“磯:いそ” の例文
“磯:いそ”を含む作品の著者(上位)作品数
夏目漱石9
泉鏡花9
国木田独歩5
太宰治5
吉川英治4
“磯:いそ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 戯曲1.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
兄さんはいそへ打ち上げられた昆布こぶだか若布わかめだか、名も知れない海藻かいそうの間を構わずけ廻りました。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
母の顔、妻の顔、けやきで囲んだ大きな家屋、裏から続いたなめらかないそあおい海、なじみの漁夫の顔……。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
此前このまへ大嵐おほあらしばんに、とうとういそ打上うちあげられて、めちや/\になつて仕舞しまつたから
いそにうちよせてくる小波さざなみに、さぶ/\足を洗はせながら、素足で砂の上を歩くのは、わけてたのしいことでした。
さがしもの (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
「おとなしくぱだかになッちまえ、体だけは、ここから輪島わじまいそへながれ着くようにほうりこんでくれる」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「見せばやなわれを思わむ友もがないそのとまやのしばいおりを」——これが御形見おかたみに頂いた歌です。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
生温なまぬるいそから、塩気のある春風はるかぜがふわりふわりと来て、親方の暖簾のれんねむたそうにあおる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小田原で暴風雨があった時、村の漁船が二三杯沖へ出て居て、どうしてもなみしのいでいそへ帰る事が出来ない。
高浜虚子著『鶏頭』序 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あれ見い、血を取かわして飲んだと思うと、お前の故郷くにの、浦のいそに、岩に、紫とあかの花が咲いた。それとも、星か。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見ているうちに小舟が一そういそを離れたと思うと、舟から一発打ち出す銃音つつおとに、游いでいた者が見えなくなった。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いそうへふる馬酔木あしび手折たをらめどすべききみがありとはなくに 〔巻二・一六六〕 同
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
大君おほきみみことかしこみいそ海原うのはらわたる父母ちちははきて 〔巻二十・四三二八〕 防人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
なぜ兄さんが暗い石段の上で、いそぎながら、突然こんな話をし出したか、それは私には解りません。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いそ高くき上げし舟の中にお絹お常は浴衣ゆかたを脱ぎすてて心地ここちよげに水を踏み、ほんに砂粒まで数えらるるようなと
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
近くのいそ茶屋で、そのまま歓送の宴が張られた。遅れせに見送りに来た藩士も加えて、人数はいつか二十名近くにもなっている。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おかへ着いた時も、いの一番に飛び上がって、いきなり、いそに立っていた鼻たれ小僧こぞうをつらまえて中学校はどこだと聞いた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いその風一時ひとしきりくものを送って吹いて、さっと返って、小屋をめぐって、ざわざわと鳴って、寂然ひっそりした。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
場所は川原でなくともいそばた・海のほとり、または遠くの見える丘の上・橋のたもとなどを選ぶこともあった。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いそからは、満潮のさざめき寄せる波の音が刻々に高まりながら、浜藻はまもにおいをめた微風に送られてひびいて来た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
貝類はいそにて集むる事も有り、干潟ひかたにてひろふ事も有り、時としては深く水をくぐりてことも有りしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
しおが大きく退く満月の前後には、浦粕うらかすの海はいそから一里近い遠くまで干潟ひがたになる。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
留守はただいそ吹く風に藻屑もくずにおいの、たすきかけたるかいなに染むが、浜百合のかおりより、空燻そらだきより
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのうち船がある小さな島を右舷に見てそのいそから十町とは離れないところを通るので僕は欄に寄り何心なにげなくその島をながめていた。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
老母の答えもない。いや、灯火ともしびもない一室の隅に、いその禅師は、喪心したようにすすり泣いていた。
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とうら寂しげな夕間暮ゆうまぐれ生干なまび紅絹もみも黒ずんで、四辺あたりはもののいその風。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いそ一峯いつぽうが、(こし紀行きかう)に安宅あたかうらを一ひだりつゝ、とところにて、
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
吾一はどこからかいそへ打ち上げた枯枝を拾って来て、広い砂の上に大きな字と大きな顔をいくつも並べた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
