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土
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つち
ふりがな文庫
“
土
(
つち
)” の例文
土
(
つち
)
一升、
金
(
かね
)
一升の日本橋あたりで生れたものは、さぞ自然に恵まれまいと思われもしようが、全くあたしたちは
生花
(
きばな
)
の
一片
(
ひとひら
)
も愛した。
旧聞日本橋:22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その
光
(
ひかり
)
は、なかば
土
(
つち
)
にうずもれているためか、それほどの
強
(
つよ
)
い
輝
(
かがや
)
きではなかったけれど、
彼
(
かれ
)
の
注意
(
ちゅうい
)
をひくに十
分
(
ぶん
)
だったのであります。
三つのかぎ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
土
(
つち
)
の
上
(
うへ
)
に
散
(
ち
)
らばつてゐる
書類
(
しよるゐ
)
を
一纏
(
ひとまとめ
)
にして、
文庫
(
ぶんこ
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
い
)
れて、
霜
(
しも
)
と
泥
(
どろ
)
に
汚
(
よご
)
れた
儘
(
まゝ
)
宗助
(
そうすけ
)
は
勝手口
(
かつてぐち
)
迄
(
まで
)
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
た。
腰障子
(
こししやうじ
)
を
開
(
あ
)
けて、
清
(
きよ
)
に
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
苦
(
にが
)
い/\
藥
(
くすり
)
でしたが、お
腹
(
なか
)
の
痛
(
いた
)
い
時
(
とき
)
なぞにそれを
飮
(
の
)
むとすぐなほりました。お
藥
(
くすり
)
はあんな
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
の
土
(
つち
)
の
中
(
なか
)
にも
藏
(
しま
)
つてあるのですね。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
土
(
つち
)
土用が過ぎて、
肥料
(
こやし
)
つけの馬の手綱を執る樣になると、もう自づと男羞しい少女心が萠して來て、盆の踊に夜を明すのが何より樂しい。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
丘窪の冬の
棚田
(
たなだ
)
はねもごろにうれしき棚田。寂び寂びて明るき棚田。たまさかに鶸茶の刈田、小豆いろ、温かきいろ、うち
湿
(
しめ
)
る珈琲の
土
(
つち
)
。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
法被
(
はつぴ
)
を
着
(
き
)
た
寺
(
てら
)
の
供
(
とも
)
が
棺桶
(
くわんをけ
)
を
卷
(
ま
)
いた
半反
(
はんだん
)
の
白木綿
(
しろもめん
)
をとつて
挾箱
(
はさんばこ
)
に
入
(
いれ
)
た。
軈
(
やが
)
て
棺桶
(
くわんをけ
)
は
荒繩
(
あらなは
)
でさげて
其
(
そ
)
の
赤
(
あか
)
い
土
(
つち
)
の
底
(
そこ
)
に
踏
(
ふ
)
みつけられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
(
為様
(
しやう
)
がないねえ、)といひながら、かなぐるやうにして、
其
(
そ
)
の
細帯
(
ほそおび
)
を
解
(
と
)
きかけた、
片端
(
かたはし
)
が
土
(
つち
)
へ
引
(
ひ
)
かうとするのを、
掻取
(
かいと
)
つて
一寸
(
ちよいと
)
猶予
(
ためら
)
ふ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それらの
器物
(
きぶつ
)
は
今日
(
こんにち
)
ではたいてい
土
(
つち
)
に
埋
(
うづ
)
もれて
見
(
み
)
えなくなつたり、
壞
(
こは
)
れてなくなつてしまつて、
遺
(
のこ
)
つてゐるものは
甚
(
はなは
)
だ
少
(
すくな
)
いのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
縁側に腰かけて、ジャピイの頭を
撫
(
な
)
