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おっと
ふりがな文庫
“
夫
(
おっと
)” の例文
たね子は
夫
(
おっと
)
の先輩に当るある実業家の令嬢の結婚
披露式
(
ひろうしき
)
の通知を貰った時、ちょうど勤め先へ出かかった夫にこう熱心に話しかけた。
たね子の憂鬱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夫
(
おっと
)
のために
邪
(
よこしま
)
になり、女が欺瞞にみちたものとなると見るならば、漱石はどうして直の心理のこの明暗を追って行かなかっただろう。
漱石の「行人」について
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
すると、
夫
(
おっと
)
が
病気
(
びょうき
)
にかかりました。
病気
(
びょうき
)
はだんだんと
重
(
おも
)
くなって、
医者
(
いしゃ
)
にみてもらうと、とても
助
(
たす
)
からないということでありました。
ちょうと三つの石
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「そのうちにはまたきっと好い事があってよ。そうそう悪い事ばかり続くものじゃないから」と
夫
(
おっと
)
を慰さめるように云う事があった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
するとだんだん
気
(
き
)
がふさいで、
病気
(
びょうき
)
になりました。それから八
月
(
つき
)
経
(
た
)
った
時
(
とき
)
に、
女
(
おんな
)
は
夫
(
おっと
)
の
所
(
ところ
)
へ
行
(
い
)
って、
泣
(
な
)
きながら、こう
言
(
い
)
いました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
▼ もっと見る
子もあまた
生
(
う
)
みたれど、すべて
夫
(
おっと
)
が食い
尽
(
つく
)
して一人此のごとくあり。おのれはこの地に一生涯を送ることなるべし。人にも言うな。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ちょうど、そこへ会所の使いが福島の役所からの
差紙
(
さしがみ
)
を置いて行った。
馬籠
(
まごめ
)
の
庄屋
(
しょうや
)
あてだ。おまんはそれを渡そうとして、
夫
(
おっと
)
を
探
(
さが
)
した。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
同じような
夫
(
おっと
)
の墓を思いながら、あちこちと春草の
萌
(
も
)
えだした中からタンポポやスミレをつんで
供
(
そな
)
えると、二人はだまって墓地を出た。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
夫
(
おっと
)
から
頬
(
ほお
)
を打たれ、父の所へ行ってそれを訴え、返報を求めて言った、「お父さん、私の夫に対して侮辱の仕返しをして下さい。」
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そうして、かわいくてたまらぬといったふうに、子供の
頬
(
ほほ
)
にキッスするだろう。そうして、
夫
(
おっと
)
と顔を見合わせてほほえむだろう。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
親方はわたしを
養母
(
ようぼ
)
の
夫
(
おっと
)
の手から買ったのです。あなたがたは親切にしてくだすったし、ぼくは心からありがたく思っています。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
で三人
夫
(
おっと
)
があれば三人の儲けて来た金を妻が皆受け取ってしまい、儲けようが少なかったとか何とかいう場合にはその妻から
叱言
(
こごと
)
をいう。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
一月一日の朝まだき、神々の御父ジュピタア様の宮殿へおまいりの途中で逢った三人目の男のひとを私の生涯の
夫
(
おっと
)
ときめよう。
懶惰の歌留多
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
姉たちは、それぞれ
夫
(
おっと
)
とつれ立ってやって来ました。およめに行ったものの、この姉たちは、いっこうたのしくくらしてはいませんでした。
ラ・ベルとラ・ベート(美し姫と怪獣)
(新字新仮名)
/
ガブリエル=シュザンヌ・バルボ・ド・ヴィルヌーヴ
(著)
けれども姉さんの思っている人を
夫
(
おっと
)
にしてはすまない訳でござりますから本来ならば
此処
(
ここ
)
へまいるのではござりませなんだが
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「わが背子」は、普通恋人または
夫
(
おっと
)
のことをいうが、この場合は御弟を「背子」と云っている。親しんでいえば同一に帰着するからである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
いや、その『ストゥペンヂエフ』というのは、その芝居の、芝居の登場人物なんですよ。つまりあの『田舍夫人』という芝居で『
夫
(
おっと
)
』の役割を
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ルイザはクラフト家の人たちの
優
(
すぐ
)
れていることを
文句
(
もんく
)
なしにいつも
認
(
みと
)
めていたから、
夫
(
