自宅いえ)” の例文
それからこっち、お藤は浅草の自宅いえへも帰されずに、離室からは毎日のように左膳の怒号どごうにもつれてお藤の泣き声がれているのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
突然いとまを告げて、そしてぼんやり自宅いえに帰った。かれは眩暈めまいのするような高いところに立っていて、深い谷底を見ろすような心地ここちを感じた。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
何かしきりに考えながら帰路かえりを急いで、三次は花川戸の自宅いえを起した。
朝早くからひとりで噪気はしゃいで、煎餅の仕上げが済むと同時に、夕暮れ近くいそいそとして自宅いえを出て行ったが、それが小半時も経ったかと思うころ、蒼白まっさおな顔に歯を喰い縛って裏口から帰って来て