でてやりながら、目に
浸
(
し
)
みる青葉を見ていると、情なくなって、
土
(
つち
)
の上に坐りたいような気持になった。
女生徒
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
おや/\と
思
(
おも
)
ひながら、
猶
(
なほ
)
念
(
ねん
)
を
入
(
い
)
れて
土
(
つち
)
を
取
(
と
)
つて
見
(
み
)
ると、
把手
(
とつて
)
の一
部
(
ぶ
)
のみ
缺
(
か
)
けて
他
(
た
)
は
完全
(
くわんぜん
)
なる
土瓶
(
どびん
)
であつた。(第三圖イ參照)
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
貧
(
まづ
)
しい
店前
(
みせさき
)
には
※
(
おほがめ
)
の
甲
(
かふ
)
、
鰐
(
わに
)
の
剥製
(
はくせい
)
、
不恰好
(
ぶかっかう
)
な
魚
(
うを
)
の
皮
(
かは
)
を
吊
(
つる
)
して、
周圍
(
まはり
)
の
棚
(
たな
)
には
空箱
(
からばこ
)
、
緑色
(
りょくしょく
)
の
土
(
つち
)
の
壺
(
つぼ
)
、
及
(
およ
)
び
膀胱
(
ばうくわう
)
、
黴
(
か
)
びた
種子
(
たね
)
、
使
(
つか
)
ひ
殘
(
のこ
)
りの
結繩
(
ゆはへなは
)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
夢中
(
むちゅう
)
で
振
(
ふ
)
り
払
(
はら
)
ったお
蓮
(
れん
)
の
片袖
(
かたそで
)
は、
稲穂
(
いなほ
)
のように
侍女
(
じじょ
)
の
手
(
て
)
に
残
(
のこ
)
って、
惜
(
お
)
し
気
(
げ
)
もなく
土
(
つち
)
を
蹴
(
け
)
ってゆく
白臘
(
はくろう
)
の
足
(
あし
)
が、
夕闇
(
ゆうやみ
)
の
中
(
なか
)
にほのかに
白
(
しろ
)
かった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
受し者なればお里のお豐は
洗濯
(
せんたく
)
をし又惣内の甚兵衞は
日傭
(
ひよう
)
に
駈歩行
(
かけあるき
)
手紙使
(
てがみづかひ
)
や
土
(
つち
)
こね
草履
(
ざうり
)
取又は
荷物
(
にもつ
)
を
擔
(
かつ
)
ぎ何事に依ず
追取稼
(
おつとりかせぎ
)
を爲し漸々其日を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
太い女だ、ひどい
奴
(
やつ
)
があるもんだ、どうかしてもう一度
江戸
(
えど
)
の
土
(
つち
)
を
踏
(
ふ
)
み、
女房
(
にようばう
)
子
(
こ
)
に
会
(
あ
)
つて死にたいものだ、お
祖師様
(
そしさま
)
の
罰
(
ばち
)
でも
当
(
あた
)
つたのかしら。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
診察
(
しんさつ
)
せし
窒扶斯患者
(
ちぶすくわんじや
)
に
感染
(
かんぜん
)
して、
惜
(
を
)
しや
三十路
(
みそぢ
)
にたらぬ
若
(
わか
)
ざかりを
北海道
(
ほくかいだう
)
の
土
(
つち
)
に
成
(
な
)
しぬ、
風
(
かぜ
)
の
便
(
たよ
)
りにこれを
聞
(
き
)
きしお
園
(
その
)
の
心
(
こヽろ
)
。
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
左の手には
若
(
わき
)
雷居り、右の手には
土
(
つち
)
雷居り、左の足には
鳴
(
なる
)
雷居り、右の足には
伏
(
ふし
)
雷居り、并はせて八くさの雷神成り居りき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
そして、ちよつと
息
(
いき
)
を
入
(
い
)
れたやうな
樣子
(
やうす
)
をすると、
今度
(
こんど
)
はまた
頭
(
あたま
)
と
前脚
(
まへあし
)
を
盛
(
さかん
)
に
動
(
うご
)
かしながら
掘
(
ほ
)
り
返
(
かへ
)
した
土
(
つち
)
で
穴
(
あな
)
を
埋
(
う
)
め
出
(
だ
)
した。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
舟
(
ふね
)
ができ
上
(
あ
)
がると、うさぎは木の
舟
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
