“老夫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おやじ36.8%
おじ10.5%
おやぢ10.5%
らうふ5.3%
おっと5.3%
じじい5.3%
おきな5.3%
じい5.3%
じいさん5.3%
ぢいさん5.3%
をぢ5.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「どれ。」といいて立ったる折、のしのしと道芝を踏む音して、つづれをまとうたる老夫おやじの、顔の色いと赤きが縁近う入り来つ。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われはハヤゆうべ見し顔のあかき老夫おじせなに負われて、とある山路をくなりけり。うしろよりはかのうつくしき人したがい来ましぬ。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勿論小さな躓跌つまづきから大なる悲劇の主人公となツて行倒ゆきだふれとなツた事業家もあツたらうし、冷酷な世間から家を奪はれて放浪の身となツた氣の老夫おやぢもあツたらう。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
老夫らうふむしろはしに坐し酒をゑみをふくみつゞけて三ばいきつ舌鼓したうちして大によろこび、さらば話説はなし申さん、我廿歳はたちのとし二月のはじめたきゞをとらんとて雪車そりひきて山に入りしに
急にしんみりと、おこうは、涙ぐんで老夫おっとを見た。
どこに居た処で何のたのしみもねえ老夫じじいでせえ、つまらねえこったと思って、気が滅入めいるに、お前様は、えらいひとだ。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここに須佐の男の命、その河上に人ありとおもほして、ぎ上り往でまししかば、老夫おきな老女おみなと二人ありて、童女をとめを中に置きて泣く。ここに「汝たちは誰そ」と問ひたまひき。
老夫じいや、世話を焼かすねえ。堪忍しておくれ、よう、老夫や。」
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
船頭の老夫じいさんともの方に立上たちあがって、戕牁かしぐいに片手をかけて今や舟を出そうとしていながら、片手を挙げて、乗らないか乗らないかといって人を呼んでいる。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
船頭の老夫ぢいさんは艫の方に立上つて、戕牁かしぐひに片手をかけて今や舟を出さうとしてゐながら、片手を挙げて、乗らないか乗らないかと云つて人を呼んでゐる。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
もあるべし、たゞたぬきこゑは、老夫をぢみゝ蚯蚓みゝずたりや。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)