“ところ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トコロ
語句割合
45.5%
18.8%
12.8%
土地5.2%
2.7%
場所2.4%
1.1%
住所1.1%
場処0.9%
0.8%
箇所0.7%
野老0.7%
個所0.6%
0.6%
地点0.4%
位置0.4%
地方0.4%
0.2%
個処0.2%
常呂0.2%
箇処0.2%
0.2%
境地0.1%
境涯0.1%
一座0.1%
中地0.1%
住地0.1%
住宅0.1%
0.1%
0.1%
場處0.1%
場面0.1%
0.1%
塲處0.1%
境遇0.1%
0.1%
家宅0.1%
宿所0.1%
局所0.1%
0.1%
性質0.1%
所在0.1%
本國0.1%
本土0.1%
村名0.1%
此宿0.1%
0.1%
番附位置0.1%
空間0.1%
章句0.1%
箇處0.1%
芋野老0.1%
賭場0.1%
部屋0.1%
野老芋0.1%
領下0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
大体の構想に痕跡のぬぐうことのできないものはあるが、その他は間然かんぜんするところのない独立した創作であり、また有数な傑作でもあって
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
居室へやかへつてると、ちやんと整頓かたづいる。とき書物しよもつやら反古ほごやら亂雜らんざつきはまつてたのが、もの各々おの/\ところしづかにぼくまつる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「こんなことでおまへ世間せけんさわがしくてやうがないのでね、わたしところでも本當ほんたうこまつてしまふんだよ」内儀かみさんは巡査じゆんさ一寸ちよつとてさうして
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
昨日今日のお住居なら、土地ところの者も、めったに心はゆるさぬが、この加賀田に隠れ住んでからも、はや二十年余りにもなる毛利殿だ。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勧めてくれる人があって、私はある医者のところへこの娘を見せに連れて行った。その時は、大久保に住む一人の友達とも一緒だった。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
二人は側縁そばえんの下まで行つて見えなくなつた。社前の廣庭へ出たのである。——自分も位置を變へた。廣庭の見渡される場所ところへ。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
五二壇場だんぢやうの御前なる三の松こそ此の物の落ちとどまりしところなりと聞く。すべて此の山の草木泉石せんせきれいならざるはあらずとなん。
「年は婆さん、お名は娘、住所ところは提灯の中でおいでなさる。……はてな、いや、分りました……が、お商売は。」
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さすがに錠前くだくもあらざりき、正太は先へあがりて風入りのよき場処ところを見たてて、此処へ来ぬかと団扇うちわの気あつかひ、十三の子供にはませ過ぎてをかし。
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
妹とはても肖つかぬ丸顔の、色の白い、何処と言つて美しいところはないが、少し藪睨みの気味なのと片笑靨かたゑくぼのあるのとに人好きのする表情があつた。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
遙かの行く手に、明るく黄金色に輝いている箇所ところがあった。林が途切れて、陽が当たっている箇所らしい。その光明界を眼ざして左門は歩いて行くように見えた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それも手に入らなくなると、あざみ、大蓼、笹の実を食い、野山へ分け入って、蕨、野老ところ、葛などを掘りまわる。
ボニン島物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そのとき問答もんどう全部ぜんぶをここでおつたえするわけにもまいりねますが、ただあなたがた御参考ごさんこうになりそうな個所ところは、るべくもれなくひろしましょう。
「怒るもんか、唯喫驚びっくりするばかりだよ。僕んところのお父さんなんか随分喫驚したぜ。そして最早もう仕方がないって言った」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
⦅かう、魔性の地点ところぢや! 悪魔のそそのかしだ! あの人間の敵、ヘロデめが絲を引いてゐくさるのぢや。⦆
これ爾にふさわしき位置ところにして、また、爾にふさわしき勤めじゃ。みちは苦しかろうが、よく、疑わずして、ただ努めよ。玄奘の弟子の一人に悟空ごくうなるものがある。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
