“やど”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヤド
語句割合
宿60.3%
旅宿7.0%
良人4.5%
3.7%
亭主2.3%
旅舎2.0%
1.7%
1.7%
主人1.4%
宿舎1.1%
0.8%
0.8%
宿所0.8%
0.8%
旅籠0.8%
旅館0.8%
湯宿0.8%
吾夫0.6%
屋前0.6%
屋戸0.6%
0.6%
実家0.6%
宿房0.6%
0.3%
亡夫0.3%
住家0.3%
0.3%
宿坊0.3%
宿屋0.3%
0.3%
懐胎0.3%
所天0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
自宅0.3%
谷戸0.3%
0.3%
遊宿0.3%
野土0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
じつおどろきました、んなお丈夫ぢやうぶさまなおかたうして御死去おなくなりになつたかとつて、宿やどものよろしうまうしました、さぞ力落ちからおとしで……。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いや、ことによったら、その供の男ッて奴は、ケタはずれな人間だから、旅宿やどへ連れて帰ってしまったんじゃないかと思ってさ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(女中たちが、そんな乱暴なことをして済みますか。良人やどなら知らぬこと、両親ふたおやにだって、指一本ささしはしない。)
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
霊といふものが天国へ行くにしても、地獄へ堕ちるにしても、別な物の体にやどるにしても、わたくしは亡くなります。
いいえ、滅相な、お世辞ではございませんが、貴女方に誉められます処を、亡くなった亭主やどに聞かしてやりとうございます。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
僕等は赤彦君のまへにいつはりを言ひ、心に暗愁のわだかまりを持つて柹蔭しいん山房を辞した。旅舎やどに著いて、夕餐ゆふさんを食し、そして一先づ銘々帰家きかすることにめた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
「あれは貴下あなた、何ですわ、つい近い頃、やどが拾って来て、あすこへ飾ったんですがね。その何ですよ、もとあった処は沼なんですって。」
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひそかにある家にやどり給うたところ、それを一人の女が聞き知って、けがれし霊につかれた自分の小娘をいやしていただきたいと、家に入り来たり御足のもと平伏ひれふしてお願いしました。
……主人やどはあの方とお附き合いしてはならんと申しましたのですけれど、あたくし無理に頼み込んでとうとう説き伏せましたのよ。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
朱実は、すぐ息をふきかえした。清十郎は宿舎やどの者に負わせて、人目から逃げるように旅舎へ帰って行った。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
島は清休の子婦よめ、廓清の妻になつて、一子東清を擧げた。若し島が下げられた時、義公のたねやどしてゐたとすると、東清は義公の庶子しよしであらう。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
北征の師のづるや、しょうを督して景隆の軍に赴かんとしけるに、景隆の師ついえて、諸州の城堡じょうほふうを望みて燕に下るに会い、臨邑りんゆうやどりたるに、参軍高巍こうぎの南帰するにいたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そうして彼女は今日の昼席から、定席へも出演ないことに決心し、宿所やどをさえ出て行方を眩ましてしまった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
其の妾のお熊というものゝ腹へやどしたは女の子それを産落すとまもなく家が改易に成ったと聞いて居たが、して見ればお賤は腹違いの兄弟であったか、今迄知らずに夫婦に成って
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
旅籠やどをとろにもぜにはなし
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
ある日の事、小林氏は築地の旅館やどを出て、三宅坂に知辺しるべの人を訪ねた。帰りは夜に入つた。
湯宿やどの二階の、つらつらと長いまわえん——一方の、廊下一つ隔てた一棟ひとむねに、私の借りた馴染の座敷がながれに向いた処にあるのです——この廻縁の一廓は、広く大々だいだいとした宿の
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実際吾夫やども苦しいもんですから、田舎から出て来た母親おっかさんをだますやら、泣いて見せるやら、大芝居をやらかしているんですよ
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
屋前やどふる土針つちばり心従こころゆおもはぬ人のきぬらゆな
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
吾が屋戸やどの一枝萩をおもに見せずほと/\散らしつるかも
秋の七草に添へて (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
みんな私が思い違いであるが、そればかりでなく、七月なゝつきになるたねまでやどしたはなさけない、何うしたら宜かろうと、胸に迫って只身がこうブル/\とふるえるほど口惜しかったと見えます。
