“ふるさと”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
故郷75.0%
故里10.6%
古里6.3%
古郷2.9%
郷土1.4%
郷里0.5%
南海0.5%
故國0.5%
日本0.5%
旧里0.5%
本郷0.5%
東京0.5%
生国0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お通もふと、まぶたを赤らめた。想う人の姉と聞くからに懐かしいのに、故郷ふるさとの日の憶い出や何や、急に胸へこみ上げて来たのであろう。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼等は少しでも金を作って、故里ふるさとの村に帰ろう、そう思って、津軽海峡を渡って、雪の深い北海道へやってきたのだった。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
突堤の先端に立っている警羅けいらの塔の入口から、長靴をいた二本の足が突き出ていた。参木は一人になるとベンチにもたれながら古里ふるさとの母のことを考えた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
さてはそらごとにあらじ、古郷ふるさとを出て三百里に及べば、かかる奇異のことにも逢ふ事ぞ、さらば宿り求めんとて、あなたこなた宿を
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
イタリアの二の岸の間、汝の郷土ふるさとよりいと遠くはあらざる處にいかづちの音遙に下に聞ゆるばかり高く聳ゆる岩ありて 一〇六—一〇八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そしてはまた、郷里ふるさとを想い、自分達の活動を想い、淋しい生活を振り返って、感慨無量かんがいむりょうの涙にくれるに相違ないのです。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
郷里ふるさとあこがれ、春の陽光ひかりを待ちわびている孤独な人達が、そろそろ雪が消えて、まばらに地肌ぢはだが見えかけて来た時、雪間ゆきまがくれに福寿草の咲いているのを見たら、どんなによろこぶことでしょう。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
歸らんか南海ふるさと
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
昨日きのふはからずも天外てんぐわい萬里ばんりわが同胞どうほうにめぐりひ、あだかてんのなせるがごと奇縁きえんにていま優美やさし春枝夫人はるえふじん可憐かれんなる日出雄少年等ひでをせうねんらおなふねおな故國ふるさとかへるとはなにたる幸福しあはせであらう。
そのさま/″\の奇觀きくわんをもほどながめたれば、これよりなつかしき日本ふるさとかへらんと、當夜そのよ十一はん拔錨ばつべう弦月丸げんげつまるとて、東洋とうようゆき滊船きせん乘組のりくまんがため、くに名港めいかうネープルスまでたのは
夜半観測の間合まあいなどには暖炉に向いながら、旧里ふるさとあずけ置きたる三歳の小児しょうにが事など始めて想い起せし事もありたり。
山上憶良やまのうえのおくら大唐もろこしにいたとき、本郷ふるさと(日本)を憶って作った歌である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
東京ふるさとの寄席の灯遠き夜長かな
寄席風流 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
牛乳屋ちちやの物食う口は牛七匹と人五人のみのように言いしは誤謬あやまりにて、なお驢馬ろば一頭あり、こは主人あるじがその生国ふるさと千葉よりともないしという、このには理由わけある一もつなるが
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)