月光の下げっこうのした
空には清光のある夏の月が出て、その光に染められた海は広びろと蒼白い拡がりを持って静かに湛え、数日前大海嘯を起して、数万の人畜の生命を奪った恐ろしい海とは見えなかった。 そこは陸中の某海岸であった。一人の壮い漁師は沙丘の上に立って、悲しそうな …