とこ)” の例文
北のかねさんとこは口の重い人達ばかり、家族中で歌の一つも歌おうと云う稲公いねこうは砲兵に、春っ子は小学校に往って居るので、おやじ、長男長女、三男の四人よったり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
お千鶴さんとこの兄さんが外務大臣で、先方へ乗り込んで講和の談判をなさるでしょう、それから武男うちが艦隊の司令長官で、何十そうという軍艦を向こうの港にならべてね……
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
『お八重さんが千太郎さまとこさ用あつて行くで、俺もれてぐ言ふでせア。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
下田の金さんとこでは、去年は兄貴あにきが抽籤でのがれたが、今年は稲公があの体格たいかくで、砲兵にとられることになった。当人はいさんで居るが、阿母おふくろが今からしおれて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
『お八重さんが千太郎さまとこさ用あつて行くで、俺もれてぐ言ふでせア。』
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
仁左衛門さんとこ大欅おおけやきが春の空をでて淡褐色たんかっしょくに煙りそめる。雑木林のならが逸早く、くぬぎはやゝ晩れて、芽をきそめる。貯蔵かこい里芋さといもも芽を吐くので、里芋を植えねばならぬ。月の終は、若葉わかば盛季さかりだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)