“いなか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
田舎94.0%
地方1.7%
故郷1.3%
田舍1.3%
郷里0.4%
否乎0.2%
居無0.2%
田野0.2%
辺鄙0.2%
郷土0.2%
(他:1)0.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
細君のものにしては少し派出はで過ぎるが、これは多少景気のいい時、田舎いなかで買ってやったものだと今だに記憶している。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これが彼が北の田舎いなかから始めて倫敦ロンドンへ出て来て探しに探し抜いて漸々ようようの事で探してた家である。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「その方と別れたから、それでかなしくなって地方いなかへ行ってしまうのじゃないの、ええ、じゃなくって?」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なぜか、——地方いなかは分けて結婚期が早いのに——二十六七まで縁に着かないでいたからです。
雪霊記事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『手紙を書いていたから、飛脚屋へ行って、故郷いなかへ金を送りに行ったのかもしれない。そんな用事だけは、自分でそっと出かけるから』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何国どこか知らないが故郷いなかには息子の月の給料を待っている老父母があるかもしれない。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とつさんはるけれど田舍いなか實家じつかかへつて仕舞しまつたからいま祖母おばあさんばかりさ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ふくろ田舍いなか嫁入よめいつたあねところ引取ひきとつてもらひまするし
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あたしは、こんな事をしていて好いのかと、自分の胸をむしっている。郷里いなかへ帰ったからって、好いものは書けやしない。やッぱりあたしは、美妙せんせいのそばにいなければいけないのだ。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「山東です。姓は張、名は用。談天口だんてんこうとも号していますが売卜ばいぼくは本業ではありません。郷里いなかではじゅの寺小屋をひらいており、たまたま、遊歴の旅費かせぎに、好きな筮卜ぜいぼくをとって、特にお望みの方だけに見て上げておるような次第でして」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あなたがおいででなかったら、先生が果してあの偉大なトルストイと熟された乎、否乎いなか、分かりません。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
若しそれほど抜目なく気の附く曲者なら自分の髪の毛を握られて居る事にも必ず気が附く筈です然るに髪の毛に気が附かず其儘握らせて有たのは唯う死骸さえ捨れば好いとドギマギして死骸を担ぎ出したのです(荻)フム爾だ所持品を隠す位なら成る程髪の毛も取捨る筈だシテ見るとはじめから持物は持て居無いなかったのかナ(大)イエ爾でも有ません持て居たのです
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「かつては自分も、禁軍三万をひきつれて、征途のみちを、こうして行軍したものだが、まだいちども田野いなかの郷民が、こんなに王軍へ歓呼するような景色に出会ったことはない……。これがまことの野の声というものか」と。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年来としごろ大内住うちずみに、辺鄙いなかの人ははたうるさくまさん、かのおんわたりにては、何の中将、宰相などいうに添いぶし給うらん、今更にくくこそおぼゆれ」などと云ってたわむれかかると
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
たいがいな藩の留守役というものは、交際上、派手はでで門戸を張って、家族の生活までが、都風に化されていたが、小野寺家は、京の町中にありながら、殆ど、郷土いなかの風をそのまま、一儒者じゅしゃの住居ぐらいな小門とまがきの中に、ただ清潔と簡素を誇って暮していた。
いなかの珍らしい娘の目にはさすがにこの景色が面白いと見えて、たびたびああいい景色と賞めた。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)