箇処ところ)” の例文
旧字:箇處
それにも拘らず溺死者の死体は外に怪しい箇処ところも無いので、其儘受取人として名告なのつて出たかの娘つ子に下渡さげわたされた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
未見みちの境を旅するといふ感じは、犇々ひしひしと私の胸に迫つて来た。空は低く曇つてゐた。目を遮ぎる物もない曠野の処々には人家の屋根が見える。名も知らぬ灌木くわんぼくの叢生した箇処ところがある。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)