行つても/\知らん地方ところだ。低地ひくちが高台になつて瀬の早い川が逶迤うね/\と通つてゐる処もあつた。烟突けむだしも無い小舎こやや木の枝を編むでこしらへた納屋があとになつて、立派な邸や石造せきざうの建物が見える。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
と言ひながら、耐らないと言つたふうに頬擦りをする。赤兒を可愛がる處女には男の心をくすぐる樣なところがある。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
蚊のなくように、何時いつ、どこで、なんの役でかの、狂言本読みの、たて作者が読んできかす、ある役の引っこみの個処ところが、頭の奥の方で、その当時聴いた声のままで繰返してきこえる。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
また北見常呂ところ郡ニクルパケ、ニクルは樹蔭、パケは端、林頭と見えている。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
未見みちの境を旅するといふ感じは、犇々ひしひしと私の胸に迫つて来た。空は低く曇つてゐた。目を遮ぎる物もない曠野の処々には人家の屋根が見える。名も知らぬ灌木くわんぼくの叢生した箇処ところがある。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
顳顬こめかみところを蒼くして帰って行った。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
『あなたは、こんな神聖しんせい境地ところ立派りっぱ御修行ごしゅぎょうわたくしなどはとても段違だんちがいで、あなたの足元あしもとにもりつけはしませぬ……。』
『あなたはこちらでどんな境地ところとうってたのですか?』はは真先まっさきにそうたずねました。『最初さいしょからここではないようにきいてりますが……。』
『あんな名僧めいそう知識ちしきうたわれたかたがまだこんな薄暗うすぐら境涯ところるのかしら……。』時々ときどき意外いがいかんずるような場合ばあいもあるのでございます。
そんなことばかりかんがえていると、境涯ところへはとてもすすめぬぞ! これからはわしがそなたの指導役しどうやく何事なにごともよくききわけて、とうとかみさまの裔孫みすえとしての御名みなけがさぬよう
屹度きっと、今度二丁目の市村座いちむらざかかるという、大坂下りの、中村菊之丞きくのじょう一座ところ若女形わかおやま雪之丞ゆきのじょうというのに相違ないでしょう——雪之丞という人は、きまって、どこにか、雪に縁のある模様もよう
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
ここにおいてか獣すなわち啖うその中地ところ土および諸草木すこしく絳色こうしょくを帯び血染のごとし、人その地をむ者芒刺いばらを負う、疑うと信ずるとをいうなく、悲愴せざるはなしと出づ。
ある剣法の懐疑の一点をおただし申さねばならぬので、かく諸国を経巡へめぐっているのだ——じゃによって、住地ところを定めて、新九郎殿の来るのを、待っている訳には参らぬ
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お名前とお住宅ところとをなにとぞ——。」
先生の宿志しゆくし、ここにおいてか足れり。すでにしてきやうかへり、即日、ところ瑞龍山ずゐりゆうざん先塋せんえいかたはらさうし、歴任れきにん衣冠魚帯いくわんぎよたいうづめ、すなはち封し載ちし、自ら題して、梅里先生ばいりせんせいはかふ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昔の諺に、「ところ玉造たまつくり」ということがありまして、玉造は土地を持たなかった。また今の京都の天部あまべ部落は、もと四条河原に居まして、これを「四条河原の細工さいく」ともあります。
よろづの鍵に下腹冷えて留守は見渡しの總長屋、流石に錠前くだくもあらざりき、正太は先へあがりて風入りのよき場處ところを見たてゝ、此處へ來ぬかと團扇の氣あつかひ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と独りでうなずきながら立去る場面ところであった。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あやしむべきかなかつたりしところをそのままに夢むるためしは有れ、所拠よりどころも無く夢みし跡を、歴々まざまざとかく目前に見ると云ふも有る事か。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
町内てうない一の財産家ものもちといふに、家内かない祖母ばゞ此子これこ二人ふたりよろづかぎ下腹したはらえて留守るす見渡みわたしの總長屋そうながや流石さすが錠前でうまへくだくもあらざりき、正太しようたさきへあがりて風入かぜいりのよき塲處ところたてゝ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
境遇ところひとこころうつすとやら、自分じぶん現世時代げんせじだいしたしんだのとそっくりの景色けしきなかひしいだかれて、べつすこともなくたった一人ひとりらしてりますと、かんがえはいつとはなしにとおとおむかし
