“いそ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イソ
語句割合
61.7%
21.4%
9.4%
2.0%
1.1%
0.9%
五十0.6%
0.3%
0.3%
厳石0.3%
居初0.3%
巌岩0.3%
0.3%
急歩0.3%
急速0.3%
0.3%
遺礎0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
達二たつじは早く、おじいさんの所へもどろうとしていそいで引っかえしました。けれどもどうも、それは前に来た所とはちがっていたようでした。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
近くのいそ茶屋で、そのまま歓送の宴が張られた。遅れせに見送りに来た藩士も加えて、人数はいつか二十名近くにもなっている。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
原口さんは無論ゐる。一番さきて、世話をいたり、愛嬌を振りいたり、仏蘭西式のひげつまんで見たり、万事いそがしさうである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「いえ、竹取物語はこうして生れたのです。そしてその作者はいそかみ文麻呂ふみまろう人です。……」
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
○さて此標準へうじゆんたる実事じつじをきゝしに、北海はいづれの所も冬にいたれば常に北風はげしくいそへ物をうちよする、椎谷しひやはたきものにとぼしき所ゆゑ貧民ひんみん拾ひ取りてたきゞとなす事常なり。
そのいそしみを、郎女も時には、端近くいざり出て見て居た。とがめようとしても、思いつめたような目して、見入って居る姫を見ると、刀自は口を開くことが出来なくなった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
鉢にして花ひらきたる朝顔の五十いそあまり置きて足蹇あしなへ君は
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
宅旁の寺の一尼抱き帰り自らこれをやしなう、一日尼出で、その母付き自ら抱く、角出で鱗ち、母大いに驚きこれを地に墜す、尼心大いに動く、いそぎ還りこれを見て曰く、わが児を驚かし
「内分にでござろう、心得ておるよ。——しかし、山狩山狩と、掛け声ばかりで、こう延び延びになっていては、農家の困窮はもとより、人心恟々きょうきょう、良民は安んじて業にいそしむことはでけん」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
厳石いそうへに生ふる馬酔木あしびを」と言はれたので、春がけて、夏に入りかけた頃だと知つた。おれのむくろは、もう半分融け出した頃だつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「きょうは日が好かったので、ほんの真似事にでもこうして居初いそめさせていただきました。これだけで帰るのはいかにも残念ですが——」と、すこししおれた様子で、お帰りになって往かれた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
巌岩いその上に生ふる馬酔木あしびを」と聞えたので、ふと、冬が過ぎて、春もけ初めた頃だと知った。おれのむくろが、もう半分融け出した時分だった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
靜子は、この夏は賑やかに樂く暮せると思ふと、逢つたら先づ話して置かうと考へてゐたことも忘れて、もういそ々した心地になつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
若子さんが人と人との間を潜る様にして、急歩いそいでお行でですから、私も其後に尾いて行きながら、振返って見ますと、今度は学生も尾いて来ませんでした。
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
『帰つたつていじやアないか。乃公おれは出るから』と言ひ放つて、何か思ひ着いたと見え、急速いそいで二階にあがつた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しかし、暫く見詰みつめているとほかの砂と入り交って分らなくなりそうになったのでいそいでまた取り上げた。眼が些っと痛かった。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
霞亭の卜する所の宅は、所謂竹里の居で、西に竹林ちくりんを控へてゐた。林間の遺礎いそは僧涌蓮ゆれんが故居の址である。樵歌に「宅西竹林、偶見有遺礎、問之土人、云是師(涌蓮)故居、廃已久矣」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)