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ふりがな文庫
“
故里
(
ふるさと
)” の例文
萩に伏し
薄
(
すすき
)
に
靡
(
なび
)
く
故里
(
ふるさと
)
を
流離人
(
さすらいびと
)
はこんな風に
眺
(
なが
)
める事がある。故里を離れぬ藤尾は何を眺めているか分らない。母は椽を曲って近寄った。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼等は少しでも金を作って、
故里
(
ふるさと
)
の村に帰ろう、そう思って、津軽海峡を渡って、雪の深い北海道へやってきたのだった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
深山ニ入テ仙法ヲ学ビ松ノ葉ヲ食シカツ
薜茘
(
へいれい
)
ヲ服セリ、一旦
空
(
くう
)
ニ
騰
(
のぼ
)
ツテ
故里
(
ふるさと
)
ヲ飛過グルトテ、タマタマ婦人ノ足ヲ以テ
衣
(
きぬ
)
ヲ踏洗フヲ見タリシニ
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は時々
故里
(
ふるさと
)
のことを思ひ出さずにゐられなかつた。どうかした日は妙に父のことが案じられた。私は佐世保へ来てから一度父には手紙を出した。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
喜ばしきは、わが
故里
(
ふるさと
)
にて、独逸、
仏蘭西
(
フランス
)
の語を学びしことなり。彼等は始めて余を見しとき、いづくにていつの間にかくは学び得つると問はぬことなかりき。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
その度に堂内に安置された昔のままなる
賓頭盧尊者
(
びんずるそんじゃ
)
の像を
撫
(
な
)
ぜ、幼い頃この小石川の
故里
(
ふるさと
)
で私が見馴れ聞馴れたいろいろな人たちは今頃どうしてしまったろうと
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
手形は多く
外國文
(
とつくにおん
)
もて
認
(
したゝ
)
めたるに、境守る兵士は
故里
(
ふるさと
)
の語だによくは知らねば、檢閲は甚しく手間取りたり。瞳子青き男は
帖
(
てふ
)
一つ取出でゝ、あたりの景色を寫せり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
富貴栄達を
厭
(
いと
)
う沢庵は、江戸に下って、柳営の一顕僧となるのを余り好まなかったらしい。但馬の
故里
(
ふるさと
)
に、簡素な
草廬
(
そうろ
)
を結んで、静かに風月を友としたかったのである。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ、二人でよく
故里
(
ふるさと
)
鎌倉
(
かまくら
)
の
浜辺
(
はまべ
)
をあるいている
夢
(
ゆめ
)
をみる。ふたりとも一言も
喋
(
しゃべ
)
りはしない。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
さうだ、わたしは今夢をみてゐたのだ、
故里
(
ふるさと
)
の吾
古家
(
ふるや
)
のことを。
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
みちのくのわが
故里
(
ふるさと
)
に帰り来て
白頭翁
(
おきなぐさ
)
を掘る春の山べに
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
かの
故里
(
ふるさと
)
をかしまだち、ひとへに夢む、道遠き
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
彼女は
懐
(
なつか
)
しい
故里
(
ふるさと
)
の野の歌を口ずさむ
傷心
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
停車場
(
ていしゃば
)
の、地図に指あて
故里
(
ふるさと
)
と
郷愁
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
家に
故里
(
ふるさと
)
に かえりたい心は
休日に:――工場に働く女工さん達に捧ぐ――
(新字新仮名)
/
藪田忠夫
(著)
これが私の
故里
(
ふるさと
)
だ
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
喜ばしきは、わが
故里
(
ふるさと
)
にて、
独逸
(
ドイツ
)
、
仏蘭西
(
フランス
)
の語を学びしことなり。彼らは始めて余を見しとき、いずくにていつのまにかくは学び得つると問わぬことなかりき。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ほかからくれる十円近くの金は
故里
(
ふるさと
)
の母に送らなければならない。
故里
(
ふるさと
)
はもう
落鮎
(
おちあゆ
)
の時節である。ことによると
崩
(
くず
)
れかかった
藁屋根
(
わらやね
)
に
初霜
(
はつしも
)
が降ったかも知れない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
われはまことにおん身の上を氣遣へり。何事にか遭ひ給ひしならば、包まずわれに語り給へ。
故里
(
ふるさと
)
の
文
(
ふみ
)
をや得給ひし。ベルナルドオが創のためにみまかりしにはあらずやと云ふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
かの
故里
(
ふるさと
)
をかしまだち、ひとへに夢む、道遠き
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
かへりそびれし
故里
(
ふるさと
)
の思出か。
偏奇館吟草
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
否、君を思ふ心の深き
底
(
そこひ
)
をば今ぞ知りぬる。君は
故里
(
ふるさと
)
に頼もしき
族
(
やから
)
なしとのたまへば、此地に善き世渡のたつきあらば、留り玉はぬことやはある。又我愛もて繋ぎ留めでは
止
(
や
)
まじ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
暖
(
あたゝ
)
かい
汁
(
しる
)
の
香
(
か
)
を
嗅
(
か
)
いでゐる時に、又
故里
(
ふるさと
)
の母からの書信に接した。又例の
如
(
ごと
)
く
長
(
なが
)
かりさうだ。洋服を着換へるのが面倒だから、
着
(
き
)
たまゝの
上
(
うへ
)
へ袴を
穿
(
は
)
いて、
懐
(
ふところ
)
へ手紙を入れて、
出
(
で
)
る。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その後數年の間は、
故里
(
ふるさと
)
にありしが、伊太利の戀しさは始終忘れがたく、このたびはいよ/\思ひ定めて再遊の途に上りぬ。こゝはわが心の故郷なり。色彩あり、
形相
(
ぎやうさう
)
あるは、伊太利の山河のみなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
文
(
ふみ
)
をば
否
(
いな
)
という字にて起したり。否、君を思う心の深き
底
(
そこい
)
をば今ぞ知りぬる。君は
故里
(
ふるさと
)
に頼もしき
族
(
やから
)
なしとのたまえば、この地に
善
(
よ
)
き世渡りのたつきあらば、
留
(
とど
)
まりたまわぬことやはある。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
高柳君は巻紙を出して、今度は
故里
(
ふるさと
)
の
御母
(
おっか
)
さんの所へ手紙を書き始めた。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
暖かい
汁
(
しる
)
の
香
(
か
)
をかいでいる時に、また
故里
(
ふるさと
)
の母からの書信に接した。また例のごとく、長かりそうだ。洋服を着換えるのがめんどうだから、着たままの上へ
袴
(
はかま
)
をはいて、懐へ手紙を入れて、出る。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“故里”の意味
《名詞》
故里(こり、ふるさと)
ふるさと。
(出典:Wiktionary)
故
常用漢字
小5
部首:⽁
9画
里
常用漢字
小2
部首:⾥
7画
“故”で始まる語句
故
故郷
故意
故障
故事
故国
故人
故々
故実
故智