“老翁”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ろうおう60.0%
らうをう8.0%
をぢ8.0%
おきな4.0%
じじい4.0%
おやじ4.0%
おやぢ4.0%
じいさん4.0%
じいや4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それに着物もはかまも粗末な、幾たびも水をくぐったような品で、ぜんたいがいかにもみすぼらしく、まるで貧しい農家の老翁ろうおうという感じだった。
晩秋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
我にまさるものには我れすなはち彼に問はん、百歳の老翁らうをうなりとも我に及ばざる者には我れ即ちを教へんと云つて、南泉なんせんといふ禅坊さんの所へ行つて二十年間まずに修業を継続したのだから
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かなしよ塩土しほつち老翁をぢ
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かの青年わかものは孫屋の縁先に腰かけて静かにこれらをながめそのわきに一人の老翁おきな腕こまねきて煙管きせるをくわえ折り折りかたみに何事をか語りあいては微笑ほほえ
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
上ではんなこととも知らないのであろう。大勢が声を揃えて市郎の名を呼んでいた。其中そのなかには塚田巡査のびた声も、七兵衛老翁じじい破鐘声われがねごえまじって聞えた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
白髪しらが合総がっそうに取り上げた撫付なでつまげ、品も威もある風貌、いわば幾とせの霜を経た梅の古木のおもかげでこの玄鶯院と名乗る老翁おやじ、どうもただの隠者とは受け取れない。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
されば菓子屋、植木屋、吹屋、射的場の前には、今一客を止めず。吹屋のねえさんは吃驚びつくりした半身を店から出せば、筆屋の老翁おやぢは二三歩往來へ進み出て、共に引き行く人浪の趾を見送る事、少時焉しばしたり。
二十三夜 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
この老人がその小さな丸い目を杉のもりの薄暗い陰でビカビカひからせて、黙って立っているのを見るとだれも薄気味の悪い老翁じいさんだと思う、それが老翁じいさんばかりでなく「杉の杜」というのが
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
老翁じいや、このへんかい。」と、市郎は立止たちどまってみかえると、七兵衛は水涕みずばなすすりながら進み出た。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)