怡々いそいそ)” の例文
静子は、逢つたら先づ話して置かうと思つてゐたことも忘れて、この夏は賑やかに楽く暮せると思ふと、もう怡々いそいそした心地になつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
反ッてお婿さんがきまって怡々いそいそしているようだった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
『アラ今日被来いらしつたの。明日かと思つたら。』と、静子は吉野に会釈して怡々いそいそ下女の後から出て行く。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
月給を貰つた為に怡々いそいそして早く帰るなどと、思はれたくなかつたのだ。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
蒸す様な草いきれと、乾いた線路の土砂つちの反射する日光とで、額は何時しか汗ばんだ。静子の顔は、先刻さつき怡々いそいそした光が消えて、妙に真面目に引緊つてゐた。小妹共はモウ五六町も先方さきを歩いてゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)