地点ところ)” の例文
旧字:地點
小谷間こたにあいの、いささか風雨を避けた地点ところに、白髪頭を土にり込まして、草加屋伊兵衛の血だらけの屍骸むくろが、仰向けに倒れていた。
⦅かう、魔性の地点ところぢや! 悪魔のそそのかしだ! あの人間の敵、ヘロデめが絲を引いてゐくさるのぢや。⦆
この林から一里ほど離れた地点ところに、だだっ広い前庭を持った一構えの農家が立ってい、家鶏にわとりひなが十羽ばかり、親鶏の足の周囲を、欝金色うこんいろの綿の珠が転がるかのように
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼所あそこなんぶか……つまり籠城中ろうじょうちゅうにそなたがかくれていた海岸かいがん森蔭もりかげじゃ。いまでも里人達さとびとたちは、とおむかしことをよく記憶おぼえていて、わざとあの地点ところえらぶことにいたしたらしい……。
そうそういつかわたくしがおまいりしたのは丁度ちょうどはるなかばで、あちこちのやまもりには山桜やまざくら満開まんかいでございました。走水はしりみず新井あらいしろから三四ばかりもへだった地点ところなので、わたくしはよく騎馬きばまいったのでした。