“人後”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
じんご60.0%
ひとあと40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ひそか人後じんごに落ちないと思っていたが、しかしいざ筆を取って見ると文才と共に思想の足りない事を知って往々絶望していたこともあった。
正宗谷崎両氏の批評に答う (新字新仮名) / 永井荷風(著)
死せざるにまさる恥があるということの分別はいずれも人後じんごに落ちないものであったから、彼等は死を争おうとも、それに異議をとのうるものが一人もあるべきはずがない。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
其麽時は、孝子は用もない帳簿などをいぢくつて、人後ひとあとまでのこつた。月給を貰つた爲めに怡々いそ/\して早く歸るなどと、思はれたくなかつたのだ。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
孝子は気毒きのどくさに見ぬ振をしながらも、健のその態度やうすをそれとなく見てゐた。そして訳もなく胸が迫つて、泣きたくなることがあつた。其麽そんな時は、孝子は用もない帳簿などをいぢくつて、人後ひとあとまで残つた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)