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褥
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とこ
ふりがな文庫
“
褥
(
とこ
)” の例文
僕が荷物を持って帰ったのを見て、妻は
褥
(
とこ
)
の中からしきりに吉弥の様子を聴きたがったが、僕はこれを説明するのも不愉快であった。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
と
黒斜子
(
くろなゝこ
)
の
五所紋
(
いつところもん
)
の上へ
行儀霰
(
ぎょうぎあられ
)
の
上下
(
かみしも
)
を着け、
病耄
(
やみほう
)
けて居る伊之助を、
褥
(
とこ
)
へ寄掛りを
拵
(
こしら
)
えて、それなりズル/\座敷へ
曳摺
(
ひきず
)
り出しますと
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その寝るには表の往来を枕にして、二つ並べて
展
(
の
)
べた
褥
(
とこ
)
の
枕辺
(
まくらもと
)
の方にはランプを置いて、
愈々
(
いよいよ
)
睡る時はそのランプの火を吹き消して
昏
(
くら
)
くする。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
その日の朝から月のものが来たと
詐
(
いつわ
)
ってあなたに告げてもらい、それから
褥
(
とこ
)
の上で私はあなたの眼を観察しようと思いましたけれども、用心深いあなたは、眼鏡を御取りにならず
秘密の相似
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
一時間程を経て文三は
漸
(
ようや
)
く寐支度をして
褥
(
とこ
)
へは
這入
(
はい
)
ッたが、さて眠られぬ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
お銀も
褥
(
とこ
)
のうえに起きあがって、
蠢動
(
うごめ
)
く産児を見てにっこりしていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私と一所に安倍川へ行って餅を食べて茶を
喫
(
の
)
んで帰った事もあったんですが、それがいいめを見せたんで、先頃からまたどッと
褥
(
とこ
)
に着いて、今は
断念
(
あきら
)
めた処から、貴女を見たい、一目逢いたいと
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と其の夜は根岸の
家
(
うち
)
へ泊込み、
酒肴
(
さけさかな
)
で御馳走になり
大酩酊
(
おおめいてい
)
をいたして
褥
(
とこ
)
に就くが早いかグウクウと
高鼾
(
たかいびき
)
で寝込んで
了
(
しま
)
いました。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし、まだ暑いので、
褥
(
とこ
)
を取る気にはならない。仰向けに倒れて力抜けがした全身をぐッたり、その手足を延ばした。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
晋齋も
心中
(
しんちゅう
)
を察していると見え、心持がわるくば寝るがいゝと許しますので、お若は
褥
(
とこ
)
をとって
夜着
(
よぎ
)
引っ被りましたが、何うして眠られましょう
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
褥
(
とこ
)
へ這入つてからも、疲れてはゐながら、ゆうべの樣に眠りつけない。お鳥が到着しさへすれば、勇が出さないでも、かの女から直接に返電しさうなものだ。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
前に
褥
(
とこ
)
を取り、桐の胴丸
形
(
がた
)
の火鉢へ
切炭
(
きりずみ
)
を
埋
(
い
)
け、其の上に利休形の鉄瓶がかゝって、チン/\と湯が
沸
(
たぎ
)
って居りまする。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「風を引くから、起きたらどうだ? そして、ここへとまるつもりなら、
褥
(
とこ
)
を取つたらいいでないか?」かう義雄が云つても、かの
女
(
ぢよ
)
は返事もせず、動きもしない
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
これを形見にとて譲られた合口を持ったなり、
褥
(
とこ
)
をいざり出て、そっと音のしないように雨戸を明け、
室着
(
へやぎ
)
の儘で
裾
(
すそ
)
を敷いたなりで、そろ/\と
飛石伝
(
とびいしづた
)
いに
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
女はそれでもまだ醉はない、醉はないと負け惜しみを云ひながら、ぐでん/\になつて
褥
(
とこ
)
に這入つた。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
お鳥は
褥
(
とこ
)
をぬけ出で、蒲團の裾に當る押し入れの膳やまな板を入れてある方の唐紙を靜かにあけた。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
義雄はそれを自分のかすりの
單衣
(
ひとへ
)
に着かへさせ、重い雛人形の樣に横抱きにして
褥
(
とこ
)
に入れる。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
家に歸ると、直ぐ、千代子の母——もう、
褥
(
とこ
)
に這入つてゐた——を書齋に呼びつけ
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
僕は、妻を
褥
(
とこ
)
につけてから、また井筒屋へ行って飲んだ。吉弥の心を確かめるため、また別れをするためであった。十一時ごろ、帰りかけると、二階のおり口で、僕を
捉
(
とら
)
えて言った。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「まだ
褥
(
とこ
)
に這入つてゐない、な。」坐わつて、酒のにほひをぷん/\させる。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
お鳥はこれを怒つて、いつもさきに
褥
(
とこ
)
へ這入つてゐた。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
その夜、
褥
(
とこ
)
に這入つてから
泡鳴五部作:01 発展
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
“褥(
茵
)”の解説
茵(しとね)とは座ったり寝たりするときの敷物の古風な呼称。寝るときの敷物は「褥」という文字を使い、ベッドパッドなどのことを指す。本項では寝殿造りなどに見られる座具である「茵」について記す。
(出典:Wikipedia)
褥
漢検1級
部首:⾐
15画
“褥”を含む語句
病褥
裀褥
就褥
産褥
御褥
産褥熱
座褥
褥熱
産褥中
臥褥
褥中
寢褥
褥瘡
褥榻
褥裏
大褥
褥椅子
褥椅
褥摺
衾褥
...