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ふるさと
ふりがな文庫
“
故郷
(
ふるさと
)” の例文
いまの
巡礼
(
じゅんれい
)
は、
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
え、
河
(
かわ
)
を
渡
(
わた
)
り、
野原
(
のはら
)
を
過
(
す
)
ぎ、
村々
(
むらむら
)
をいって、
自分
(
じぶん
)
の
故郷
(
ふるさと
)
に
着
(
つ
)
くには、いつのころであろうと
考
(
かんが
)
えられたのです。
二番めの娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お通もふと、
瞼
(
まぶた
)
を赤らめた。想う人の姉と聞くからに懐かしいのに、
故郷
(
ふるさと
)
の日の憶い出や何や、急に胸へこみ上げて来たのであろう。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の父方の叔母は、
故郷
(
ふるさと
)
の真宗の寺の住持の妻になって、つい去年まで生きて居たが、彼は
儒教実学
(
じゅきょうじつがく
)
の家に育って、仏教には遠かった。
地蔵尊
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
と昔語りに話して聞かせた
所為
(
せい
)
であろう。ああ、薄曇りの空低く、見通しの町は
浮上
(
うきあが
)
ったように見る目に浅いが、
故郷
(
ふるさと
)
の山は深い。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
豊吉は大川の流れを見
下
(
お
)
ろしてわが
故郷
(
ふるさと
)
の景色をしばし見とれていた、しばらくしてほっと
嘆息
(
ためいき
)
をした、さもさもがっかりしたらしく。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
彼の父方の
叔母
(
おば
)
は、
故郷
(
ふるさと
)
の真宗の寺の住持の妻になって、つい去年まで生きて居たが、彼は儒教実学の家に育って、仏教には遠かった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あとを弔ひに
故郷
(
ふるさと
)
の出雲崎に帰つたときには、弟妹達も大きくなつてゐたので、それほどお母さんの死を、ひどく感じはしなかつたのに。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
故郷
(
ふるさと
)
なしには生きられないほど国の方にある一切のものの恋しかった時。一日二日の絶食を思うほど旅費も乏しく心もうら悲しかった時。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
たださえ、人をこころの
故郷
(
ふるさと
)
に立ち返らさずにはおかない
黄昏
(
たそがれ
)
どき……まして、ものを思う身にはいっそう思慕の影を深める。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
心の
故郷
(
ふるさと
)
を
日出
(
ひいず
)
る
方
(
かた
)
に望む者が、今も
活
(
い
)
きながらえ、古い信仰の記念を持ち伝え、または栄えて新らしい世に立とうとしているであろうか。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
……だけどね、なよたけ、そこには僕達の新しい
故郷
(
ふるさと
)
が待っている。……そこには懐しいお父上が僕達の来るのを待っていて下さるんだよ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
まことは満船の客英人ならぬは敷島のやまとの国を
故郷
(
ふるさと
)
として帰る七人と、
独逸
(
ドイツ
)
人
一人
(
ひとり
)
、
西班牙
(
スペイン
)
人
一人
(
ひとり
)
、
仏蘭西
(
フランス
)
人一組の夫婦あるのみに
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
思へば六とせそのかみに、
妙
(
たへ
)
の
御法
(
みのり
)
ををさめんと、わが
故郷
(
ふるさと
)
を後にして、
深雪
(
みゆき
)
の山に
旅寝
(
たびね
)
して、ボウダの国に入りにしが、今また雪の山に来て
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
この上、
銭
(
せん
)
なくして能く不憂、能く便ち酔はれては、俺達も早々に住み慣れたる
故郷
(
ふるさと
)
を逐電しなければならなくなるであらうと私は、泣かされた。
酒盗人
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
いざ
惠林寺
(
ゑりんじ
)
の櫻見にといふ人はあるまじ、
故郷
(
ふるさと
)
なればこそ年々の夏休みにも、人は箱根伊香保ともよふし立つる中を
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女はさら也、男も十人に七人は
是
(
これ
)
也。しかれども
住
(
すめ
)
ば
都
(
みやこ
)
とて、
繁花
(
はんくわ
)
の江戸に奉公する事
年
(
とし
)
ありて
後
(
のち
)
雪国の
故郷
(
ふるさと
)
に
皈
