いえ)” の例文
そのうちに、深夜の静寂しじまを破って、馬のいななきが聞え、いえの後ろのほうで人の気はいや戸の音がする。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
輪転機関のいえうごかす音と職工の臭い汗との交った細い間を通って、事務室の人々に軽く挨拶あいさつして、こつこつと長い狭い階梯はしごを登って、さてそのへやに入るのだが、東と南に明いたこの室は
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
老婆はその金で王成にいいつけて三百の良田を買わせ、いえを建て道具を作らしたので、居然たる世家きゅうかとなった。老婆は朝早く起きて王成に農業の監督をさし、細君に機織はたおりの監督をさした。
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「御免なさいよ、御隣家おとなりいえを借りたいんですが、」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
このいえには燈火あかりもない。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)