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こすき
余は人に
助けられて
高所に
逃登り
遙に
駅中を
眺ば、
提灯炬を
燈しつれ大勢の男ども
手々に
木鋤をかたげ、雪を
越水を
渉て
声をあげてこゝに
来る。
年雄さんは
堅い
雪をわるのに、
鉄のシャベルを
持ち、とめ
子さんは、
小さな
木鋤を
持っていました。
持たる
木鋤にて和尚を
掘いだしければ、和尚大に
笑ひ
身うちを見るに
聊も
疵うけず、
耳に
掛たる
眼鏡さへつゝがなく
不思議の命をたすかり給ひぬ。
三
人は、シャベルも、
木鋤も、
雪の
上へほうり
出してお
家へ
入りました。三
人は、おしるこもうまかったが、それよりか
大きなみかんが、なによりうれしかったのです。
掘とは
椈の木にて作りたる
木鋤にて
土を
掘ごとくして
取捨るを
里言に雪を掘といふ、
已に初編にもいへり。かやうにせざれば雪の
重に
屋を
潰ゆゑなり。
それで
朝から
外に
出て
木鋤で、
雪をわってはそれを
力いっぱい
遠く
畠の
方へとなげていました。