『
汝
(
おのれ
)
、来栖勘兵衛、執念深くもまだ、この有賀又兵衛を、裏切り者と
誣
(
し
)
いおるか!』
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
村役人はかねてから王の才能を尊敬して、篤行の士と言うことを知っていたので、西隣の父親のいうことは
誣
(
し
)
いごとだといって、
杖
(
むち
)
で打たそうとした。
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
余はすでにこれを信ず。あに黙々たるを得んや。たとい世の吾人を
誣
(
し
)
いて吾人を罪せんと欲するも、余は甘んじてその誣うるに任せ、その罪するに任ずるなり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「死んだ方に悪い! 貴女はまだ死者を
蔑
(
さげす
)
もうとなさるのですか。死者を
誣
(
し
)
いようとなさるのですか。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
但し故意に事実を誤ったり
誣
(
し
)
いたりすることは決してない、その辺を御承知の上で御一読を願いたい。
生前身後の事
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それを云ったように
誣
(
し
)
いるのはいつもの川島の意地悪である。——こう思った彼は悲しさにも増した
口惜
(
くや
)
しさに一ぱいになったまま、さらにまた
震
(
ふる
)
え泣きに泣きはじめた。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
余国は知らず、常陸から此の解文は出しさうも無いことであつた。少くとも常陸では、将門謀反の由の言を幸ひとして、
虚妄
(
きよまう
)
にせよ将門を
誣
(
し
)
ひて
陥
(
おとしい
)
れさうなところである。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
況
(
いわ
)
んや金蓮の怪
誕
(
たん
)
なる、
明器
(
めいき
)
を仮りて以て
矯誣
(
きょうぶ
)
し、世を
惑
(
まど
)
わし
民
(
たみ
)
を
誣
(
し
)
い、条に
違
(
たが
)
い法を犯す。
狐
(
きつね
)
綏綏
(
すいすい
)
として
蕩
(
とう
)
たることあり。
鶉
(
うずら
)
奔奔
(
ほんぽん
)
として良なし、
悪貫
(
あくかん
)
已
(
すで
)
に
盈
(
み
)
つ。罪名
宥
(
ゆる
)
さず。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
鴉は何を叫んで狼を
誣
(
し
)
ゆる積りか分らぬ。只時ならぬ血潮とまで見えて
迸
(
ほと
)
ばしりたる酒の
雫
(
しずく
)
の、胸を染めたる恨を晴さでやとルーファスがセント・ジョージに誓えるは事実である。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
狼や「ジヤカル」から発達したといふのは嘘だよ。我々同類を
誣
(
し
)
ゆるものだよ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
イエスをば神を
冒涜
(
ぼうとく
)
したる者として宗教的犯罪をもって
誣
(
し
)
い、総督に対しては、「自称ユダヤ人の王」、すなわちローマ皇帝に対する政治的反逆の罪を犯したものである、として訴えたのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
またあるいは小人姦夫がことさらにこれを
誣
(
し
)
いて邪説なりと伝うあり。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
わしがその剣を隠匿したように
誣
(
し
)
いられたが……それにしても、栞や、よくそなた、この剣を目付け出してくれたのう
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
吾人
(
ごじん
)
が
曩
(
さ
)
きに描き来りし彼の父母伯叔の風を見るものは、必らず彼の
自
(
みず
)
から語る所の
誣
(
し
)
いざるを知らん。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
かう云ふと、
切支丹
(
きりしたん
)
宗門の信者は、彼等のパアテルを
誣
(
し
)
ひるものとして、自分を
咎
(
とが
)
めようとするかも知れない。が、自分に云はせると、これはどうも、事実らしく思はれる。
煙草と悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さりとて全部を
誣
(
し
)
うるのは、全部を
讃
(
ほ
)
めるのと同じように拙策である。そこで勝の持っていた一部分の技能、つまり剣術だけをウンと讃めて、他の技能をそれで隠そうとした。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
此
(
これ
)
は是れ
伊川
(
いせん
)
みずから
此
(
この
)
説を造って禅学者を
誣
(
し
)
う、伊川が良心いずくにか
在
(
あ
)
る、と云い、
管
(
かん
)
を以て天を
窺
(
うかが
)
うが如しとは
夫子
(
ふうし
)
みずから
道
(
い
)
うなりと云い、
程夫子
(
ていふうし
)
崛強
(
くっきょう
)
自任
(
じにん
)
す、聖人の道を伝うる者
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「なに事とも知らず」と答えたるは、アーサーを欺けるにもあらず、また
己
(
おのれ
)
を
誣
(
し
)
いたるにもあらず。知らざるを知らずといえるのみ。まことはわが口にせる言葉すら知らぬ間に
咽
(
のど
)
を
転
(
まろ
)
び
出
(
い
)
でたり。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「和尚さん、そんなことを言ってこの方を
誣
(
し
)
いては困ります」
老狐の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
寧
(
むし
)
ろ
人麻呂
(
ひとまろ
)
以来の短歌であり、
芭蕉
(
ばせを
)
以来の俳句である。それを小説や戯曲ばかり幅を
利
(
き
)
かせてゐるやうに
誣
(
し
)
ひられるのは少くとも善良なる僕等には甚だ迷惑と言はなければならぬ。
変遷その他
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
誣
漢検1級
部首:⾔
14画
“誣”を含む語句
讒誣
誣告
誣言
矯誣
誣服
誣罔
誣告罪
誣妄
誣奏
讒誣罵詈
誣頼
誣言事
侮誣
誣告者
訕誣
擠陥讒誣
御誣頼