“とこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トコ
語句割合
55.6%
9.1%
8.8%
6.8%
3.6%
2.7%
1.4%
寝床1.4%
臥床1.2%
病床1.2%
1.0%
1.0%
0.6%
0.5%
0.5%
病褥0.5%
0.5%
0.3%
0.3%
0.2%
土地0.2%
夜具0.2%
寝台0.2%
0.2%
𨋳0.2%
土床0.1%
場面0.1%
家庭0.1%
寢床0.1%
床上0.1%
床梁0.1%
床間0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
温床0.1%
病臥0.1%
箇所0.1%
花床0.1%
鳥籠0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
行燈あんどんの光に照された、古色紙こしきしらしいとこの懸け物、懸け花入はないれ霜菊しもぎくの花。——かこいの中には御約束通り、物寂びた趣が漂っていました。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
伊「いゝとこがありますぜ、東京こちらから遠くはありませんがね、わしが行って頼んだらすげなくも断るまいと思うんで、あれなら大丈夫だろう」
何処どこへ行くの?」光子がいきなりきいた。森先生のとこへといえば、また何とか意地悪い事を言われるのがいやさに、それとなく
先生の顔 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
「何でございますか、向うの嘉吉さんのとこの婆さんが気がれて戸外おもてへ飛び出したもんですから、みんなで取押えるッて騒いだんですよ。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこで黒猩にわかにすね出し、空缶を番人に投げ付け、とこに飛び上り、毛布で全身を隠す、そのてい気まま育ちの小児に異ならなんだ。
解くにも、引切ひっきるにも、目に見えるか、見えないほどだし、そこらは暗し、何よりか知ったとこ洋燈らんぷの灯を——それでもって、ええ。……
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
黒斜子くろなゝこ五所紋いつところもんの上へ行儀霰ぎょうぎあられ上下かみしもを着け、病耄やみほうけて居る伊之助を、とこへ寄掛りをこしらえて、それなりズル/\座敷へ曳摺ひきずり出しますと
と、つぶやくかのような眼をして、衣服を着、帯をしめた後も、寝床とこをたたんで、しばらくは一室の中に坐っていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平田は臥床とこの上に立ッて帯を締めかけている。その帯の端に吉里は膝を投げかけ、平田の羽織を顔へ当てて伏し沈んでいる。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
孔子が病床とこについて以来、彼は殆どつきっきりで、夜の目も寝ずに看護をして来た。もうそろそろひと月にもなろうというのに、病勢はただつのる一方である。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ける日は追えども帰らざるに逝ける事はとこしえに暗きに葬むるあたわず。思うまじと誓える心に発矢はっしあたる古き火花もあり。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
難波人なにはびと葦火あしびしてあれどおのが妻こそとこめづらしき 〔巻十一・二六五一〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
奈何どんな港でせうなあ。H君の話では何でも非常に淫靡なとこださうですね——今日は雪舟から歌麿ですかナ。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
周三はまた、「何點どこか俺の生母せいぼに似たとこがある。」と思ツた。で何となく懐慕なつかしいやうにも思はれ、また其のさびしい末路まつろあはれになツて
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
お千鶴さんとこの兄さんが外務大臣で、先方へ乗り込んで講和の談判をなさるでしょう、それから武男うちが艦隊の司令長官で、何十そうという軍艦を向こうの港にならべてね……
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
半歳近く病褥とこに就いたり、起きたりしてうつら/\日を送っているうちに、持合せの金は大方消費つかってしまった。遠く外国にいては金より他に頼みはない。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
幾重とも知れない渦を巻いて、山はとこしえに脚下に眠り、氷の上にはったと投げた、四個の陰影は、寂として動かない。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
品川堀が西へ曲るとこに来た。丸太を組んだ高櫓たかやぐらが畑中に突立って居る。上には紅白の幕を張って、回向院の太鼓櫓たいこやぐらを見るようだ。北表面きたおもてまわると、墨黒々と筆太ふでぶと
