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旅宿
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ふりがな文庫
“
旅宿
(
やど
)” の例文
越前
(
ゑちぜん
)
の
府
(
ふ
)
、
武生
(
たけふ
)
の、
侘
(
わび
)
しい
旅宿
(
やど
)
の、
雪
(
ゆき
)
に
埋
(
うも
)
れた
軒
(
のき
)
を
離
(
はな
)
れて、二
町
(
ちやう
)
ばかりも
進
(
すゝ
)
んだ
時
(
とき
)
、
吹雪
(
ふゞき
)
に
行惱
(
ゆきなや
)
みながら、
私
(
わたし
)
は——
然
(
さ
)
う
思
(
おも
)
ひました。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いや、ことによったら、その供の男ッて奴は、ケタ
外
(
はず
)
れな人間だから、
旅宿
(
やど
)
へ連れて帰ってしまったんじゃないかと思ってさ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で元気よく三脚を片付け
旅宿
(
やど
)
へ帰えろうと
為
(
し
)
かけますと、其時まで観ていた
男女
(
ふたり
)
の者から呼び止められたのでございます。
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
旅宿
(
やど
)
は
三浦屋
(
みうらや
)
と云うに定めけるに、
衾
(
ふすま
)
は
堅
(
かた
)
くして
肌
(
はだ
)
に妙ならず、戸は風
漏
(
も
)
りて
夢
(
ゆめ
)
さめやすし。こし方行末おもい続けてうつらうつらと一夜をあかしぬ。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
衣装
(
みなり
)
といい品といい、一見して別荘に来て居る人か、それとも
旅宿
(
やど
)
を取って滞留して居る紳士と知れた。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
殺される十日
程
(
ほど
)
前、
夜中
(
やちう
)
、
合羽
(
かつぱ
)
を
着
(
き
)
て、
傘
(
かさ
)
に雪を
除
(
よ
)
けながら、
足駄
(
あしだ
)
がけで、四条から三条へ帰つた事がある。其時
旅宿
(
やど
)
の二丁程手前で、
突然
(
とつぜん
)
後
(
うしろ
)
から長井
直記
(
なほき
)
どのと呼び懸けられた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ああ、御苦労さま、——ついそこの、花村と言う、
旅宿
(
やど
)
の前に着けて下さい」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
旅宿
(
やど
)
での、大酒、高声、放談も慎んで頂きたい
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
越前
(
えちぜん
)
の府、
武生
(
たけふ
)
の、
侘
(
わび
)
しい
旅宿
(
やど
)
の、雪に埋れた軒を離れて、二町ばかりも進んだ時、吹雪に行悩みながら、私は——そう思いました。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし
旅宿
(
やど
)
はすぐ
斜向
(
すじむか
)
いなので何の苦もない。開いている戸の間からはいって、寝臭い暗闇を撫でながら二階へ上がった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上等の食物に味のよい飲料、
旅宿
(
やど
)
も最うチャンと取ってある。これでは不平が無い筈である。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大津は
故
(
ゆえ
)
あって東北のある地方に住まっていた。
溝口
(
みぞのくち
)
の
旅宿
(
やど
)
で初めてあった秋山との交際は全く絶えた。ちょうど、大津が溝口に泊まった時の時候であったが、雨の降る晩のこと。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
殺される十日程前、
夜中
(
やちゅう
)
、
合羽
(
かっぱ
)
を着て、傘に雪を
除
(
よ
)
けながら、足駄がけで、四条から三条へ帰った事がある。その時
旅宿
(
やど
)
の二丁程手前で、突然
後
(
うしろ
)
から長井直記どのと呼び懸けられた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
はじめて、泊りました、その土地の町の
旅宿
(
やど
)
が、まわり合せですか、因縁だか、その宿の隠居夫婦が、よく昔の事を知っていました。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「呉用先生のいいつけだから、どうでも
旅宿
(
やど
)
へ連れて行こうと思ってよ、こっちも夢中で追ン廻しているうちに、あの蓮池へ落ッこちてしまった」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ラシイヌは心でこう思って
飽気
(
あっけ
)
ないような表情をしたが、ダンチョンを
抛擲
(
うっちゃ
)
っても置けないので、彼を
旅宿
(
やど
)
まで運ぶための自動車を探しに街の方へ、大速力で走って行った。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その次は四国の三津が浜に一泊して汽船
便
(
びん
)
を待った時のことであった。夏の初めと記憶しているが僕は朝早く
旅宿
(
やど
)
を出て汽船の来るのは午後と聞いたのでこの港の浜や町を散歩した。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
伯父
(
おぢ
)
は振り向きもせず、矢張り
傘
(
かさ
)
を
差
(
さ
)
した儘、
旅宿
(
やど
)
の
戸口
(
とぐち
)
迄
来
(
き
)
て、
格子
(
こうし
)
を
開
(
あ
)
けて
中
(
なか
)
へ
這入
(
はいつ
)
