“怡”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たの52.0%
よろこ32.0%
い4.0%
いそ4.0%
うれ4.0%
たのし4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分のような女性だったら、十分彼を怡(たの)しませるに違いないという、自身の美貌(びぼう)への幻影が常に彼女の浮気心を煽(あお)りたてた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かかれば何事にも楽むを知らざりし心の今日偶(たまた)ま人の相悦(あひよろこ)ぶを見て、又躬(みづから)も怡(よろこ)びつつ、楽(たのし)の影を追ふらんやうなりしは何の故ならん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
(しかしそれらの中に沈んでゐるのは、孤独の滓(おり)ではない。ひどく華やいだ、むしろ孤独怡(い)悦の神(こころ)の、——隠微(いんび)な擬態(まどはし)だつたやうだ)
雪 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
靜子は、この夏は賑やかに樂く暮せると思ふと、逢つたら先づ話して置かうと考へてゐたことも忘れて、もう怡(いそ)々した心地になつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
閉(たて)きってあったような、その新建(しんだち)の二階の板戸を開けると、直ぐ目の前にみえる山の傾斜面に拓(ひら)いた畑には、麦が青々と伸びて、蔵の瓦屋根(かわらやね)のうえに、小禽(ことり)が怡(うれ)しげな声をたてて啼(な)いていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
目下頗る心を怡(たのし)ましむるに足る情人を我所有としてゐる。然るに僕は此手紙を書いてしまふと、あの黯澹たる深紅色の我目を喜ばしむる、美しい波斯の氈の上で自殺しようと思ふ。
不可説 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)