“くに”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クニ
語句割合
34.8%
故郷16.8%
郷里12.7%
10.4%
10.1%
故国2.6%
郷国1.9%
1.9%
故里1.6%
0.9%
郷土0.7%
0.5%
垢膩0.5%
内地0.3%
祖国0.3%
国土0.3%
0.2%
郷國0.2%
久邇0.2%
領土0.2%
久弐0.2%
他国0.2%
六合0.2%
古郷0.2%
国家0.2%
国郷0.2%
國土0.2%
地方0.2%
0.2%
日本0.2%
清国0.2%
田舎0.2%
社稷0.2%
米国0.2%
邦土0.2%
郷藩0.2%
領域0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、おくにのため、なかのためにはたらく、りっぱな人間にんげんとなってください。これが、わたしからみなさんにもうしあげる最後さいご言葉ことばです。
中学へ上がった日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みちの二三丁も歩いたが、桂はその間も愉快に話しながら、国元くにもとのことなど聞き、今年のうちに一度故郷くにに帰りたいなどいっていた。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
東京の女中! 郷里くにで考へた時は何ともいへぬ華やかな樂しいものであつたに、……ういへば自分はまだ手紙も一本郷里へ出さぬ。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
もちろん海抜六百尺をもって最高点となすユトランドにおいてはわがくにのごとき山国やまぐににおけるごとく洪水の害を見ることはありません。
きことにしてかねやらんせうになれ行々ゆく/\つまにもせんと口惜くちをしきことかぎくにつけてもきみさまのことがなつかしくにまぎれてくに
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
故国くにでは英語は一切使いませんけれど、仏蘭西語は子供の時から習ってましたから、この学校が都合がよろしかったのです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
ちぎれた雲の間を通して丁度日本の方で見るような青い空の色を望むことも出来た。つくづく岸本は郷国くにを離れて遠く来たことを思った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そしてこの恍惚こうこつたる場面は、わたしが今そこへ向って急いで出かけようとしているあの真の夢のくにのもっと奔放な光景に、わたしを適応させているのだ
仙は故里くにの石の巻で松前通いに乗ってたことがあると、いつか自身でしゃべっていたのを、ふっと、思い出したんで——。
然れども比婆須ひばす比賣の命、弟比賣おとひめの命、二柱を留めて、その弟王おとみこ二柱は、いと醜きに因りてもとくにに返し送りたまひき。
臺所では、お米をいでゐる女中が、はやり唄をうたつて夢中だ。湯殿では、ザアザア水音をさせて、箒をつかひながら、これも元氣な聲で、まけずに郷土くにの唄をうたつてゐる。
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
豐葦原ノ千五百秋ちいほあき瑞穗みづほノ國ハ、我ガ子孫うみのこきみタルベキくにナリ、いまし皇孫すめみまゆきしらセ。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
土ぼこり、垢膩くにはそそけて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
そうすれば、まるッきり簡単に「生れた時」とちっとも変らない赤裸になって、おっぽり出された。内地くにへ帰れなくなる。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
これぞこれ、に顕れしアラビヤが祖国くに精神こころぞ!
