個所ところ)” の例文
その時、菩提樹の枝より一枚の葉舞い落ちて、彼の肩を離れず、その個所ところのみ彼を傷つけるを得ん。されば、われその手をおそるるなり】
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そのとき問答もんどう全部ぜんぶをここでおつたえするわけにもまいりねますが、ただあなたがた御参考ごさんこうになりそうな個所ところは、るべくもれなくひろしましょう。
三度裏表をかえしたり同じ個所ところを見直したりするような、嫌がられこそはしないものの、早く言えば法どおりに扱かっているだけのことで、この安斎十郎兵衛
寛永相合傘 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と云って、貴方が口笛で『乳母の踊り』の個所ところを吹くと、それにつれて、テレーズの自動弾条人形ペトルーシュカが動き出すというのではないのです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いかにたずねてもたずねても、竜神りゅうじん生活せいかつなにやらうすまくへだてたようで、シックリとはちない個所ところがございます。
時々暗い個所ところで駕籠を停めて前棒が闇黒やみに隠れることがあったが、酒代さかてでも強請ねだりに客を追うのだろうくらいに考えて、辰は別に気にもとめなかったというが
それが盤根錯綜として重なり合っている個所ところの形状を、何かの動機で知ることが出来はしまいかと考えたのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
さてこそ独り胸に頷首うなずいて、勘次はすこし離れた個所ところに立っておりきの家へ張り込もうと考えたが、見つけられては面白くない、身を隠す塀もがなとあたりを見廻すと
はげしい昂奮こうふんからめたわたくしは、もちろんわたくし守護霊しゅごれいむかっていろいろと質問しつもんはなち、それでもちぬ個所ところがあれば、指導役しどうやくのお爺様じいさまにも根掘ねほ葉掘はほいつめました。
それが、クリヴォフ夫人の洗髪あらいがみを怪しい男が縛りつけた——という個所ところに当る。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)