“いえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
81.7%
3.3%
2.0%
1.3%
1.3%
自家1.3%
家屋1.0%
自宅0.8%
0.5%
住家0.5%
(他:25)6.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼は坂井のいえそばに立って、むこうに知れずに、ひとうかがうような便利な場所はあるまいかと考えた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
丁度ちょうどなつのことでございましたから、小供こどもほとんどいえ内部なかるようなことはなく
いえ。』とお利代は何氣ない顏をしてゐる。『あら、何處へ行つてらしつたんですか? おぐしに木の葉が附いて。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いえ。』とお利代は何気ない顔をしてゐる。『アラ、何処へ行つてらしつたんですか? おぐしに木の葉が附いて。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「五貫目玉を、五十丁の先まで射出うちだして、的の黒星を打ち抜く火薬は、日本広しといえども、作り手はたった一人しか無い、それは——稲富——」
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
あの金は細民の膏血こうけつを絞った因縁のある金で、一銭といえども無駄には出来ないのです。
悪人の娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
老婆はその金で王成にいいつけて三百の良田を買わせ、いえを建て道具を作らしたので、居然たる世家きゅうかとなった。
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
そのうちに、深夜の静寂しじまを破って、馬のいななきが聞え、いえの後ろのほうで人の気はいや戸の音がする。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しほはゆき温泉いでゆを浴みてこよひやまひいえむとおもふたまゆら
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
或日あるひ惠梅比丘尼は山之助と隣村まで参りまして、又市は疵口の膏薬を貼替えまして、白布で巻いては居りますが、疵も大方いえたから酒好さけずきと云う事を知り、膳立ぜんだてをして種々の肴をこしらえまして
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
自家いえと云っても同族の土屋右衛門の邸であったが、そこへ帰って来た庄三郎は、人達から驚異の眼で見られた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その後私はどうしたかというに、孫文先生の旗下を離れ一旦自家いえへ立ち帰って妹や婆やと邂逅した。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
家屋いえ彼方かなたでは、徹夜して戦場に送るべき弾薬弾丸の箱を汽車の貨車に積み込んでいる。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
自分等の家族は以前は巴里の市中に住んだがこのビヨンクウルに住居をぼくして引移って来たということや、この家屋いえもなかなか安くは求められなかったというようなことまで
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それからこっち、お藤は浅草の自宅いえへも帰されずに、離室からは毎日のように左膳の怒号どごうにもつれてお藤の泣き声がれているのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
明けにも間がある。何かしきりに考えながら帰路かえりを急いで、三次は花川戸の自宅いえを起した。
どうして此様このようめす配偶つれあいにしたかと後悔するが天下半分の大切おおぎり真実まこといえば一尺の尺度ものさしが二尺の影となって映る通り、自分の心というともしびから、さほどにもなき女の影を天人じゃと思いなして、恋もうらみもあるもの
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一、師の云、発句ほく案ずる事諸門弟題号の中より案じいだす是なきものなり、余所よそより尋来たずねきたればさてさて沢山成事なることなりといえり、予が云、我『あら野』『猿蓑さるみの』にてこの事を見出したり、予が案じ様たとへば題を箱に入てその箱の上にあがりて箱をふまへ立ちあがつて乾坤を尋るといへり、云々うんぬん
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
その危険きわまる電線が生命の唯一の安全地帯である住家いえの中まで、蜘蛛くものように縦横無尽じゅうおうむじんにひっぱりまわされてある。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は度々住家いえを変えた。
北斎と幽霊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今のように富限者ふげんしゃが、山の手や郊外に土地をもっても、そこを住居いえにしていなかったので、蔵と蔵との間へ茶庭をつくり、数寄すきをこらす風流を楽しんでいた。
すなわちお色の住居いえであった。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめが、天平てんぴょう四年三月佐保さおいえで詠んだ歌である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
