故郷いなか)” の例文
『手紙を書いていたから、飛脚屋へ行って、故郷いなかへ金を送りに行ったのかもしれない。そんな用事だけは、自分でそっと出かけるから』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
特に故郷いなかを恋しがつてゐらつしやるお方にはここに蒸立ての栗も用意してございます。
果物屋の広告文 (新字旧仮名) / 仲村渠(著)
稲荷町には、かよった情婦いろもあるだろう。何国どこか知らないが故郷いなかには息子の月の給料を待っている老父母があるかもしれない。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おあんさんというのは彼が故郷いなかで知っている人だった。この天野山金剛寺の附近にとついでいるというので、彼女が分ったら、亡母の位牌いはいとかたみ髪を金剛寺へ納めて供養して貰おうという考え。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(すこし、故郷いなかへ行って、養生ようじょうをしては何うか)
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おめえの故郷いなかへ訪ねて行ったらどうだろう」
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)