“四(し)” の例文
そういううちも、四(し)丁目の三味線太鼓早間(はやま)に賑々しく地囃子が、水銀(みずがね)いろをした暮春の夕闇をかき乱すように聞こえてくる。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
そうして、越中守がよろめきながら、とうとう、四(し)の間(ま)の縁に仆(たお)れてしまうと、脇差(わきざし)をそこへ捨てたなり、慌ててどこか見えなくなってしまった。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その城(しろ)あとのまん中に、小さな四(し)っ角山(かくやま)があって、上のやぶには、めくらぶどうの実(み)が虹(にじ)のように熟(う)れていました。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
四(し)の五(ご)のいう必要はないでしょう。あなたの近親のために、むかしの友達が迷惑をしているとしたら、それくらいのことをやってくださるのが当然よ。
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
細竹に筒をさして、四(し)もんと、四つ、銭の形を描き入れて、傍(そば)に草鞋(わらじ)まで並べた、山路の景色を思出した。
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「四(し)イ百(しゃア)く余州を挙(こ)うぞる、十う万ン余騎の敵イ、なんぞおそれンわアれに、鎌倉(かまくーら)ア男児ありイ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
それでは貴様(あなた)は宇宙に神秘なしと言うお考(かんがえ)なのです、要之(つまり)、貴様には此(この)宇宙に寄する此人生の意義が、極く平易明亮(めいりょう)なので、貴様の頭は二々(ににん)が四(し)で、一切(いっせつ)が間に合うのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「さよう。四(し)、五日(ごんち)行かないうちにそう急に変るわけもなさそうですが、まあ行ってみるか」
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「見えたればこそ起したのだ。四(し)の五(ご)をいわずに立て。出て失(う)せろ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四(し)には、はた巖根(いはね)の小百合(さゆり)
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
四(し)の宮(みや)くぐれば貉堀(むじなぼり)
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その城あとのまん中の、小さな四(し)っ角(かく)山の上に、めくらぶどうのやぶがあってその実がすっかり熟している。
マリヴロンと少女 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
一(いち)の谷(たに)、二(に)の谷(たに)、三(さん)の谷(たに)、四(し)の谷(たに)かけて、山々(やま/\)峰々(みね/\)縱横(じうわう)に、荒(あ)れに荒(あ)るゝが手(て)に取(と)るやう、大波(おほなみ)の寄(よ)せては返(かへ)すに齊(ひと)しく、此(こ)の一夜(いちや)に北國空(ほくこくぞら)にあらゆる雪(ゆき)を、震(ふる)ひ落(おと)すこと、凄(すさ)まじい。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
主筆 でっぷり肥(ふと)った四(し)十前後の紳士(しんし)。
或恋愛小説 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「もう、明けて四(し)になります」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「へへへ、こいつばかりゃ犬も食わねえ、いや、四(し)寸ずつ食(あが)りまし。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「第四(し)とうしやう、ニツケルメタル。」
かしはばやしの夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「明けて四(し)になったのさ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「第四(し)とうしょう、ニッケルメタル。」
かしわばやしの夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)