全体にソワソワと八笑人か七変人のより合いのいえみたよに、一日芝居しばい仮声かせいをつかうやつもあれば、素人落語しろうとばなしもやるというありさまだ。
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
実家いえを出て十年にもなる。流浪から流浪、艱難から艱難、いろいろのお方とも出入りを重ねたが真底から偉いと思ったお方は、このご老人の他にはない。このお方がきっとお祖師様なのだよ)
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それではたまらぬと、そこで兄藤次郎にはすまぬと影に手を合わせながら、わざと種々の放埓ほうらつに兄を怒らせて、こうして実家いえへもよりつかずに繋累けいるいを断った栄三郎ではないか。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
したがって家内いえ中ではれものにでも触るような態度を取り、そばを歩くに、足音さえもぬすむようになる。
良人教育十四種 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
アンポンタンは成長するにしたがい家内いえのなかの異端者としてみられていたから、どうする事も出来ないで、抱えの時分、流山ながれやまみりん瓶入の贈物つかいものをもってくる彼女の背中を目で撫ていたが、彼女におとずれた幸福は、彼女にはあんまりけばけばしい色彩なので、信実はやっぱり苦労がたえないであろうと痛々しかった。
と云うのは、この時代の風習として、家庭いえにいないで、江戸へ出、学問に精進していたからである。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「侍の家庭いえとは、淋しいものよ。母と子でさえ、一年ひととせのうち、幾日朝夕を共にすることがあろうぞ、などとお留守中も、時折、仰っしゃっていらっしゃいました」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遊里の松の内と来たひにはその賑やかさ沙汰の限りである。その時分から千客万来、どのいえ大入叶おおいりかなうである。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もとはしかるべきさむらいの子であったとかいうことですが、みなし児になってこの家に引取られ、実の名もあるにはあるが、このいえの者は二人を呼ぶに、金伽羅、制多伽の名を以てして、その実の名を呼ぶ者がありません。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いえの中へ、響き亙るように怒鳴った。月丸は、ちらっと、小太郎を見たが、すぐ、義観へ
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
成の細君もそのいえへ入っていった。
促織 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
この時またも呼子の背後うしろに当たって鳴り渡ったが、とたんに両側の人家いえの屋根から大小の梯子幾十となく、甚内目掛けて落ちかかって来た。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
番「こ、是じゃ、お内儀いえはん、是はお嬢さんが不断持って居やはりました巾着でがしょう」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いやそれはいかぬ、お内儀いえはんういう最中で争論いさかいをしては済みまへんが、一寸ちょっとこれにいておはなしがあるんでおす、一昨夜おとついわたいが一寸用場へ参りまして用をしてから
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この者も持呪者のために一切の要物いるものを持ち来り、不快な物をけ去り、宅舎いえを将ち来り掃灑そうじし、毒害も及ぶ能わざらしめるなど至極重宝だが、持呪者食時ごとに、まず飲食をこれに与え、また花香花鬘けまん等を一日欠かさず供えずば、隠れ去って用をさぬとある。
ああ、マカの城は、よきところ、うつくしき宮殿いえ
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
「なに平気なものか。平生あんなに快濶かいかつな男が、ろくに口もき得ないで、お前さんの顔色ばかり見ていて、ここにも居得いえないくらいだ」
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
原来彼の黄金丸は、われのみならずかしこくも、大王までを仇敵かたきねらふて、かれ足痍あしのきずいえなば、この山に討入うちいりて、大王をたおさんと計る由。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
落語家はなしかで思い出したが、僕の故家いえからもう少し穴八幡のほうへ行くと、右側に松本順という人のやしきがあった。
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのたしか隣の裏をずっとはいると、玄関構えの朽ちつくした僕の故家いえがあった。
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
窓々へ鎧戸よろいどを厳重に下ろして、屋内の燈火を遮断した、小柄の洋館いえが立っている。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その心を得ねどいうままに乗り移ると風浪たちまちやむ、本船はここに待つべしと示し小船海底に入りて竜宮に到る、竜宮の殿閣奇麗言うべからず、竜王出会いていえらく、従類多く讐敵に亡ぼされ今日また害せらるべし
一流とゆるされる青楼いえは、その二軒に限っていた。光悦、紹由、武蔵の三人が客となって坐ったのは扇屋のほうなのである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)