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木鋤
余は人に
助けられて
高所に
逃登り
遙に
駅中を
眺ば、
提灯炬を
燈しつれ大勢の男ども
手々に
木鋤をかたげ、雪を
越水を
渉て
声をあげてこゝに
来る。
年雄さんは
堅い
雪をわるのに、
鉄のシャベルを
持ち、とめ
子さんは、
小さな
木鋤を
持っていました。
持たる
木鋤にて和尚を
掘いだしければ、和尚大に
笑ひ
身うちを見るに
聊も
疵うけず、
耳に
掛たる
眼鏡さへつゝがなく
不思議の命をたすかり給ひぬ。