“つち”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ツチ
語句割合
39.2%
27.8%
19.0%
6.3%
1.5%
土地1.3%
粘土0.4%
鉄槌0.4%
0.4%
0.4%
土壌0.2%
土塊0.2%
土砂0.2%
地球0.2%
地胆0.2%
地面0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
道土0.2%
金槌0.2%
鐡槌0.2%
鐵槌0.2%
陶土0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのひかりは、なかばつちにうずもれているためか、それほどのつよかがやきではなかったけれど、かれ注意ちゅういをひくに十ぶんだったのであります。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
肩に懸けたる手をば放さでしきりゆすらるるを、宮はくろがねつちもて撃懲うちこらさるるやうに覚えて、安き心もあらず。ひややかなる汗は又一時ひとしきり流出ながれいでぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
天心の月は、智恵子の影を短くつちしるした。太鼓の響と何十人の唄声とは、その月までも届くかと、風なき空に漂うてゆく。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何よりは、そなたに取って、共につちを持ち、刀の鍛錬をきわめるに、よい相手がない。弟子もない。それを環は苦にしていやる。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
影の如き人ありて、つちふるひ石をたゝむが如し。その人を見れば、色蒼ざめて黒き髯長く生ひたり。これ話に聞きし猶太教徒なるべし。積み疊ぬる石は見る見る高くなりぬ。
小山は、支配人が興味を持つことなら、もう十年間も土地つちを踏んだことのない内地の、新聞紙上だけの政治にも、なか/\興味をよせた。——よせた振りを見せた。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
武蔵は、だまって、心のうちだけで、粘土つちまみれの翁に、頭を下げてそこの軒を離れた。坂を仰ぐと清水寺の崖道が見える——
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七歳の鍛冶屋かじやの小僧で、鼻の両わきにすすをつけ、肩に、柄の長い鉄槌つちをかついでいた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金の如き水楊のわくら葉を振り乱して、かもが幾十羽となく、むらがって魚を喰べに来るというほどの、静かな谷になって、青々とした森林は、肥沃な新火山岩の分解した土が、その根をつちかっている
日本山岳景の特色 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
それもあるならひなりしてやかはりたるゆきすみおろかなことくもつちほど懸隔けんかくのおびたゞしさ如何いか有爲轉變うゐてんぺんとはいへれほどの相違さうゐれがなんとしてのつくべきこゝろおに見知みししの人目ひとめいとはしくわざ横町よこちやうみち
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
新しく掘り返されたような土壌つちと、根を出している雑草と、扁平たいらの磐石と、息絶えたらしい典膳の姿とがあるばかりであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その声はまたも岩の下から、いや、岩の下の地の底から、一本の銀の線かのように、土壌つちを貫き、岩を貫いて聞こえて来た。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
黒くて柔らかい土塊つちを破って青い小麦の芽は三寸あまりも伸びていた。一団、一団となって青い房のように、麦の芽は、野づらをわたる寒風さむかぜのなかに、溌溂はつらつと春さきの気品を見せていた。
麦の芽 (新字新仮名) / 徳永直(著)
蒸す様な草いきれと、乾いた線路の土砂つちの反射する日光とで、額は何時しか汗ばんだ。静子の顔は、先刻さつき怡々いそいそした光が消えて、妙に真面目に引緊つてゐた。小妹共はモウ五六町も先方さきを歩いてゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
葛上亭長まめ芫青あお地胆つち、三種合わせた、猛毒、はだえあわすべき斑蝥はんみょううちの、最も普通な、みちおしえ、魔のいた宝石のように、炫燿ぎらぎらと招いていた。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お定は、露を帯びた裏畑を頭に描き出した。ああ、あの紫色な茄子の畝! 這ひはびこつた葉に地面つちを隠した瓜畑! 水の様な暁の光に風も立たず、一夜さを鳴き細つた虫の声!
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
山のうるはしとふも、つちうづたかき者のみ、川ののどけしと謂ふも、水のくに過ぎざるを、ろうとして抜く可からざる我が半生の痼疾こしつは、いかつちと水とのすべき者ならん、と歯牙しがにも掛けずあなどりたりしおのれこそ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
支那太古の民、つちを撃ちながら歌つた「日出でゝ作り、日入つて息ひ、井をうがちて飲み、田を耕して食ふ。帝力我に何かあらんや」
吾等の使命 (新字旧仮名) / 石川三四郎(著)
大鮏は三尺あまりもあるものゝ鮁狂はねくるふゆゑ魚楑なつちといふものにてかしらを一打うてば立地たちまち死す。こゝになる事は、此魚楑といふもの馬のつめをきりたるつちにあらざればせず。
だから土地に肥料を施す如く、人は色々な文句を作ってこれ等の情をつちかうのだ。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
白い乾いた路上の土に、大の字なりふんぞりかえっている異形いぎょうの人物! パッサリと道土つちをなでる乱髪の下から、貧乏徳利の枕をのぞかせて……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そも/\諸天の運行とその力とは、あたかも鍛工かぢより鐡槌つちわざのいづるごとく、諸〻のたふとき動者うごかすものよりいでざるべからず 一二七—一二九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
く——ああ鐵槌つち
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
だめだだめだ若い奴らは、五年もこの山にむとカサカサになって寒巌枯骨かんがんここつのていたらくだ、陶土つちあぶら艶気つやけもなくなってくる。そんな野郎は茶人相手の柿右衛門かきえもんの所へ行ッちまえ。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)