りました。たぬきは
土
(
つち
)
の舟に
乗
(
の
)
りました。べつべつに
舟
(
ふね
)
をこいで
沖
(
おき
)
へ出ますと
かちかち山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
掘
(
ほる
)
とは
椈
(
ぶな
)
の木にて作りたる
木鋤
(
こすき
)
にて
土
(
つち
)
を
掘
(
ほる
)
ごとくして
取捨
(
とりすつ
)
るを
里言
(
りげん
)
に雪を掘といふ、
已
(
すで
)
に初編にもいへり。かやうにせざれば雪の
重
(
おもき
)
に
屋
(
いへ
)
を
潰
(
つぶす
)
ゆゑなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
かうなると
大雨
(
おほあめ
)
が
降
(
ふ
)
るたびに、
山
(
やま
)
の
土
(
つち
)
や
砂
(
すな
)
はどん/\
流
(
なが
)
れおち、またおそろしい
洪水
(
こうずい
)
がおこるようになりました。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
平次は手に取つて見ましたが、それは極めて良質の小判で、少し
土
(
つち
)
が附いて居る外には何んの變りもありません。
銭形平次捕物控:303 娘の守袋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金魚鉢
(
きんぎょばち
)
は、ぐるりに、
白
(
しろ
)
い
砂
(
すな
)
をしきつめてある。
砂
(
すな
)
をはらいのけると、
埋
(
う
)
めたと
見
(
み
)
せた
鉢
(
はち
)
が、すぽりと
土
(
つち
)
から
抜
(
ぬ
)
きとれるようになつているのがわかつた。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
そのとき、盛遠の
眸
(
ひとみ
)
は、
土
(
つち
)
くれに近い
亡骸
(
なきがら
)
から、突然、はるかな空へ、ひかれていた。——いつか、かれの真正面に、まっ
紅
(
か
)
な太陽が、さし昇っていた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おゝこの
集団
(
しふだん
)
が
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はすところ、
中国
(
ちうごく
)
と
日本
(
にほん
)
の
圧制者
(
あつせいしゃ
)
が
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
り、
犠牲
(
ぎせい
)
の××
(1)
は二十二
省
(
しやう
)
の
土
(
つち
)
を
染
(
そ
)
めた
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
この
時
(
とき
)
涙
(
なみだ
)
はらはらと
湧
(
わ
)
いて
来
(
き
)
た。
地面
(
ぢめん
)
に
身
(
み
)
を
伏
(
ふ
)
せ、
気味
(
きび
)
の
悪
(
わる
)
い
唇
(
くちびる
)
ではあるが、
土
(
つち
)
の
上
(
うへ
)
に
接吻
(
せつぷん
)
して
大声
(
おほごゑ
)
に
叫
(
さけ
)
んだ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
アンモニアはほねからとりますが、ほねのかわりに、うまのつめのけずりくずを、たくさんもらってきて、とっくりの
中
(
なか
)
に
入
(
い
)
れ、
外
(
そと
)
がわに
土
(
つち
)
をぬりました。
福沢諭吉:ペンは剣よりも強し
(新字新仮名)
/
高山毅
(著)
本文
(
ほんもん
)
にはさんだ、
三葉
(
さんえふ
)
の
銅版画
(
どうばんぐわ
)
の中には、「英国俳優ヂオフライ
空窖
(
くうかう
)
へ
幽囚
(
いうしう
)
せられたる図」と云ふのがある。その
画
(
ゑ
)
が又どう見ても、
土
(
つち
)
の
牢
(
らう
)
の
景清
(
かげきよ
)
と云ふ気がする。
本の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大体
(
だいたい
)
は
地上
(
ちじょう
)
の
庭園
(
ていえん
)
とさしたる
相違
(
そうい
)
もございませぬが、ただあんなにも
冴
(
さ
)
えた
草木
(
そうもく
)
の
色
(
いろ
)
、あんなにも
香
(
かん
)
ばしい
土
(
つち
)
の
匂
(
にお
)
いは、
地上
(
ちじょう
