とこ)” の例文
旧字:
それがあるとこがうき世をいつたものじやないの。そりや銀さんは、あたしを不人情者とも、不貞腐ふてくされとも思つておいでだろう。もとよりあたしがわるいんさ。
もつれ糸 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
品川堀が西へ曲るとこに来た。丸太を組んだ高櫓たかやぐらが畑中に突立って居る。上には紅白の幕を張って、回向院の太鼓櫓たいこやぐらを見るようだ。北表面きたおもてまわると、墨黒々と筆太ふでぶと
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それは子供の為には「馬鹿」になるといふ事で、神様より人間の偉いとこたしかにこゝにある。丁度「愚痴」を持つてゐる女が、それを持合はさない男より強いやうなものだ。
使つかって見ると、少しおろかしいとこもあるが、如何にも親切な女で、いつ莞爾々々にこにこして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)