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所
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とこ
ふりがな文庫
“
所
(
とこ
)” の例文
「なあ、光ちゃん、この頃あの人ぼんやり気イつき出して来たよって、用心せんとあかんねん。今日はあてがあんた
所
(
とこ
)
い行くわなあ」
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「何でございますか、向うの嘉吉さんの
所
(
とこ
)
の婆さんが気が
狂
(
ふ
)
れて
戸外
(
おもて
)
へ飛び出したもんですから、
皆
(
みんな
)
で取押えるッて騒いだんですよ。」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何ですとえ、
幾程
(
いくら
)
苦しいと云ッて課長さんの
所
(
とこ
)
へは
往
(
い
)
けないとえ。まだお前さんはそんな気楽な事を言てお
出
(
い
)
でなさるのかえ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
三田の三角の
所
(
とこ
)
の詰らない
所
(
ところ
)
に
引込
(
ひっこ
)
んで、それから
此方
(
こっち
)
へ
便
(
たよ
)
って来て、誠に私も三年越し喘息で、今にも死ぬかと思うが死なれもし無いで
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
藤吉がその日仲間の者四五人と一しょにある
所
(
とこ
)
で一杯やりますと、仲間の一人がなんかのはずみから藤吉と口論を初めました。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
わかったもんじゃ御座んせんが、それでもその紙が、その黒い髪の毛と一つ
所
(
とこ
)
に這入っていたことだけは間違いねえんで……。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「なにその蔦屋にね、欽吾さんと兄さんが
宿
(
とま
)
ってるんですって。だから、どんな
所
(
とこ
)
かと思って、小野さんに伺って見たんです」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大石さんの
所
(
とこ
)
へいらっしったの。あなた今時分いらっしったって駄目よ。あの方は十時にならなくっちゃあ起きていらっしゃらないのですもの。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
何しろ
新材料
(
はやみみ
)
と云う
所
(
とこ
)
で、近所の年寄や仲間に話して聞かせると辰公は
物識
(
ものし
)
りだと
尊
(
た
)
てられる。迚も
重宝
(
ちょうほう
)
な物だが、
生憎
(
あいにく
)
、今夜は余り
材料
(
たね
)
が無い。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
「私の
所
(
とこ
)
の小次郎は何と云っても拾い子で心配の度も少いが、あなたの所は血を分けた実子さぞ心配でござんしょうな」
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「や? ……
叡山
(
えいざん
)
にいた範宴だ、
法然
(
ほうねん
)
のところにかくれて、綽空と名をかえたと聞いたが、こんな
所
(
とこ
)
に住んでいたのか」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どこへいらしたのよう? そんな
所
(
とこ
)
で何をしてらっしゃるのよう? もうすっかり支度ができましたのよ!」
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
娘の分まで働いて遣るばかりでなく、朝飯のパンも半分分けてやり、昼飯には屹度何かしら
煖
(
あつた
)
かな物を二銭が
所
(
とこ
)
買つてやつてゐた。娘は始終一文無しなのだ。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
「ね、あたしどんな
所
(
とこ
)
へ行くのかしら。」一人のいてふの女の子が空を見あげて
呟
(
つぶ
)
やくやうに云ひました。
いてふの実
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その代り
吝
(
しは
)
き事も二とは下らねど、よき事には大旦那が甘い方ゆゑ、少しのほまちは無き事も有るまじ、厭やに成つたら私の
所
(
とこ
)
まで端書一枚、こまかき事は入らず
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「あんさん、えらい粋な
所
(
とこ
)
に住んだはりまんナ。こゝ、これを囲うたアる家と違いまんのか」
俗臭
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
昨宵
(
ゆうべ
)
もね、母が僕に
然
(
さう
)
云ふんだ。君が楠野さん
所
(
とこ
)
へ行ツた後にだね、「肇さんももう二十三と云へや小供でもあるまいに姉さんが
什麽
(
どんな
)
に心配してるんだか、
真実
(
ほんたう
)
に困ツちまふ」
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
やさしい京の
御方
(
おかた
)
の涙を
木曾
(
きそ
)
に落さ
落
(
おと
)
させよう者を惜しい事には前歯一本欠けた
所
(
とこ
)
から風が
洩
(
も
)
れて此春以来
御文章
(
おふみさま
)
を
読
(
よむ
)
も下手になったと、
菩提所
(
ぼだいしょ
)
の
和尚
(
おしょう
)
様に
云
(
い
)
われた程なれば
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼方
(
あなた
)
の一隅には「松公ン
所
(
とこ
)
の
父
(
ちやん
)
は朝から酒飲んでブウ/\ばかり、育つてるぢやねエか」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
兼
(
かね
)
て同所に此店の職人が住で居まして、先日得意先から注文された飾物を其職人に
誂
(
あつら
)
えて置きました
所
(
とこ
)
ろ、一昨日が其出来
揚
(
あが
)
りの期限ですのに、
夜
(
よ
)
に入るまで届けて来ませんから
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
塗師屋の主人は、それを手に取って、「オヤこれは
旨
(
うま
)
いもんだ。素晴らしい出来だ。
何処
(
どこ
)
から来たんだ。誰の作だ」と
訊
(
き
)
くと、「それは、何さんの
所
(
とこ
)
の弟子の何さんという人の作だ」
幕末維新懐古談:10 仏師の店のはなし(職人気質)
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
いやおっかアに無理はねい。金公が悪い。金公金公、金公どうしたっていうもんだから、金公もきまり悪く元の
所
(
とこ
)
へ戻ってくると、その始末で、いやはよっぽどの見もんであったとよ
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
『
母
(
かあ
)
さん
所
(
とこ
)
へ行つていらつしやいよう。いらつしやいてばよう。』
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
わたしどうかすると随分ひどい
所
(
とこ
)
に寝るのだから。10790
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「はてな、