た。さうして格子をぴしやりと
締
(
し
)
めて、
中
(
うち
)
から、長井
直記
(
なほき
)
は拙者だ。何御用か。と聞いたさうである。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
食われて蟹が嬉しがりそうな
別嬪
(
べっぴん
)
ではありませんが、何しろ、毎日のように、昼ばたごから——この
旅宿
(
やど
)
の料理番に
直接
(
じか
)
談判で蟹を
食
(
や
)
ります。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
誰のご紹介をお持ちになろうと、お会いになる気づかいはありません——とは、この
旅宿
(
やど
)
の
主
(
あるじ
)
もいったことばである。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして
旅宿
(
やど
)
へ帰った頃には其絵のことも彼女のことも増して酒井のことなどは思い浮かべようとさえ為ませんでした。次に描く
意
(
つも
)
りの画稿のことを私は思い詰めていたのでした。
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
伯父は振り向きもせず、やはり傘を差したまま、
旅宿
(
やど
)
の戸口まで来て、
格子
(
こうし
)
を開けて中へ
這入
(
はいっ
)
た。そうして格子をぴしゃりと締めて、
中
(
うち
)
から、長井直記は拙者だ。
何
(
なに
)
御用か。と聞いたそうである。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
旅行
(
りよかう
)
して
旅宿
(
やど
)
に
着
(
つ
)
いて
此
(
この
)
がつかりする
味
(
あぢ
)
は
又
(
また
)
特別
(
とくべつ
)
なもので、「
疲勞
(
ひらう
)
の
美味
(
びみ
)
」とでも
言
(
い
)
はうか、
然
(
しか
)
し
自分
(
じぶん
)
の
場合
(
ばあひ
)
はそんなどころではなく
病
(
やまひ
)
が
手傳
(
てつだ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだから
鼻
(
はな
)
から
出
(
で
)
る
息
(
いき
)
の
熱
(
ねつ
)
を
今更
(
いまさら
)
の
如
(
ごと
)
く
感
(
かん
)
じ
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「うつけた
女子
(
おなご
)
よの、音羽山の奥まで行くのに灯りなしでこの婆を歩ます気か、
旅宿
(
やど
)
の提燈を借りて来なされ」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……余り世間では知りませんが、
旅宿
(
やど
)
が江戸時代からの旧家だと聞いて来たし、名所だし、料理
旅籠
(
はたご
)
だししますから、いずれ由緒あるものと思われる、従って古いのです。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
近年村々へ虚無僧、修行の
態
(
てい
)
にて参り、百姓共へねだりヶ間敷儀申掛、或は
旅宿
(
やど
)
を申付候様村役人へ申候故、宿取遣候得ば、
麁宅
(
そたく
)
にて止宿成難を申あばれ、其の場に居合候ものどもを
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「小袖を訊いているのじゃない、胴着を出してたも。それから足袋も洗うてあるか、草履の緒もゆるい。
旅宿
(
やど
)
へ告げて、わら草履の新しいのをもろうて来ておくりゃれ」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……のちに、大沼で、とれたといって、
旅宿
(
やど
)
の台所に、白い
雁
(
がん
)
が
仰向
(
あおむ
)
けに、
俎
(
まないた
)
の上に乗ったのを、ふと見まして、もう一度ゾッとすると、ひきつけて倒れました事さえあるんです。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「今は、何も云うめえ。どこか
旅宿
(
やど
)
へでも落着いてから云うが、おれはおめえの心意気が
欣
(
うれ
)
しいんだ。捨てるくらいなら初めから、
費
(
つか
)
い
途
(
みち
)
も聞かずにあんな金を出しはしない」
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なつかしい浮世の
状
(
さま
)
を、山の
崖
(
がけ
)
から掘り出して、
旅宿
(
やど
)
に
嵌
(
は
)
めたように見えた。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「きょうとも
明日
(
あす
)
ともしてないのじゃ、
幾歳
(
いくつ
)
になってもあの子ときては子供じゃでのう。……それより自分で
旅宿
(
やど
)
へ来ればよいに、住吉のこともあるので、
間
(
ま
)
がわるいのじゃろ」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旅宿
(
やど
)
に
着
(
つ
)
いて、
晩飯
(
ばんめし
)
と……お
魚
(
さかな
)
は
何
(
ど
)
ういふものか、と
聞
(
き
)
いた、のつけから
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
軽井沢へ避暑の真似をして、
旅宿
(
やど
)
の
払
(
はらい
)
にまごついたというのではない。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
旅宿
(
やど
)
へ。——どこの
旅籠
(
はたご
)
だ、その家は」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「仮のお
旅宿
(
やど
)
は」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旅
常用漢字
小3
部首:⽅
10画
宿
常用漢字
小3
部首:⼧
11画
“旅宿”で始まる語句
旅宿屋
旅宿代
旅宿花
旅宿住居