おっと
)
と
舅
(
しゅうと
)
が
間違
(
まちが
)
っているなどとは
夢
(
ゆめ
)
にも思っていなかった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
商売人であればその日の取引を残らず
結了
(
けつりょう
)
することであり、一家の主婦なれば一日のあいだに
為
(
な
)
すべき
掃除
(
そうじ
)
なり料理なりその他
夫
(
おっと
)
に対する義務
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しかも、その手紙が、肝心な
夫
(
おっと
)
伝右衛門氏の手にはまだ渡っていないのに、新聞の方がさきへ発表したというので騒いだ。黒幕があるというのだ。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「現在の
夫
(
おっと
)
はまことの夫ではない。年を経たる
黒魚
(
こくぎょ
)
(
鱧
(
はも
)
の種類)の精である。おまえの夫はかの夜すでに黒魚のために食われてしまったのであるぞ」
中国怪奇小説集:16 子不語(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もし両者に軽重の区別があると言いますならば、天津神は父、国津神は母、天孫民族は
夫
(
おっと
)
、先住土着の民族は
婦
(
つま
)
の関係という位のところであります。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
母の声はハタとやんだ、彼女は目をうっとりさせて昔その
夫
(
おっと
)
が世にありしときの全盛な生活を回想したのであった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
父母寵愛して
恣
(
ほしいまま
)
に
育
(
そだて
)
ぬれば、
夫
(
おっと
)
の家に行て心ず気随にて夫に
疏
(
うとま
)
れ、又は舅の
誨
(
おし
)
へ
正
(
ただし
)
ければ堪がたく思ひ舅を
恨
(
うらみ
)
誹
(
そし
)
り、
中
(
なか
)
悪敷
(
あしく
)
成て終には追出され恥をさらす。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
でも、いよいよ小べやの戸の前に立ってみると、さすがに
夫
(
おっと
)
のきびしいいいつけを、はっとおもい出しました。
青ひげ
(新字新仮名)
/
シャルル・ペロー
(著)
はい、私の
良人
(
やど
)
が帰りませんから、尋ねて参りますのでございますが、
仮令
(
たとえ
)
夫
(
おっと
)
に
𢌞
(
めぐ
)
り逢いましても、一人の娘を
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もし五十川のおばさんがほんとうに自分の
改悛
(
かいしゅん
)
を望んでいてくれるなら、その記事の中止なり訂正なりを、
夫
(
おっと
)
田川の手を経てさせる事はできるはずなのだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
むかしは熊野の
梛
(
なぎ
)
は全国に聞こえ渡れる名木で、その葉をいかに強く
牽
(
ひ
)
くも切れず、
夫
(
おっと
)
に離れぬ守りに日本中の婦女が便宜してその葉を求め鏡の裏に保存し
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
わたしは
妻
(
つま
)
や
夫
(
おっと
)
や
両親
(
りょうしん
)
や、かわいらしい天使のようなこどもたちの間にも、まさかとおもわれるようなことが、行われているのを見ました。——またわたしは
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
とお政は早や声をくもらして、四
苦
(
く
)
八
苦
(
く
)
に気もみする。
夫
(
おっと
)
にすこし客の
相手
(
あいて
)
をしていてくれと
頼
(
たの
)
めば源四郎は「ウンウン」と
返事
(
へんじ
)
はしても、立ちそうにもせぬ。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
トルストイの妻は
其
(
その
)
夫
(
おっと
)
をルーブルにして置かねばならぬ程貧しい者でしょう乎。トルストイの子女は、其父を食わねば生きられぬ
程
(
ほど
)
腑甲斐
(
ふがい
)
ないものでしょう乎。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
お
上
(
かみ
)
さんの
葛
(
くず
)
の
葉
(
は
)
は、
子供
(
こども
)
の
世話
(
せわ
)
をする
合間
(
あいま
)
には、
機
(
はた
)
に
向
(
む
)
かって、
夫
(
おっと
)
や
子供
(
こども
)
の
着物
(
きもの
)
を
織
(
お
)
っていました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
夫
(
おっと
)
への愛の冷めたアンナ・カレーニナにとって、なにより厭でならなかったのは夫の耳だったという話を思い出して、彼は『本当だ、あれはじつに本当だ』と思った。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
夫
(
おっと
)
立会いの上で
身体
(
からだ
)
を
審
(
しら
)
べてみたら、案の定、乳の下の帯の間から、失くなった珊瑚が出てきた。
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お千代の方では公然
夫
(
おっと
)
の許可を得て心に
疚
(
やま
)