)
の
何所
(
どこ
)
にも
見受
(
みう
)
けることはできませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
然るに又一方に於て福地のプクは、韓語のフーク又はフク即ち
土
(
つち
)
に通じ、チは蒙古語では人の義であるが、日韓共に威力ある神霊の尊称又は貴人の敬称となっている。
マル及ムレについて
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そして
一休
(
いっきゅう
)
さんは、
日本
(
にほん
)
一 とくの たかい おしょうさんと して、ひとびとに したわれながら、八十八さいのとし、ついに、たまぎむらの
土
(
つち
)
となりました。
一休さん
(新字新仮名)
/
五十公野清一
(著)
「社長室へ呼ばれたこと丈けは確かだね。先刻廊下で行き会った時、
顔色
(
がんしょく
)
土
(
つち
)
の如くだったもの」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
こう気づいてからは
大師
(
だいし
)
などは
土
(
つち
)
瓦
(
かわら
)
のように思われ、心持ちが全然変わった(随聞記第四)。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
又
土
(
つち
)
ハ
土
(
つち
)
デ凡テ土ニ就テ生ズルモノヲ形容シテ
土
(
つち
)
ト云ツタ
例
(
ため
)
シハ頓医抄ニ「土いちごは
蛇苺
(
へびいちご
)
にして」トアリ、又ぬすびとのあしノコトヲ本草類編ニつちとちナドヽ云ツテアル
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
全体、あれ程立派な藝術的作品の、影響を受けて居る
筈
(
はず
)
の自然派の作家に、どうしてあんな
土
(
つち
)
ッ
臭
(
くさ
)
い、
野暮
(
やぼ
)
ッたらしいまずい小説が書けるのか、己には実際不思議でならない。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
母に催促されて、わたくしは慌てて縁側へ
土
(
つち
)
焼きの豚を持ち出して、いつものように蚊いぶしに取りかかりましたが、その煙りが今夜は取分けて眼にしみるように思われました。
蜘蛛の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
土鼠
(
もぐら
)
が
土
(
つち
)
の
中
(
なか
)
をもくもく
掘
(
ほ
)
つて
行
(
ゆ
)
きますと、こつりと
鼻頭
(
はながしら
)
を
打
(
ぶ
)
ツつけました。うまいぞ。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
木立
(
こだち
)
わづかに
間
(
す
)
きたる所に、
土
(
つち
)
墩
(
たか
)
く
積
(
つ
)
みたるが上に、石を三かさねに
畳
(
たた
)
みなしたるが、
二三
荊蕀
(
うばら
)
薜蘿
(
かづら
)
にうづもれてうらがなしきを、これならん
御墓
(
みはか
)
にやと心もかきくらまされて
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
政友会の三
土
(
つち
)
忠造
(
ちゆうざう
)
氏が、会の本部で退屈
凌
(
しの
)
ぎに、ズウデルマンの『マグダ』を読んでゐた事があつた。『マグダ』は言ふ迄もなく、松井須磨子の出世狂言として名高い
劇
(
しばゐ
)
である。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
耶蘇教は
我
(
が
)
強
(
つよ
)
く、仏教は
陰気
(
いんき
)
くさく、神道に
湿
(
しめ
)
りが無い。
彼
(
かの
)
大なる
母教祖
(
ははきょうそ
)
の
胎内
(
たいない
)
から生れ出た、陽気で簡明
切実
(
せつじつ
)
な平和の天理教が、
土
(
つち
)
の人なる農家に多くの信徒を
有
(
も
)
つは尤である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
寸
(
すん
)
ほどにのびた
院内
(
ゐんない
)
の
若草
(
わかぐさ
)
が、
下駄
(
げた
)
の
齒
(
は
)
に
柔
(
やはら
)
かく
觸
(
ふ
)
れて、
土
(
つち
)
の
濕
(
しめ
)
りがしつとりと
潤
(
うるほ
)
ひを
持
(
も
)
つてゐる。
微
(
かす
)
かな
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
