)” の例文
めたりはせんのじゃ。野に咲くすがたを持って来て、こう気をもって水へ投げ入れる。——だからまずこの通り、花は死んでいない
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
洋傘かうもりがさは二本あつても、一本を高田氏に呉れてやつたら事は済む。「真理」が二つあつたら、博士は首をめなければならなかつたらう。
今は憂鬱ゆううつ眉根まゆねを寄せて苦い薬を飲まされたような、くびめられた人のような、神秘な表情をしているのですが、私は彼女のこの寝顔が大へん好きでした。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
飛びついて抱こうとする手がこわばって動かない。化鳥けちょうのごとく飛びかかった、緋の扱帯しごきくうつかんで、自分の咽喉のどめようとするのを、じっとおさえて留めました。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そこで唸っているのは佐原屋さんか? まるでめ殺されるような声を出すじゃないか」
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
彼様あんなはアかてえ義理を立てる人はねえ、此の前彌次郎やじろううちとり喜八きはちめたっけ、あの時おふくろが義理が立たねえって其の通りの鶏を買ってねえばなんねえと、幾ら探しても
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一体浪花節語なにはぶしかたりは、首をめられたあひるのやうに、一生に一度出せばよい声を、ざらに絞り出すので誰でもが病的になつてしまふ。
人々は、彼の人物を惜しんだが、王允は獄に下して、ゆるさなかった。そのうちに何者かのために獄の中でめ殺されてしまった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
佐原屋清五郎は頸に巻きつけている蕃拉布で、力まかせに頸をめられて死んでいた。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
泥除どろよけかじりつくまでもなく、與曾平よそべいこしつて、はたたふれて、かほいろ次第しだいかはり、これではかへつて足手絡あしてまとひ、一式いつしき御恩ごおんはうじ、のおともをとおもひましたに、かなはぬ、みんなくびめてくれ
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
白粉おしろいのにおいを思って暴れる血をめころすように抑えて眠る努力は、剣の前に見る敵とはちがって彼も、どうすることもできないのである。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ロツクフエラアは子供の言つた事を繰返し/\、首をめられた家鴨あひるのやうな顔をして、暫くは其処そこ衝立つゝたつてゐたさうだ。
「おのれ、誰に頼まれて、われわれの御主人を暗討やみうちしようとした。申せ。じつかさねばめ殺すぞ」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と首をめられたやうな声をして我鳴つたが、運転手の方でも負けぬ気になつて
三浦義連よしつらは、菅六のすぐ側にいたので、馬上から襟がみをつかんで引寄せ、め殺しかねない顔をした。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自己の余生を全く自身でめ殺しているような心理になってしまったものらしいのである。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜならば、もういつもの半狂乱のていになった田弓は、そこに仲よく遊んでいる頑是がんぜない二人の幼児おさなごを、ころしかねない血相で抱きしめ、手に、懐剣を抜いているからだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
麻の葉しぼりの扱帯しごきで首をめ殺されている十五か、六ごろの、痛々しい、雛妓おしゃくの死骸が、うごかないむごさと、冷たい美しさを持って、老先生の眸のなかへ、反射的に、飛びこんで来た。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
突然、寝ている朱実がめ殺されでもするようにさけんで
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)