(
かへ
)
る者、これも又十人にして七人也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
涙を払う源氏の手の色が、掛けた黒木の
数珠
(
じゅず
)
に引き立って見える美しさは、
故郷
(
ふるさと
)
の女恋しくなっている青年たちの心を十分に緩和させる力があった。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
故郷
(
ふるさと
)
の水のことごと、柳河や橋のことごと、たまゆらと、空ゆ
一期
(
いちご
)
と、我が見ると、飛ぶと
翔
(
かけ
)
ると、我が
和子
(
わこ
)
連れぬ。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
屍
(
かばね
)
となって野に横たわる苦痛、その身になったら、名誉でもなんでもないだろう。
父母
(
ちちはは
)
が恋しいだろう。祖国が恋しいだろう。
故郷
(
ふるさと
)
が恋しいだろう。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
あまりに
故郷
(
ふるさと
)
の事心もとなく候程に、召使ひ候夕霧と申す女を下さばやと思ひ候。いかに夕霧、あまりに故郷心もとなく候程に、おことを下し候べし。
謡曲と画題
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
姉を頼りにして上京したのが、明治卅五年の四月、
故郷
(
ふるさと
)
の雪の山々にも
霞
(
かすみ
)
たなびきそめ、都は春たけなわのころ、彼女も妙齢十七のおりからであった。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
あゝラチオ
人
(
びと
)
の
榮
(
さかえ
)
よ——汝によりて我等の言葉その力の
極
(
きはみ
)
をあらはせり——あゝわが
故郷
(
ふるさと
)
の
永遠
(
とこしへ
)
の實よ 一六—一八
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
一日半日の間も置きさえすれば
忽
(
たちまち
)
にして十年も見なかった
故郷
(
ふるさと
)
のように訳もなく無限の興味を感じさせるのである。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
八さんのおかみさんとはちがつた天人であるから、
故郷
(
ふるさと
)
の天へ帰りたくてたまらないのでと言つてきかせました。
子良の昇天
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
まして
故郷
(
ふるさと
)
の事をも知らず、寝ても覚めても念佛三まいに月日を送っていましたので、あなたがたにお目にかゝるのも今日が始めてのような訳なのです。
三人法師
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それは丁度、使ひ古して疲労困憊した観念が、その
故郷
(
ふるさと
)
に帰滅してゆくかのやうな懐しさを持つものであつた。
黒谷村
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
久し振で
故郷
(
ふるさと
)
の
香
(
にほひ
)
を
嗅
(
か
)
いだ様で嬉しかつたが、
飯
(
めし
)
は其割に
旨
(
うま
)
くなかつた。御給仕に出た下女の顔を見ると、是も主人の言つた通り、臆病に出来た眼鼻であつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
故郷
(
ふるさと
)
の
消息
(
おとずれ
)
聞く
由
(
よし
)
もなし、東京なる大原満は小山夫婦と中川兄妹の尽力によりて近頃新なる家に引移れり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「わが
故郷
(
ふるさと
)
を恋うる歌」‼ 楽譜の題は斯うでした! 私の眼から熱い涙がその時一度に流れました。
沙漠の歌:スタンレー探検日記
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
荒涼
(
こうりょう
)
たる心の中、さすらい尽した魂に射し込む夕焼けの色は、西の空に
故郷
(
ふるさと
)
ありと思う身にとって、死んでその安楽の故郷に帰れと教えぬばかりの色でありました。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
近来飛騨に銀山が
拓
(
ひら
)
かれて、坑夫を募集しているという噂を
聞込
(
ききこ
)
んだので、彼は同じ仲間の
熊吉
(
くまきち
)
と云う老坑夫を
誘
(
さそ
)
って、殆ど三十年
振
(
ぶり
)
で
故郷
(
ふるさと
)
の土を踏んだのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
男の顔は悲しげで、
故郷
(
ふるさと
)
恋しいというようでした。霧の多いロンドンでは、めったに太陽を見ることが出来ないので、男はきっと印度で見なれた太陽を見に上って来たのでしょう。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
秩父の山に落ちる赤い夕日が一面に野を染めて木々の梢には安静が宿るとき、私は魂の
故郷
(
ふるさと
)