きつけられて、
雨
(
あめ
)
の
糸
(
いと
)
はさわ/\と
傘
(
かさ
)
を
打
(
う
)
ち、
柄
(
え
)
を
握
(
にぎ
)
つた
手
(
て
)
を
霑
(
うるほ
)
す。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ちょいちょい話し、出かけて、アルバートで、見そこなって居た「
土
(
つち
)
」を見た。
日記:17 観劇日記(一九二九―一九三〇年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
出
(
い
)
でし月影に一名の
曲者
(
くせもの
)
が
鍬
(
くわ
)
を
振
(
ふる
)
って
新仏
(
にいぼとけ
)
の
土
(
つち
)
まんじゅうを発掘せる有様を認め腰を抜かさん
許
(
ばか
)
りに
打驚
(
うちおどろ
)
き泥坊泥坊と
呼
(
よば
)
わりければ曲者もびっくり
仰天
(
ぎょうてん
)
雲を霞とにげ失せたり届け
出
(
いで
)
により時を
百面相役者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
六七年も、洋服を着て暖かい
日向
(
ひなた
)
を選み/\坊ちゃん嬢ちゃんの草花いじりの相手をして
鈍
(
なま
)
ってしまったこの身体が、どうして再びあの吹き
晒
(
さら
)
しと
凍
(
い
)
て
土
(
つち
)
の世界へ、苦痛に噛まれに戻れよう。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
至誠心
(
しじょうしん
)
と申候。この心の
実
(
まこと
)
にて。念仏すれば臨終に
来迎
(
らいごう
)
すという事を。一心もうたがわぬ方を。
深心
(
じんしん
)
とは申し候。このうえわが身もかの
土
(
つち
)
へむまれんとおもい。
行業
(
ぎょうごう
)
をも往生のためとむくるを。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
石器は何石を以ても
隨意
(
ずゐゐ
)
に
造
(
つく
)
るを得と云ふものに非ず。土器も亦
何
(
いづ
)
れの
土
(
つち
)
にても
造
(
つく
)
るを得と云ふものに
非
(
あら
)
ず。且つ石器を造るには夫々の
道具
(
どうぐ
)
有るべく、
土器
(
どき
)
を
作
(
つく
)
るに於ては之を
燒
(
や
)
く
塲所
(
ばしよ
)
を
要
(
やう
)
す。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
さて
閭
(
りよ
)
が
台州
(
たいしう
)
に
著任
(
ちやくにん
)
してから三
日目
(
かめ
)
になつた。
長安
(
ちやうあん
)
で
北支那
(
きたしな
)
の
土埃
(
つちほこり
)
を
被
(
かぶ
)
つて、
濁
(
にご
)
つた
水
(
みづ
)
を
飮
(
の
)
んでゐた
男
(
をとこ
)
が
台州
(
たいしう
)
に
來
(
き
)
て
中央支那
(
ちゆうあうしな
)
の
肥
(
こ
)
えた
土
(
つち
)
を
踏
(
ふ
)
み、
澄
(
す
)
んだ
水
(
みづ
)
を
飮
(
の
)
むことになつたので、
上機嫌
(
じやうきげん
)
である。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
土
(
つち
)
や
空気
(
くうき
)
や水のいぶき、または
闇
(
やみ
)
の中にうごめいてる、
飛
(
と
)
んだりはったり
泳
(
およ
)
いだりしている
小
(
ちい
)
さな
生物
(
いきもの
)
の、歌や
叫
(
さけ
)
びや音、または
晴天
(
せいてん
)
や雨の
前兆
(
ぜんちょう
)
、または
夜
(
よる
)
の
交響曲
(
シンフォニー
)
の
数
(
かぞ
)
えきれないほどの
楽器
(
がっき
)
など
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
木
(
こ
)
もれ日はしめれる
土
(
つち
)
の一ところ
微
(
かす
)
かなる虫の遊ばむとする
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それから
土
(
つち
)
はもう占めておいでになります。6030
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
土
常用漢字
小1
部首:⼟
3画
“土”を含む語句
土竈
土地
土蔵
土塊
泥土
唐土
土筆
土産
混凝土
土砂
土窖
土俵
土埃
土方
土饅頭
土龍
御土産
赤土
土肥
黄土
...