“怡々”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いい52.9%
いそいそ17.6%
いそ/\17.6%
いゝ5.9%
ついつい5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
満腹の饒舌にょうぜつろうして、あくまでこの調子を破ろうとする親方は、早く一微塵いちみじんとなって、怡々いいたる春光しゅんこううちに浮遊している。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
静子は、逢つたら先づ話して置かうと思つてゐたことも忘れて、この夏は賑やかに楽く暮せると思ふと、もう怡々いそいそした心地になつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
其麽時は、孝子は用もない帳簿などをいぢくつて、人後ひとあとまでのこつた。月給を貰つた爲めに怡々いそ/\して早く歸るなどと、思はれたくなかつたのだ。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
実際沼倉は、「己は太閤秀吉になるんだ」と云って居るだけに、何となく度量の弘い、人なつかしい所があって、最初に彼を敵視した者でも、しまいには怡々いゝとして命令を奉ずるようになる。
小さな王国 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
途端に轟然たる音がして、石灯籠の頂上から、一道の烽火のろしが立ち上り、春日怡々ついついたる長閑の空へ、十間あまり黄煙を引いた。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)