位置ところ)” の例文
我今まで恋とう事たるおぼえなし。勢州せいしゅう四日市にて見たる美人三日眼前めさきにちらつきたるがそれは額に黒痣ほくろありてその位置ところ白毫びゃくごうつけなばと考えしなり。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これ爾にふさわしき位置ところにして、また、爾にふさわしき勤めじゃ。みちは苦しかろうが、よく、疑わずして、ただ努めよ。玄奘の弟子の一人に悟空ごくうなるものがある。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
けれど心中は常時いつも不愉快で、自分がまさに行くべき位置ところに行くことも出来ず、みすみす栄ない日々の生活を送らなければならないのかと真から身の不幸せを歎いていた。
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
学殖のある紳士——先づ資産のある大学教授位の位置ところとする、女主人公の未亡人と、此の大学教授の細君とは、学校朋輩で、殆んど姉妹同様の間柄、そして此の教授夫人は、基督教キリストけう信者の
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)