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とこ
「そんぢや、わし
蜀黍隱して
置く
處見出あんすから、
屹度有んに
極つてんだから」といふ
聲を
後にして
畑の
小徑をうねりつゝ
行つた。
「
奈何な港でせうなあ。H君の話では何でも非常に淫靡な
處ださうですね——今日は雪舟から歌麿ですかナ。」
恐ろしい
智惠者だと
賞めるに、
何だ
此樣な
事が
智惠者な
物か、
今横町の
潮吹きの
處で
饀が
足りないッて
此樣やつたを
見て
來たので
己れの
發明では
無い、と
言ひ
捨てゝ
「あゝ
善え
處だ、よう、おつぎ、
少と
此處まで
來てくんねえか」といつた。
彼は
百姓の
間には
馬を
曳いて
歩く
村落の
博勞であつた。
もう
何うでも
厭やに
成つたのですからとて
提燈を
持しまゝ
不圖脇へのがれて、お
前は
我まゝの
車夫さんだね、
夫ならば
約定の
處までとは
言ひませぬ、
代りのある
處まで
行つて
呉れゝば
夫でよし
「
先刻土手さ
行く
時、
堀つ
子ん
處へ
辷つたんですが、
其ん
時かうえに
汚したんでせうよ」とおつぎは
泥に
成つた
腰のあたりへ
手を
當てた。