万延寺裏の私のところへ参りまして……猪口兵衛さんにあのような深い処まで探り出されておっては隠し立てをしても役に立つまい。
へえー……にかえ、貴方あなた神幸かみかうといふ立派りつぱ御用達ごようたしたいしたお生計くらしをなすつたおかたか……えーまアどうもおもけないことだねえ、貴方あなた家宅ところの三でふ大目だいめの、お数寄屋すきや出来できた時に
「失礼ながらお宿所ところとお名前を伺わせて下さい」
朝起の人達 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
しかし、これだけでは、どれがれの弾丸で、どれが熊の生命いのちをとつたのか分りませんから、二人は小刀マキリを出して、その局所ところを切り開いてみました。
熊捕り競争 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
「全く物騒ですよ、わたしところでは昨夜ゆうべ当到とうとう一俵盗すまれました」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
警察のやかましいぐらい平気でいるかと思ったら、また存外神経質で処女きむすめのように臆病な性質ところもあった。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
大いさかさをしのぐものあり、ひょうひょうとして水に浮かび、流れに従って海に入る。神仙の住地を京丸と称し、花を京丸ぼたんという。地名あれども所在ところを知らず。云々
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これをるゝをえざるべく、オンチャに分けてこれをはからばその人疲れむ、しかしてかゝる贈物おくりもの本國ところ慣習ならはしかなふなるべし —六〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
たくましき樫の木の、本土ところの風またはヤルバの國より吹く風に拔き倒さるゝ時といふとも、そのこれにさからふこと 七〇—七二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
わかりませぬか」「わかりませぬ」どうも村名ところわからず
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
何処どこから買入れたかとくと調べなければ成りません、又此の事は此宿ところの名主か代官へでもお届をしなければ成りません
そんな騒ぎを載せたまんま、エムデンの居そうな方向へブラリブラリと漂流し始めた。二三百ぴろもあるところアンカなんか利きやしないからね。通りかかりの船なんか一艘だって見付かりっこない。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あの男だって相当な番附位置ところにまではゆけたろうにな。」
人は往々にして、真の驚異や、真の感激や、真の美意識に遭遇ぶつかった時、時間とき空間ところとを忘却わすれるものであるが、この時の二人がまさにそれであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それは、英雄ジーグフリードの妻クリームヒルトが、夫を害しようとするハーゲンにたぶらかされて、やいばも通らぬ夫の身体の中に、一個所だけ弱点があるのを打ち明けてしまう章句ところだった。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
未見みちの境を旅するといふ感じは、犇々ひし/\と私の胸に迫つて來た。空は低く曇つてゐた。目をさへぎる物もない曠野の處々には人家の屋根が見える。名も知らぬ灌木くわんぼくの叢生した箇處ところがある。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
平生は芋野老ところなどを掘りまして、乏しく生活くらしておりますにも似ず、目前めさきの利害などには迷わされず、義を先にし節をたっとび、浮薄のところとてはございません。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
三日前に、みすぼらしい風をして、俺の賭場ところへやって来て、昔のことを云い出し、強請りにかかった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
(まさかお浦が、こんな部屋ところへ来ていようとは思われないが……)
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一度は天保の饑饉ききんのときにこの尾根一ぱいに野老芋ところ蔓延はびこって、村民はこれを掘って餓えを凌ぐことが出来たという。また、餅に混ぜて食えば食われる土が岩層の間から採れたともいう。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
領下ところの者は、そこを敬称して
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)