への旅人のような寂しいけれど安らかな気持につつまれて小さい声で祈の言葉を口にした。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
ミミにあいたやあの妹に、おかへゆきたやあの
故郷
(
ふるさと
)
へ、そしてききたやあの鐘の音
ルルとミミ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
とだけん
(著)
世移り
人失
(
ひとう
)
せぬれば、都は今は
故郷
(
ふるさと
)
ならず、滿目奮山川、
眺
(
なが
)
むる我も元の身なれども、變り果てし盛衰に、憂き事のみぞ多かる世は、嵯峨の里も樂しからず、高野山に上りて早や
三年
(
みとせ
)
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
その願望は、普通の意味の、恋敵、嫉妬、復讐、という感情とは、はるかにかけ離れた、女同士の心の秘密、心の
故郷
(
ふるさと
)
をさぐりあてる純粋な動機に、いつか、変っていたといってよい。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
いでや浮島のヱネチアに往かん、わたつみの
配
(
つま
)
てふヱネチアに往かん。神よ、我をして復た羅馬に歸らしむること
勿
(
なか
)
れ、我記念の墳墓を
訪
(
とぶら
)
はしむること勿れ。さらば羅馬、さらば
故郷
(
ふるさと
)
。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
自分の心の
故郷
(
ふるさと
)
であり、見たこともないところの、
久遠
(
くおん
)
の恋人への思慕である。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
頑丈な
相模女
(
さがみをんな
)
で、三十五、六の働きもの、給金を溜めて、
故郷
(
ふるさと
)
に歸るほかには樂しみはないといつた、
醜
(
みにく
)
い女ですが、こんな女は妙に性根がすわつてゐて、お先つ走りの才女肌の女より
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
故郷
(
ふるさと
)
にて
保則
(
やすのり
)
様、十一月二十三日の御他界から百日の間、都に通じる松並木の道を毎夜参りますうちに、冬は過ぎ春がおとずれ、いまでは、もう、松の花の気はいがするようになりました。
玉章
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
故郷
(
ふるさと
)
を離れる事が出来ないので、七年という実に面白い気楽な生涯をそこで送り、
極
(
ごく
)
おだやかに往生を
遂
(
とげ
)
る時に、僕をよんで、これからは兼て
望
(
のぞみ
)
の通り、船乗りになっても
好
(
よい
)
といいました。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
参詣の
奉教人衆
(
ほうけうにんしゆう
)
が介抱し、それより
伴天連
(
ばてれん
)
の憐みにて、寺中に養はれる事となつたげでござるが、何故かその身の
素性
(
すじやう
)
を問へば、
故郷
(
ふるさと
)
は「はらいそ」(天国)父の名は「でうす」(天主)などと
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人はいさ心も知らず
故郷
(
ふるさと
)
は花ぞ昔の香に匂ひける (春上、貫之)
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
故郷
(
ふるさと
)
の山に向ひて 言ふことなし 故郷の山は 有り難きかな
札幌時代の石川啄木
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
雲の
彼方
(
あなた
)
の
蘆薈
(
ろくわい
)
花咲く
故郷
(
ふるさと
)
へ、
故郷
(
ふるさと
)
へ、ねえ、
故郷
(
ふるさと
)
へ……。
北原白秋氏の肖像
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
御社
(
みやしろ
)
の尾白の馬の今日も
猶
(
なほ
)
痩せず豆
食
(
は
)
む
故郷
(
ふるさと
)
を見ぬ
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
心は
故郷
(
ふるさと
)
に戻ったような安息を覚えるのだ。
五月の空
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
わが
故郷
(
ふるさと
)
は、
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
蝉
(
せみ
)
の
小河
(
をがは
)
にうはぬるみ
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
まことになれが
故郷
(
ふるさと
)
はなほかなたに遠し
故郷の花
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
何にもあれわが
故郷
(
ふるさと
)
の
光景
(
ありさま
)
を
北村透谷詩集
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
故
常用漢字
小5
部首:⽁
9画
郷
常用漢字
小6
部首:⾢
11画
“故郷”で始まる語句
故郷元
故郷人
故郷心
故郷薄
故郷表
故郷許
故郷飾錦伊達織