良人やど)” の例文
先日も良人やどが米国の料理学校の試験問題を伺って私に委しく話しましたが私はナゼ娘の時代にそういう事を試験してもらわなかったろう
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
(女中たちが、そんな乱暴なことをして済みますか。良人やどなら知らぬこと、両親ふたおやにだって、指一本ささしはしない。)
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「トムさん、こんなお金をいただいてどうしましょう。良人やどが帰ってから叱られます。どんな内職をしても、留守のうちだけはやって行きますから……」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はい、私の良人やどが帰りませんから、尋ねて参りますのでございますが、仮令たとえおっと𢌞めぐり逢いましても、一人の娘を
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「私の申し上げようが手ぬるいと言っていつも私は良人やどしかられるんですよ。かんしゃくを起こしてひどく私をちのめすんです。ほんとにやりきれやしない」
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
あきれるよ良人やどがあり過て当りの附かない方じゃないか、いちゃんじゃア有るまいしとともに笑った。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
奥様おくさん勿体ないこと、奥様の信仰の堅くてらつしやいますことは、良人やど毎々つねづね御噂申上げるので御座いましてネ、お前などはホンとに意気地いくぢが無くてけないツて、貴女
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ゆっくりおやすみなさいませ! それから何か他に御用はありませんか? ひょっとお前さま、寝しなに誰かに踵を揉ませる習慣くせがありなさるんじゃありませんかね? 亡くなった良人やど
久さんのおかみは「良人やど正直しょうじきだから、良人が正直だから」と流石に馬鹿と云いかねて正直と云った。東隣のおとなしいばあさんも「久さん、お広さんは今何してるだンべ?」などからかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それがまだ、良人やどのゐる中は兎も角、亡くなつてからといふものは一層露骨になつてきたのです。三つの時から育て上げた彼奴までがさうなんです。この眼の惡いのもみんな先妻の罸だといふんです
古鏡 (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
マア綺麗ですこと。お三やちょいと御覧、誰が見てもお芋と思えないね。良人やどが旅から帰って参りましたら黙ってこれを
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そんならわしも少し考える事があるから、兎も角も預かって置くと申しまして、その儘預かりました、ところがアいう訳で良人やどが島流しになりましたから
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すそ曳摺ひきずりて奥様おくさまといへど、女はついに女なり当世たうせい臍繰へそくり要訣えうけついわく出るに酒入さけいつてもさけ、つく/\良人やど酒浸さけびたして愛想あいそうきる事もございますれど、其代そのかはりの一とくには月々つき/\遣払つかひはらひに
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
と松村の穏かに弁疏するを、の春山はシヤちやり出でつ「わたし良人やどから聞きましたのです、現に松島様が御自分で御披露になりましたさうで、軍人社会では誰知らぬものも無いので御座います」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
こちらに居られます身体からだじゃなし、もう二週間の上になったって、五日目ぐらいから、やいやい帰れって、言って来て、三度めに来た手紙なんぞの様子じゃ、良人やどの方の親類が、ああの、こうのって
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は舅姑しゅうと郷里きょうりにおりましたから此方こちらでは夫婦差向さしむかいでございましたが二十日ばかり過ぎるとある時良人やどが家の近所で車から落ちて右の腕を怪我けがしました。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
有難ありがたぞんじます、良人やど平素ふだん牛肉うしなどは三人前にんまへべましたくらゐで……。女「おや、おちなさいまし、早桶はやをけなかでミチ/\おといたしますよ。妻「したのでせう。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
良人やどわたしとしの十いくつも違ふのですもの、永く役に立つやうにして置かねばと何でも無しの挨拶あいさつに、流石さすがおせつかいの老婢ばあやもそれはそれはで引下ひきさがつたさうだ此処迄こゝまで来ればうらみは無い。
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
お登和さん、先日良人やど貴嬢あなたから三十銭料理や二十銭料理を教えて戴きまして宅へ帰ってから一々みんな試みてみましたが大層経済に出来てどんなによろこびましてしょう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
良人やどほかへ養子にでも往ったのではないか、女房子を振捨てゝ、ほかへ養子にはいるとはあんまり情ない不実な人と怨んでいたのはわたくしあやまり、良人つれあい左様そういう訳になりまして
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
良人やどという詞を聞て今日は妬ましいよりは心細いように思われ、いつもの如く後の床柱へもたれて、虚と実と二つのりょう肚裡はらのうちで闘って居ると、歌ちゃんはこの頃のろけ癖が附いたよと婢が云うを
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
中川さん、良人やどが先日貴君あなたの処で伺ったと申してお料理のたびに必ずいものとにがいものを拵えろと申しますが酸いものはまだ出来ますけれども苦いものには困ります。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
連の者が先へ帰って来ても良人やどでは帰って来ませんから、何うした訳かと案じて居りましたが、田舎では其の地に長らく居りますと、養子にすると云う事を聞きましたから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
又初めの沈黙に帰って居ると、婢は小歌の頭髪あたまを見て、洗ったね何だかさがったようだよそれにびんがと云って手を掛けようとするを、何でもいゝんだよこれが好きだって、おやそうだれが、良人やどがさ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
ああいう人の方が後生こうせいおそるべしだと良人やども申しておりました。この節の才子といわれる人はぐ物を覚えて直ぐ忘れて勉強という事をしませんから学校を出るとその先は進歩しません。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
由「はい、供には良人やどが」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)