-
トップ
>
-
蓐
>
-
とこ
昨夜の収めざる
蓐の内に貫一は着のまま
打仆れて、
夜着も
掻巻も
裾の
方に
蹴放し、
枕に
辛うじてその
端に
幾度か
置易られし
頭を
載せたり。
とお妙は早や
隔心も無く、十年の馴染のように、横ざまに
蓐に
凭れながら、
頸を
伸して、待構えて
朗に秋の気澄みて、空の色、雲の
布置匂はしう、
金色の日影は豊に快晴を飾れる
南受の縁障子を
隙して、
爽なる
肌寒の
蓐に
長高く
痩せたる貫一は
横はれり。
と
蓐の端につかまって、お蔦の顔を覗くようにして
かやうに
思迫め
候気にも
相成候上に、日毎に
闇の奥に引入れられ候やうに段々心弱り候へば、
疑も無く信心の
誠顕れ候て、此の
蓐に
就き候が元にて、はや永からぬ吾身とも
存候まま