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
智恵無しの奴め大鍋おほなべ四辺ぐるりにそれッ位無駄がついてゐるでは無いか、それへ湯を廻して砂糖さへ甘くすれば十人前や二十人は浮いて来よう、何処でも皆なそうするのだお前のとこばかりではない
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とお妙は早や隔心へだてごころも無く、十年の馴染のように、横ざまにとこもたれながら、うなじのばして、待構えて
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「さうだつか、そないえゝ土地とこやつたらきまつさ、出し物はなになにとにしまひよう。わて紙治かみぢ』の炬燵こたつつてみたうおまんのやが、英吉利にも炬燵がおまつしやろか。」
と是からふすまって障子を締め、夜具とこを二つずつ並べて敷く。
水晶と宝石と湧きいづ、すべての寝台とこ
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
その国のドルイド教の僧輩反抗もっとも烈しかったので尊者やむをえずその沃野よくやとこうてたちまち荒れた沼となし川を詛うて魚を生ぜざらしめ缶子を詛うていくら火を多くいても沸かざらしめ
けたゝましく音を立てて燃える松明の光は、一しきり赤くゆらぎながら、忽ち狭いはこの中を鮮かに照し出しましたが、𨋳とこの上にむごたらしく、鎖にかけられた女房は——あゝ、誰か見違へを致しませう。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「草花の土床とこを作ろうと思ってな」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ハンカチで襟元をあおりながら窓際によりそって、スリ硝子ガラスのはまった開き窓を押しあけたのだが、何気なく前の家を見ると、急に悪い場面とこでも見たように顔をそむけて、そのまま自分の席へ戻り
銀座幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
身分の釣り合った良い家庭とこのお嬢さんを正式にお貰いになって、今ごろは世間並みのしゃんとした暮らしをしていらっしゃる筈の立派な青年を、あなたは誘惑なすったんですもの。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
こゝの女中も矢張内儀さんと同じやうに、丁寧な、優しい口の利きやうをして、吾儕の爲に温暖あたゝかい、心地こゝろもちの好い寢床とこを延べて呉れた。吾儕は皆な疲れて横に成つた。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おりから五点をうつ床上とこの置き時計を顧みて
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
どいがえじゃございませんか。それからこいつが轆轤座ろくろざ切梁きりはり、ええと、こいつが甲板のしん、こいつがやといでこいつが床梁とこ、それからこいつが笠木かさぎ、結び、以上は横材でございます」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
伝右衛門は、思い余って、三日の朝、上之間の床間とこへ、花をけた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此の里の二七上の山に一宇の二八蘭若てらの侍る。もと二九小山氏の三〇菩提院ぼだいゐんにて、代々よよとこの住み給ふなり。
「おめえさんとこじゃあ構わなかったっけか。」
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
天明、とこを下る時、黄生『卿の為にこそここには来つれ、これよりは孤寂の思ひをなせしめそ』とあるに、絳雪ほほゑみ諾へり。
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
各自てんでに米が五合に銭十五銭宛持寄って、飲んだり食ったりかんを尽すのだ。まだ/\と云うて居る内に、そろ/\はたの用が出て来る。落葉おちばき寄せて、甘藷さつま南瓜とうなす胡瓜きゅうり温床とこの仕度もせねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おめえが帰られなくなってから、病臥とこについちまったんだ。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お房の母は愛想あいそく、「窮屈な、嫌な箇所とこでせう。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「こんなに腕がいいとは思わなかった」竹村は、伸子がたたずんでいる側へ出て来て、それを育て、花さかせた者の注意ぶかい視線で花床とこを見まわりながら
二つの庭 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
この次に、「淡海路あふみぢ鳥籠とこの山なるいさや川此頃このごろは恋ひつつもあらむ」(巻四・四八七)という歌があり、上半は序詞だが、やはり古調で佳い歌である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)