病褥とこ)” の例文
「いや、きょう限り、病褥とこをあげて起きるつもりです。やまいに負けていてはりもなし、気分もここ数日来ずっとい」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半歳近く病褥とこに就いたり、起きたりしてうつら/\日を送っているうちに、持合せの金は大方消費つかってしまった。遠く外国にいては金より他に頼みはない。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
御当家こなたさまのお蔭で人参を飲みましたせいか、段々宜しくなりまして、此の程病褥とこを離れましたと丹治がまいっての話でございますが、母が申しますに
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
花魁はそれでなくっても貴方を取殺そうと思ってる処へ、叔母さんにけしかけられたもんですから、むっくりと病褥とこの上へ起き直り、利かない身体で膝へ手を突いて
かく御無事を見とどけたうえは、それに懸る気残りもなし、同時に、安土城へ伺って、御処分を待たねばならぬとがもござれば、きょうこそ病褥とこあげの吉日、ここでお別れ申すことにする
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)