何
(
ど
)
うしてこんな
所
(
とこ
)
へ出て来たらう。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
横浜の叔母さん
所
(
とこ
)
へ遣りませう
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
牝牛等呑んでる
所
(
とこ
)
へゆく。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
それに聞けば課長さんの
所
(
とこ
)
へも
常不断
(
じょうふだん
)
御機嫌伺いにお出でなさるという
事
(
こっ
)
たから、
必
(
きっ
)
とそれで
此度
(
こんど
)
も善かッたのに違いないヨ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「狭いんで驚いちゃ、シキへは
一足
(
ひとあし
)
だって
踏
(
ふ
)
ん
込
(
ご
)
めっこはねえ。
陸
(
おか
)
のように地面はねえ
所
(
とこ
)
だくらいは、どんな
頓珍漢
(
とんちんかん
)
だって知ってるはずだ」
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「僕はちょっとも気イ付かなんだ。………けど、そない云われると、水の前から、えらい馬が合うてるみたいな
所
(
とこ
)
があったな」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
兼「いゝえほんの心ばかりで、
生憎
(
あいにく
)
今日は持合せがなんですから又出直して参ります、本当に
能
(
よ
)
くねえ斯んな
所
(
とこ
)
にお住いで」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その
代
(
かは
)
り
吝
(
しは
)
き
事
(
こと
)
も二とは
下
(
さが
)
らねど、よき
事
(
こと
)
には
大旦那
(
おほだんな
)
が
甘
(
あま
)
い
方
(
はう
)
ゆゑ、
少
(
すこ
)
しのほまちは
無
(
な
)
き
事
(
こと
)
も
有
(
あ
)
るまじ、
厭
(
い
)
やに
成
(
な
)
つたら
私
(
わたし
)
の
所
(
とこ
)
まで
端書
(
はがき
)
一
枚
(
まい
)
、こまかき
事
(
こと
)
は
入
(
い
)
らず
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私しは氷を
喫
(
たべ
)
ようと思いましたが一人では余り淋しい者ですから右隣の
靴店
(
くつみせ
)
の
内儀
(
ないぎ
)
と左隣の
手袋店
(
てぶくろみせ
)
の内儀を招きました
所
(
とこ
)
ろ、二人とも
早速
(
さっそく
)
に参りまして十一時過までも
茲
(
こゝ
)
に居ました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「あたしどんなめにあってもいゝからお
母
(
っか
)
さんの
所
(
とこ
)
に居たいわ。」
いてふの実
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『今朝、小宮洋服店の主人が主筆ン
所
(
とこ
)
へ行つたさうだがね。』
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お仙は俺の
所
(
とこ
)
の女中だが、今じゃアやっぱりお客さんだ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
わたしもお前さん
所
(
とこ
)
の奉公人に交って顔を出しました。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「こんな末恐ろしい子は、わしが
所
(
とこ
)
へなど置けん」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あなた、そんな
所
(
とこ
)
に寝て……どうなすっ。……」
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
湯
(
ゆ
)
ヶ
原
(
はら
)
は
可
(
い
)
い
所
(
とこ
)
です、
初
(
はじ
)
めてゞすか。』
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「ええあの表通りの教師の
所
(
とこ
)
にいる薄ぎたない
雄猫
(
おねこ
)
でございますよ」「教師と云うのは、あの毎朝無作法な声を出す人かえ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こりゃアお作が
己
(
おら
)
ん
所
(
とこ
)
へよこした手紙だが、こんな手紙があったか、困った奴だナア、まアお
母
(
かゝ
)
さん、
私
(
わし
)
が
所
(
とけ
)
へ此の手紙を
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
………何? 行つたとは限らん?………阿呆らしい! 人の家の台所借つて、
鶏
(
かしわ
)
の肉
煮
(
た
)
いたりして、リヽーの
所
(
とこ
)
やなかつたら、
何所
(
どこ
)
へ持つて行きまんね。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
些
(
ち
)
イと課長さんの
所
(
とこ
)
へも
御機嫌
(
ごきげん
)
伺いにお出でお出でと口の酸ぱくなるほど言ッても強情張ッてお出ででなかッたもんだから、それでこんな事になったんだヨ
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その代り
吝
(
しは
)
き事も二とは
下
(
さが
)
らねど、よき事には
大旦那
(
おほだんな
)
が甘い
方
(
はう
)
ゆゑ、少しのほまちは無き事も有るまじ、
厭
(
い
)
やに成つたら私の
所
(
とこ
)
まで
端書
(
はがき
)
一枚、こまかき事は入らず
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『今朝、小宮洋服店の主人が主筆ン
所
(
とこ
)
へ行つたさうだがね。』
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
母
(
か
)
あ様のを一番
好
(
い
)
い
所
(
とこ
)
へ立てて
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「いい
所
(
とこ
)
で!」
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そんな人があるから、いけないんですよ。——それからまだ面白い事があるの。
此間
(
こないだ
)
だれか、あの方の
所
(
とこ
)
へ
艶書
(
えんしょ
)
を送ったものがあるんだって」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新「なに、此畜生め、オイ頭の
兀
(
はげ
)
てる
所
(
とこ
)
を
打
(
ぶ
)
つと、手が粘って変な心持がするから、棒か何か
無
(
ね
)
えか、
其処
(
そこ
)
に
麁朶
(
そだ
)
があらア、其の麁朶を取ってくんな」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“所”の解説
所(ところ)とは、特定の場所を指して称する呼び方。
(出典:Wikipedia)
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
“所”を含む語句
所為
何所
所有
所以
便所
所謂
此所
所業
所々
所爲
場所
所詮
他所
所作
御所
所天
所縁
一所
近所
台所
...