とこ)” の例文
昨夜ゆふべの収めざるとこの内に貫一は着のまま打仆うちたふれて、夜着よぎ掻巻かいまきすそかた蹴放けはなし、まくらからうじてそのはし幾度いくたび置易おきかへられしかしらせたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
とお妙は早や隔心へだてごころも無く、十年の馴染のように、横ざまにとこもたれながら、うなじのばして、待構えて
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほがらかに秋の気澄みて、空の色、雲の布置ただずまひにほはしう、金色きんしよくの日影は豊に快晴を飾れる南受みなみうけの縁障子をすかして、さはやかなる肌寒はださむとこ長高たけたかせたる貫一はよこたはれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
とこの端につかまって、お蔦の顔を覗くようにして
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かやうに思迫おもひつ候気さふらふきにも相成候上あひなりさふらふうへに、日毎にやみの奥に引入れられ候やうに段々心弱り候へば、うたがひも無く信心の誠顕まことあらはれ候て、此のとこき候が元にて、はや永からぬ吾身とも存候ぞんじさふらふまま
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
とこ綴糸とじいとを引張って
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)