『お実家やどへ。へへへ、おっ母さんのお乳をたんと吸って来ましたね』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大急ぎで桟橋を渡って宿房やどへ飛込むと、桟橋は落ちたという騒ぎ、一二日は島にこもらなきゃなるまいと言われて、安心したような、がっかりしたような変な心持だったことを覚えております
孔子、魯衛ろえいに悦ばれず、宋の桓司馬かんしばまさに要してこれを殺さんとするにい、微服して宋を過ぐ、この時は孔子、やくに当たって、陳侯周の臣たる司城貞子しじょうていしやどとせり。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
衛に於ては顔讎由がんしゅうゆうやどとせり。弥子びしの妻と子路の妻とは兄弟なり。弥子、子路に謂いて曰く、孔子我をやどとせば、衛のけい得べきなりと。子路以て告ぐ。孔子曰く命ありと。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
亡夫やどが「これ、俯向うつむき轉倒ころばしゃったか? いま適齡としごろにならッしゃると仰向あふむけ轉倒ころばッしゃらう、なァ、いと?」といふとな、啼止なきだまって「あい」ぢゃといの。(笑ふ)。
ちゃうそのまえ小額こびたひ怪我けがさッしゃって……其時そのとき亡夫やどが……南無安養界なむやんやうかい! 面白おもしろひとでなァ……ぢゃう
日の下なる全地のなかの最も美しい国である愛蘭アイルランドは、日の下なる全地の中の最もかなしき国となるであろう、飢饉がその国を住家やどとする日まで血は国中に流れるであろうと、彼は言いました
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
埋葬とむらいだけをなすって、うして又此方こちらへ遊びに入らしって下さい、お賤さん、私が申しますとやどが立腹致しますから、何卒どうかあなたから、今夜だけ帰って子供の始末を付けてやれと仰しゃって
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼女は男といっしょにへやへ帰ったが、翌朝になって自動車で男といっしょに海岸にある男の宿坊やどへ引返していると、男は笑って云った。
料理番と婢の姿 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「イヤ飯なら僕は宿屋やどへ帰って食うから心配しないほうがいいよ」
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
車屋さんの安産論が身に沁みたのか、春日様の境内にあったやどり木神社というのが特に僕の注目を惹いた。いす、藤、椿、南天、陸英にわとこ、桜、楓の七種が一本になって覚束なく生えている。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
秀吉は、母の気遣きづかいが身にこたえている。また、幼少のひよわかった原因も知っている。ほとんど、喰べたり喰べなかったりの貧乏中に懐胎やどって、その育ちざかりも窮乏のどん底であった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尚だ所天やどがゐた時分じぶんに、ほら、氣が莎蘊むしやくしやすることばかりなんでせう、所天はもうお金に目が眩むでゐるんですから、私が何と謂ツたツて我を押張おしはツて、沒義道もぎだうな事を爲す
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
なほつねに見ざる真景もがなと春のなかばわざ/\三国嶺みくにたふげにちかき法師嶺ほふしたふげのふもとに温泉をんせんやどりそのあたりの雪を見つるに、たかみねよりおろしたるなだれなどは
今晩こんばんやど連參つれまゐれと申されければ幸藏はおせん與惣次に向ひ願の趣きお取上に相成あひなりたれば今宵おとまり御本陣迄ごほんぢんまでまかり出よとおき乘輿のりもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
丈「ハッハッ、お母アおめえのような正直ものゝ腹へ己のような不孝者が何うしてやどったかと、目が醒めて見りゃア、実に何うも済まねえことをした」
「そりや其の筈よ、俺は何等の目的も無くめかけの腹にやどツた子なんだからな。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
小「はい新年で誠に目出度い、旧臘きゅうろうはまた相変らず歳暮を自宅やどしもの者までへ心附けくれられて、誠に有難い、また相かわらず重三郎を其の方の代としての年頭で、年玉ねんぎょくの品々をかたじけのうござる」
前は谷津の谷にのぞむ急斜面、上は山に囲まれた深い谷戸やど、山曲にわずかばかりの瘠せ田があるが、五年ほど前から人が住まなくなり、荒れたままになっているという、いかにも取詰めた場所である。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
鳥と魚との水底に沈みし時にこそ、このうばは汝が星のやどるところを見つれ。鷲よ。いで日に向ひて飛べ。老いたる母は巣にありて、喜の目もてそを見送らんとす。汝が翼をば、誰にも折らせじといふ。
当分は、厄介になるつもりだから、折を見て、またとくと、談合しよう。……それよりも、その後はどうだ。……え、将門。あの江口の遊宿やどの草笛みたいな君には、その後、出会わないのか。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夫子ふうしのたまわく、『衆生かならず死す、死すればかならず土に帰す。これ、これを鬼という。骨肉下陰にたおれて野土やどとなり、その気上に発揚して、昭明焄蒿悽愴しょうめいくんこうせいそうとなると、云云』
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)