最後の䬻別はなむけそちに進ぜる! 『現世において安心を得、後世成仏じょうぶつせんと思わば、神のくにに属しまつる御一方おんひとかたより、許すとの一言承われ!』
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「またこのようにご記憶くだされい。『神のくにに属する御一方おんひとかたに、許すとのお言葉うけたまわるまでは、死ぬことの出来ぬ男』じゃと。……」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……で、二人で湯を沸して、飯を喰ひ乍ら、僕は今から乞食をして郷國くにへ歸る所だツて、何から何まで話したのですが、天野君は大きい涙を幾度も/\こぼして呉れました。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
石本君、生別又兼死別時せいべつまたかねしべつのとき、僕は慇懃に袖を引いて再逢さいほうの期を問ひはせん。君も敢てまたその事を云ひ給ふな。ただ別れるのだ。別れて君は郷國くにへ歸り、僕は遠い處へ行くまでだ。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
大伴家持が紀女郎きのいらつめに贈ったもので、家持はいまだ整わない新都の久邇くに京にいて、平城ならにいた女郎に贈ったものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「今しらす久邇くにみやこいもに逢はず久しくなりぬ行きてはや見な」(巻四・七六八)というのもある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
この王の高き領土くにを襲いぬ
この領土くにあるじせり。
『倭名鈔』の郷名には駿河富士郡久弐くに郷がある。また備後びんご御調みつぎ郡、周防すおう玖珂くが郡、筑前の糟屋かすや郡ともに柞原郷があって、後の二つは明らかにクハラと訓んでいる。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
藪原長者の抱妓かかえこの中に鳰鳥におどりという女が現われてからは、その顔だけでも拝もうとして、近在の者はいうまでもなく遠い他国くにからも色餓鬼いろがきどもが、われも我もと押し出して来て、夜も昼も大変な雑沓ざっとうじゃ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
抑又はたまた塩土老翁しほつちのをぢに聞きしに曰く、東に美地よきくに有り、青山四周よもにめぐれり、……われおもふに、彼地そのくには必ずまさに以て天業あまつひつぎのわざ恢弘ひろめのべ天下あめのした光宅みちをるに足りぬべし、けだ六合くに中心もなかか。……何ぞきてみやこつくらざらむや。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「私しゃ気の毒でたまらない。実に察しる。これで、平田も心残りなく古郷くにへ帰れる。私も心配した甲斐かいがあるというものだ。実にありがたかッた」
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
家の旦那さまだってそうでねえか、みんながああたてまつるちうのもな、ええか、あれは旦那さまが国家くにのお役をちゃんと勤めあげさっした奏任官そうにんかんさまだからだぞ……。
とうとう樋口をくどいて国郷くにに帰してしまったのは。
あの時分 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「我が身は成り成りて、成り餘れるところ一處あり。かれこの吾が身の成り餘れる處を、汝が身の成り合はぬ處に刺しふたぎて、國土くに生み成さむと思ほすはいかに」
よし此の地方くにが湿潤に過ぎるとしても
御釜の音なかりしは、祝部等はふりたちが身の清からぬにぞあらめ。既に聘礼しるしを納めしうへ、かの四三赤縄せきじようつなぎては、あたある家、ことなるくになりともふべからずと聞くものを。
『つい昔話むかしばなし面白おもしろさに申遲まうしおくれたが、じつ早急さつきふなのですよ、今夜こんや十一はん滊船きせん日本くにかへ一方いつぱうなんです。』
それでも、おしかさんは、みんなが別格にあしらっていたほど、近衛さんの思いものだったから、丁汝昌は清国くにへかえってからも、纏綿てんめんの情をしたためてよこしたといった。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
多分喀血に吃驚して田舎くにの父母を呼んだのであらう。その面会人が病人の父母であることは一見しただけで明かである。
続重病室日誌 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
一二八公叔座こうしゆくざ病のゆかにふしたるに、魏王みづからまうでて手をとりつも告ぐるは、一二九むべからずのことあらば、誰をして一三〇社稷くにを守らしめんや。
外国人は矢ツ張り目がえて居りますのネ、ゼームスつて洋琴オルガンを寄附した宣教師さんがネ、米国くにへ帰る時、ぜんの奥様に呉々くれぐれも仰つしやつたさうですよ、山木様は余り悧巧りかうだから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
あっちの邦土くにだれにも見せないと、意地悪くとおせんぼうをしているようにも見える位だ。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「お一人ではすみません。お家を、お郷藩くにを——。」
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そりゃ君、仏蘭西フランスへ帰ることは疑問さ。しかし仏蘭西フランスにばかり日が照りはしないよ。大洋は万人の領域くにで、港に事を欠かぬ。そこでは危険も幸運も共通だ。おれ達は自由に生きようではないか。