しいところがなくなったのみならず、夫のために働くのだということから
羞耻
(
しゅうち
)
の念が薄らいで、心の
何処
(
どこ
)
かに誇りをも感じる。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
また他の一例は
夫
(
おっと
)
たる
帝
(
みかど
)
が悲嘆に沈まれているにかかわらず、お側にも侍らで、月おもしろき夜に夜ふくるまで音楽をして遊ぶ
弘徽殿
(
こきでん
)
のごとき人である(同一一六四)。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
もし
御意
(
みこころ
)
ならば我をして再びわが
夫
(
おっと
)
の家に帰らしめよ、もちろん我は爾を捨ててわが夫に帰る能わざるなり、これ爾に対して罪なるのみならずわが夫に対して不貞なればなり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
と言って
慄
(
ふる
)
え上った瞬間に眼前にひらめいた
先
(
せん
)
の
夫
(
おっと
)
文之丞のことはどうだろう、木刀の一撃にその人が無残の
最期
(
さいご
)
を
遂
(
と
)
げた時、お浜という女はその人のために、どれだけ悲しみ
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
但
(
ただ
)
し女としては
早晩
(
そうばん
)
夫
(
おっと
)
を持つべきはずの者なれば、もし妾にして、夫を
撰
(
えら
)
ぶの時機来らば、威名
赫々
(
かくかく
)
の
英傑
(
えいけつ
)
に配すべしとは、これより先、既に妾の胸に
抱
(
いだ
)
かれし理想なりしかど
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
細君はうれしさのあまり長い白い
脛
(
すね
)
をちょっとあらわして、束になってくずれている
錦絵
(
にしきえ
)
をまたぎ、安心とうらめしさとがいっしょになって堅くなった表情を向けながら一枚の絵を
夫
(
おっと
)
に渡した。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
いとしき
妻
(
つま
)
夫
(
おっと
)
、愛児の臨終にさえ、いろ/\な事情や境遇のために、居合わさぬ事もあれば、間に合わぬ事もあるのに、ホンの三十分か四十分の
知己
(
しりあい
)
、ホンの
暫時
(
ざんじ
)
の友人、云わば路傍の人に過ぎない
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その私が、どうして彼女の
夫
(
おっと
)
として返事してやる事が出来よう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だけれどその指図をなさる
夫
(
おっと
)
が、オリムポスの8580
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「
私
(
わたし
)
は、いちばん
最後
(
さいご
)
におまえと
別
(
わか
)
れたのだ。おまえは
私
(
わたし
)
といっしょに、あの
世
(
よ
)
へゆくのがほんとうだ。」と、
第
(
だい
)
三の
夫
(
おっと
)
がいいました。
ちょうと三つの石
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
柔順であった妻君が、ある事情のもとに、急に
夫
(
おっと
)
に反抗して、今までに夢想し得なかった女丈夫になるというような例であります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女房が自然と正気に
復
(
かえ
)
った時には、
夫
(
おっと
)
も死ねなかったものとみえて、
濡
(
ぬ
)
れた衣服で岸に上って、傍の老樹の枝に首を
吊
(
つ
)
って自ら
縊
(
くび
)
れており
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
狭い狭い台所で、水のはねる音を小うるさくききながら、
夫
(
おっと
)
や舅の戻らないうちにと、筆の先に視力を集めて、はかの行かない筆を運ばせた。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「あの男は、たしかにふたつの問題はときました。でも、〈
命
(
いのち
)
の木〉からリンゴをひとつとってこないうちは、あたしの
夫
(
おっと
)
にはなれません。」
白ヘビ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
わたし自身については、せいぜい両親のないこと、親方が前金で
養母
(
ようぼ
)
の
夫
(
おっと
)
に金をはらってわたしをやとったこと、それだけしか言えなかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
一家をあげて江戸に移り住むようになってからは、
夫
(
おっと
)
を助けてこの都会に運命を開拓しようとしているような
健気
(
けなげ
)
な婦人だ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“夫”の意味
《名詞》
(おっと、古・つま)男性の配偶者。
(出典:Wiktionary)
“夫”の解説
夫 (おっと)は、結婚している男性を指す。配偶者(妻)や家族との関係や、社会的、法的な位置づけは時代や文化によって多様である。
(出典:Wikipedia)
夫
常用漢字
小4
部首:⼤
4画
“夫”を含む語句
大丈夫
丈夫
夫婦
情夫
夫人
老夫
車夫
漁夫
大夫
太夫
猟夫
樵夫
水夫
密夫
豈夫
鰥夫
夫婦喧嘩
武夫
女丈夫
入夫
...