日蓮の生れた日に、鯛が二いそに打ち上げられていたとかいう言伝いいつたえになっているのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夜はつめたいいその岩かげに組んだ小屋にねる。だが、そのあいださえ、羅刹らせつのような手下は、交代こうたい見張みはっているのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこいらをぎ廻った末、都合のいいいそへ船をもあいまして、男が舟をてて岸へ上りました。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは風の無い夢の中のようなで、あとから後からとふくらんで来て、微白ほのじろいそに崩れているなみにも音がなかった。
月光の下 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それに応じていそからは、長羅ながらを先駆に立てた一団が、花壇を突き破って宮殿の方へ突撃した。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
それと、妻の静に、妻の母のいそ禅師ぜんじと、わずか四人を連れたきりであったと、四天王寺の僧は、後で、取調べをうけた鎌倉の武士へ語った。
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんどは喜兵衛の方で指さした。——赤穂の城下である。千種川である。御崎おんざきいそである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
港屋の二階に灯が一つついて、汽車のふえがヒューと鳴るとき、おれの乗っていた舟はいその砂へざぐりと、へさきをつき込んで動かなくなった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
するといそに近い所に、真白に塗った空船からぶねが一そう、静かな波の上に浮いていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
明治五年ごろの晩春の夕方、伊良湖岬いらこざきの手前のいそに寄せて来た漁船があった。
参宮がえり (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と今更ながらびくのぞくと、つめたいそにおいがして、ざらざらと隅に固まるものあり、方丈記にいわく、ごうなは小さき貝を好む。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いそへ出ると、砂を穿って小さく囲って、そこいらの燃料もえくさ焚附たきつける。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ホレ。「寒いですねえ、こちらは。いその香がしますね。海から、まっすぐに風が吹きつけて来るのだから、かなわない。こちらは、毎晩こんなに寒いのですか?」
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
『オヤいそさん? なぜそんなところに立ってるの、おはいりな、』と娘は小声でいう。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いそは、人形を草の上に寝かしました。柔かい青い草は、ほんとに気持のよい寝床でした。
博多人形 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
老人がこう云いかけた時に、いその方から三人の仲間の塩汲しおくみがあがって来ました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
まだ、うみおよいでいた時分じぶんの、いそのこっていました。
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
その間も寂しい鬼が島のいそには、美しい熱帯の月明つきあかりを浴びた鬼の若者が五六人、鬼が島の独立を計画するため、椰子やしの実に爆弾を仕こんでいた。
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
海岸の岩の上や、いその松の根方から、おおいおおい、と板東声ばんどうごえで呼ばり立って、とうとう五人がとこ押込みましたは、以上七人になりました、よの。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
陸の方では燈火一つ見えないで、いそをたたく波の音がするばかり、暗くしんとしている。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
成経 とても九州までも行きはしますまい。潮風しおかぜに吹き流されて。この島のいそにでも打ちあげれば、あまの子が拾うてたきぎにでもしてしまうだろう。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
いそは、可哀かあいそうな人形を抱きあげて、ほおずりして喜びました。
博多人形 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
眼をあいたときには、まったく意志を失い、幽霊のように歩いて、いそへ出た。
狂言の神 (新字新仮名) / 太宰治(著)
私の心は千里はなれたいそにいて、浪にくるくる舞い狂っていたのである。
宇津木兵馬はその駕籠を守って、差出さしでいそにさしかかります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
うらめしや沖つ玉藻たまもをかづくまでいそ隠れける海人あまの心よ
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
温くて呆んやりしていて、いそはマチスの絵にあるようななぎさだ。
生活 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
その日よりして三好の家に辰弥の往復はいそ打つ波のひまなくなりぬ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
古いくすぶり返った藁葺わらぶきあいだを通り抜けていそへ下りると、このへんにこれほどの都会人種が住んでいるかと思うほど、避暑に来た男や女で砂の上が動いていた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
紀州田辺の紀の世和志と戯号した人が天保五年に書いた『弥生やよいいそ』ちゅう写本に、厳島いつくしまの社内は更なり、町内に鹿夥しく人馴れて遊ぶ、猴も屋根に来りてつどう。
いそを横ッとびの時は、その草鞋わらじを脱いだばかりであったが、やがて脚絆きゃはんを取って、膝まで入って、静かに立っていたと思うと、引返ひきかえしてはかまを脱いで
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一体こういう馬鹿げた形のものが、生きていることさえ不思議なのに、実際に南海のいそのほとりに地質年代の昔からずっと生存を続けて来ているということは、全く論外の沙汰さたである。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
