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とこ
ふりがな文庫
“
臥床
(
とこ
)” の例文
彼女の衰えた
身体
(
からだ
)
は、正太の祝言を済ました頃から、
臥床
(
とこ
)
の上に
横
(
よこた
)
わり勝で、とかく
頭脳
(
あたま
)
の具合が悪かったり、手足が痛んだりした。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
平田は
臥床
(
とこ
)
の上に立ッて帯を締めかけている。その帯の端に吉里は膝を投げかけ、平田の羽織を顔へ当てて伏し沈んでいる。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
ドッと
臥床
(
とこ
)
に
就
(
つ
)
くというほどではないが、大変に
気息
(
いき
)
切れがして、狭い家の中を掃くのさえ、中腰になって、せいせいといい、よほど苦しいような
塩梅
(
あんばい
)
である。
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
言いつつしずかに入り来たりし加藤子爵夫人は、看護婦がすすむる椅子をさらに
臥床
(
とこ
)
近く引き寄せつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
先に立つて智恵子の
室
(
へや
)
に入つて、手早く机の上の洋燈を
点
(
とも
)
す。
臥床
(
とこ
)
が延べてあつた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
泥棒の
噂
(
うはさ
)
の立つ毎に、ひよつとして自分の本箱や
行李
(
かうり
)
の中に、ポケットなどに他人の金入れが紛れこんではゐないか、夜
臥床
(
とこ
)
をのべようと蒲団をさばく時飛び出しはしないか、と
戦々兢々
(
せん/\きよう/\
)
とした。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
われらはまだぬくまらぬ
臥床
(
とこ
)
を降りて、まどの下なる小机にいむかい、煙草くゆらするほどに、さきの笛の音、また窓の外におこりて、たちまち
断
(
た
)
えたちまちつづき、ひな
鶯
(
うぐいす
)
のこころみに鳴くごとし。
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
日の光は町々の屋根を
掠
(
かす
)
めて、部屋の内へ射込んでいた。
臥床
(
とこ
)
の上にツクネンとしている叔父の前で、正太はその鉛の入った繭を転がして見せた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それも出来ず、始終、
臥床
(
とこ
)
に就くではないが、
無聊
(
ぶりょう
)
そうにぶらぶらしておられました。
幕末維新懐古談:28 東雲師逝去のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
黎明
(
しののめ
)
の光が漸く障子に
仄
(
ほの
)
めいた
許
(
ばか
)
りの頃、早く行くのを競つてゐる小供等——主に高等科の——が、
戸外
(
そと
)
から声高に友達を呼起して行くのを、孝子は毎朝の様にまだ
臥床
(
とこ
)
の中で聞いたものだ。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
惛々
(
こんこん
)
として
臥床
(
とこ
)
の上に倒れぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
彼は
一旦
(
いったん
)
入った
臥床
(
とこ
)
から復た
這出
(
はいだ
)
して、
蚊帳
(
かや
)
の外で煙草を
燻
(
ふか
)
し始めた。お仙も眠れないと見えて起きて来た。豊世も起きて来た。三人は縁側のところへ煙草盆を持出した。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
然う言つてお利代に手伝はれ乍ら
臥床
(
とこ
)
の上に寝せられた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「まあ、
母親
(
おっか
)
さんは
白粉
(
おしろい
)
などをおつけなさるんですか」と豊世も
臥床
(
とこ
)
を離れて来て言った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そればかりでは無い、若い時から
落魄
(
らくはく
)
の苦痛までも
嘗
(
な
)
めて来た三吉には、薬を飲ませ、物を食わせる人の情を思わずにいられなかった。彼が
臥床
(
とこ
)
を離れる頃には、最早
還俗
(
げんぞく
)
して了った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“臥床”の意味
《名詞》
臥床 (がしょう)
床につくこと。
病気により寝込むこと。
寝床。
《動詞》
横になる。
病気により寝込む。
(出典:Wiktionary)
臥
漢検準1級
部首:⾂
8画
床
常用漢字
中学
部首:⼴
7画
“臥床”で始まる語句
臥床辺