“境地”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きょうち40.0%
きやうち20.0%
ところ10.0%
さかひ10.0%
けうち10.0%
とち10.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
これは恐るべき度胸どきょうだと、感嘆したことを今でもおぼえているが、二十年をた今となると私自身が、まったく、それと同じ境地きょうちに落ちつこうとしているのだ。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
もしむかしから世俗せぞくとほ安心あんじんとか立命りつめいとかいふ境地きやうちに、坐禪ざぜんちからたつすること出來できるならば、十日とをか二十日はつか役所やくしよやすんでもかまはないからつてたいとおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『あなたは、こんな神聖しんせい境地ところ立派りっぱ御修行ごしゅぎょうわたくしなどはとても段違だんちがいで、あなたの足元あしもとにもりつけはしませぬ……。』
調子揃つた足擦あしずれの音、華やかな、古風な、老も若きも恋の歌を歌つてゐる此境地さかひから、不図目を上げて其静かな月を仰いだ心境ここちは、何人も生涯に幾度いくたびとなく思浮べて
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
下町などの球突塲たまつきばによくあるいはゆる球突塲たまつきば分なるものは、わたしにははなは有難ありかたくないものだが、さういふ純粹じゆんすい境地けうちになると、ちよつと淫してもわるくない誘惑物ゆうわくぶつだ。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
昼間こそ人々はき来したが、夜になるとほとんどだれも通らず、ただひたすら先を急いで迂回することをいとう人ばかりが、恐々こわごわながらもこの境地とちを、走るようにしてとおるばかりであった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)