老翁じじい)” の例文
上ではんなこととも知らないのであろう。大勢が声を揃えて市郎の名を呼んでいた。其中そのなかには塚田巡査のびた声も、七兵衛老翁じじい破鐘声われがねごえまじって聞えた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
塚田巡査は町の者共を従え、市郎は我家の職人や下男げなんを率いて、七兵衛老翁じじいに案内させ、前後二手に分れて現場げんじょう駈向かけむかった。夜の平和は破られて、幾十の人と火とが、町尽頭まちはずれの方へ乱れて走った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)