と言っても素知らぬ顔をしている。「入りぬるいその草なれや」(みらく少なく恋ふらくの多き)と口ずさんで、そでを口もとにあてている様子にかわいい怜悧りこうさが見えるのである。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あれだちし波に心は騒がねどよせけんいそをいかが恨みぬ
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
わかめ、あらめ、ひじきなど、いその香もぷんとした。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、いそ波打際なみうちぎわに人影の動くのが見えた。
月光の下 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
天上の星といそ真砂まさごの数も容易に計算し得べし
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
東海とうかい小島こじまいそ白砂しらすな
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
一方は波風の烈しいいそがそうさせたのかも知れません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
よるべなみ風の騒がす船人も思はぬ方にいそづたひせず
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いそなみたまへん
舟津のいその黒い大石の下へ予の舟は帰りついた。
河口湖 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
いそがプーンと高く、三人の鼻をうった。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
七里ヶ浜のいそづたい、という、あの文章です。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
石油かんに、海がめやふかの油を入れ、小さなあなをいくつかあけて、二缶も三缶も、海に投げこんだ。しかし、岩にあたってあれくるい、まきあがるいその大波には、油のききめは、まったくなかった。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
「福島いそ……といふ人が居ますか。」
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
いそみちつつ曲る、
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あるゆうべ、雨降り風ちていそ打つ波音もやや荒きに、ひとりを好みて言葉すくなき教師もさすがにものさびしく、二階なる一室ひとまを下りて主人夫婦が足投げだしてすずみいし縁先に来たりぬ。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
さあ、あなた、いそへ出ませう、
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
雨を含んだ風がさっと吹いて、いその香が満ちている——今日は二時頃から、ずッぷりと、一降り降ったあとだから、この雲のかさなった空合そらあいでは、季節で蒸暑かりそうな処を、身にみるほどに薄寒い。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして、貴女を船に送出す時、いそに倒れて悲しもうが、新しい白壁、つやあるいらかを、山際の月に照らさして、夥多あまた奴婢ぬひに取巻かせて、近頃呼入れた、若いめかけに介抱されていたではないのか。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
春の風いその月夜は唯白し
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
津堅島つけんじまのシヌグ歌にツヅムヌ・ユリムヌというのは、粒物つぶものすなわち穀類とものすなわちいそに拾う物とのことらしいが、宮古島の世直よなおぶしでは、その粒をスズとも発音している。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いその夜霧に立ちし女よ
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さしでのいそ
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「好い処とも、それは好い処だよ、いそにはたまにする木が生えていたり、真珠を持った貝があったりするから、黄金こがねときれいなきぬをどっさり積んだ商人船あきんどぶねが都の方から来て、それと交易かえかえして往くことがあるよ」
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
今でも宮古島周辺の貝類採取地として年々多数の小舟さばにの集まっていたのは、北には沖縄本島への航路に接して、八重干瀬やえびしという広大な岩礁がんしょう地域があり、他の側面では属島伊良部島いらぶしま佐良浜さらはまいそまわりが著名であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さかなとりべます。さかなはひとりでにいそがってます。あなってその中にかくれて、とりこえをまねていると、とりはだまされてあなの中にとびんでます。それをとってべるのです。」
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
蒔絵の模様は、こうを除いたほとんど全部に行きわたっていて、両側の「いそ」は住吉すみよし景色けしきであるらしく、片側に鳥居とりい反橋そりはしとが松林の中に配してあり、片側に高燈籠たかどうろう磯馴松そなれのまつと浜辺の波が描いてある。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
最初に肉がちぢむ、詰め込んだガーゼで荒々しくその肉をすられた気持がする、次にそれがだんだん緩和かんわされて来る、やがて自然の状態に戻ろうとする、途端とたんに一度引いたなみがまたいそへ打ち上げるような勢で、収縮感が猛烈にぶりかえしてくる。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まさか、そのような夜叉やしゃでもあるまい。飲もう。飲まなければ死ぬであろう。おお、雪が降って来た。久し振りで風流の友と語りたい。お前はこれから一走りして、近所の友人たちを呼んで来るがいい。山崎、熊井くまい、宇津木、大竹、いそ、月村、この六人を呼んで来い。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
幽霊じゃなかったんです。しかし幽霊が出るって言ったのはいそっ臭い山のかげの卵塔場らんとうばでしたし、おまけにそのまたながらみ取りの死骸しがいえびだらけになってあがったもんですから、誰でも始めのうちはに受けなかったにしろ、気味悪がっていたことだけは確かなんです。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)