“おっと”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
良人74.7%
17.3%
押取2.5%
所天2.3%
良夫1.7%
所夫1.0%
0.2%
老夫0.2%
本夫0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『あの女が良人おっとも知合いも連れずに来てるのなら』とグーロフは胸算用をするのだった、『ひとつ付き合ってみるのも悪くはないな』
おっとのためによこしまになり、女が欺瞞にみちたものとなると見るならば、漱石はどうして直の心理のこの明暗を追って行かなかっただろう。
漱石の「行人」について (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
柳の蔭へ槍を隠して橋を渡ろうとした米友は、この声を聞くと共に、その槍を押取おっとって驀然まっしぐらに駈け出しました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
里子は怨霊の本体を知らず、たゞ母も僕も此怨霊に苦しめられて居るものと信じ、祈念の誠をもって母と所天おっとすくおうとして居るのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
『でも、あんな女。母とは、どうしても、慕われません。良夫おっとへは、不貞だし、子どもへの、愛もないし、自分の欲ばかりしか考えない……』
左すれは貴公の鑑定では先ず奸夫まおとこと見たのだナ奸夫かんぷが奸婦としのび逢て話しでも仕て居る所へ本統の所夫おっとの不意に帰って来たとか云う様な訳柄わけがらで(大)爾です全く爾です
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
さてまた牡丹がおっと文角ぶんかくといへるは、性来うまれえて義気深き牛なりければ、花瀬が遺言を堅く守りて、黄金丸の養育に、旦暮あけくれ心を傾けつつ、数多あまたこうしむれに入れて。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
妾がおっと月丸ぬしは、いぬる日猛虎金眸きんぼうがために、非業の最期を遂げしとは、阿姐も知り給ふ処なるが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
急にしんみりと、おこうは、涙ぐんで老夫おっとを見た。
炉を廻って、老夫おっとの前へ進んで
それが一般の評判になったので、表向おもてむきの罪人にこそならないけれども、御親類御一門も皆その奥様を忌嫌いみきらって、たれも快く交際する者もなく、はて本夫おっとの殿様さえも碌々ろくろくことばかわさぬくらい
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)