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ふりがな文庫
“
邦
(
くに
)” の例文
戦争以来日本にも
其辺
(
そこら
)
ぢゆうに成金が殖えたが、万事が吾が
邦
(
くに
)
よりもずつと大袈裟な米国では、その殖え方が一段とづば抜けてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
もちろん海抜六百尺をもって最高点となすユトランドにおいてはわが
邦
(
くに
)
のごとき
山国
(
やまぐに
)
におけるごとく洪水の害を見ることはありません。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
牝鶏の
晨
(
しん
)
するを女が威強くなる
兆
(
きざし
)
として
太
(
いた
)
く忌んだが、近頃かの
邦
(
くに
)
の女権なかなか盛んな様子故、牝鶏が時作っても怪しまれぬだろう。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
スイセンは水仙を
音読
(
おんどく
)
した、そのスイセンが今日本の普通名となっているが、昔はわが
邦
(
くに
)
でこれを
雪中花
(
せっちゅうか
)
と呼んだこともあった。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
わが
邦
(
くに
)
で狐や狸に
憑
(
つ
)
かれたという者が、その獣らしい挙動をして、傍の者を信ぜしめるのと、最もよく似た精神病の兆候である。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
私は、それまでは世の中がどういう風に進んでいるのか、我が
邦
(
くに
)
の美術界がどんな有様になっているのか、実の所一向知りませんのでした。
幕末維新懐古談:45 竜池会の起ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
されば我が中世の語には、当時の地理上の知識において、我が
邦
(
くに
)
の最東に在りと認めた奥州を以て、日の本と呼ぶ例であった。
国号の由来
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
いづれの
邦
(
くに
)
にも
古話
(
むかしばなし
)
といふものありて、なかなかに近き
頃
(
ころ
)
の小説家などの作り設くとも及びがたきおもしろみあるものなり。
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
わが
邦
(
くに
)
皇統連綿、天地と
極
(
きわまり
)
なし。しかして上世の
史
(
ふみ
)
を
閲
(
けみ
)
するに、天孫降臨すというもの、これを今日に
徴
(
ちょう
)
すれば、はなはだ疑うべきがごとし。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
衛霊公篇では
邦
(
くに
)
を治める仕方についての顔淵の問いに対して、孔子が夏の暦、殷の車、周の冠、舜の楽などをもって答える。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
正
(
まさ
)
にこれ百万の
妖鯨
(
ようげい
)
濤
(
なみ
)
を蹴りて飛ぶ。英国が戦勝の威に乗じて、我
邦
(
くに
)
に来り
逼
(
せま
)
るは、特に識者を待ってこれを知らざるなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
一二五頁「花冠」は詩人が
黄昏
(
たそがれ
)
の途上に
佇
(
たたず
)
みて、「活動」、「楽欲」、「
驕慢
(
きようまん
)
」の
邦
(
くに
)
に漂遊して、今や帰り
来
(
きた
)
れる幾多の「想」と相語るに擬したり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
この国のやき物は東洋のを
粉本
(
ふんぽん
)
にしつといえど、染めいだしたる草花などの色は、わが
邦
(
くに
)
などのものに似もやらず。
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
余は日本を愛するが故に、日本が無趣味の
邦
(
くに
)
となり果つるを好まぬ。余は
京畿
(
けいき
)
を愛する故に、所謂文明に乱暴されつゝある京畿を見るのが苦痛である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
然れども、これ国を誤まるの
蠹虫
(
とちゅう
)
なり(拍手、喝采)。諸君はその宋儒の学問が支那と我
邦
(
くに
)
の元気を遅鈍にし、為めに一国の
衰弊
(
すいへい
)
を致せしを知るならん。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
世の人はたゞ我れをぞ笑ひ指さすめる、
邦
(
くに
)
も夏もおだやかにすなほに我やらむといふ処、虎之助がやらむといふ処にだにしたがはゞ何条ことかはあらむ
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
わが
邦
(
くに
)
においては道徳に関する文字は漢語より成るもの多きがゆえに、学問なければ、道も
修
(
おさ
)
め
得
(
え
)
ぬ心地す。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
一端
(
いったん
)
知ってみれば、すぐかれがわが
邦
(
くに
)
文芸道の第一人者ということが分ったね。実は驚いているところさ。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
いろいろの
邦
(
くに
)
と交通し各国の文物をとりいれて、独自の文化を築きあげてきた、こんどは単に三百年の鎖国を解くだけのことだ、しかし、ただ一つだけ問題がある
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
昭和十六年から十九年迄四年続けて四月五日に伊豆の
網代
(
あじろ
)
へ海釣に行つた。この海釣は私の記念日ではなく、佐々木
邦
(
くに
)
さんと益田甫さんの鯛供養の記念日なのである。
釣十二ヶ月
(新字旧仮名)
/
正木不如丘
(著)
「みな、わたくしの臣ならず、一藩のものではない。世の
大民草
(
おおたみくさ
)
よ、栄えあれや、この
邦
(
くに
)
とともに」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幹
(
みき
)
邦
(
くに
)
子が、夫の利吉雄を捨てて、誰かと欧羅巴へ駆落ちをしたというたいへんな評判で、新聞社の巴里と
倫敦
(
ロンドン
)
の支局は、本社からの命令で執拗に邦子の足どりを追及した。
野萩
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そしてわが
邦
(
くに
)
江戸時代、封建の夢三百年の時代は正に世界にその比を見ない程あらゆる点でその趣味生活を深めるに好都合の時代であり、また国柄であり、また、国民性であった。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
思想簡単なる時代には美術文学に対する
嗜好
(
しこう
)
も簡単を尚ぶは自然の趨勢なり。我
邦
(
くに
)
千余年間の和歌の如何に簡単なるかを見ば、人の思想の長く発達せざりし有様も見え透く心地す。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そこは、この
邦
(
くに
)
に
於
(
お
)
ける最も華やかな、最も多彩な「夏」をもって知れている。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
子路が納得し難げな顔色で立去った時、その後姿を見送りながら、孔子が
愀然
(
しゅうぜん
)
として言った。
邦
(
くに
)
に道有る時も直きこと矢のごとし。道無き時もまた矢のごとし。あの男も衛の
史魚
(
しぎょ
)
の類だな。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
維典堡〈(ウヰンテンボルグ)〉人西勃土〈(シーボルド)〉氏(
訳
(
わけ
)
がありて)荷蘭人となり、わが長崎へ
来
(
きた
)
り、わが
邦
(
くに
)
の草木を
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
へ
携
(
たずさ
)
え帰り、現今かの諸国に
伝播
(
でんぱ
)
しおるは、おおむね
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
ケムブリッヂは学問の府として遠くわが
邦
(
くに
)
にも聞えたれば、そのいづれにか
赴
(
おもむ
)
かんと心を
煩
(
わずら
)
はすうち、幸ひケムブリッヂにある知人の
許
(
もと
)
に招かるるの機会を得たれば、観光かたがた
彼
(
かの
)
地へ下る。
『文学論』序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これぞ——つい
此
(
こ
)
の
間
(
あひだ
)
なく
成
(
な
)
つた——
妹
(
いもうと
)
のお
邦
(
くに
)
さん、はら/\と
出
(
で
)
て
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
余常に『
伊勢物語
(
いせものがたり
)
』を以て国文中の真髄となし、芭蕉と蜀山人の吟咏を以て江戸文学の精粋なりとなせり。もしこれに注釈を施すとせんか正にわが
邦
(
くに
)
古今の文学に
渉
(
わた
)
りて論ぜざるべからざるべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
明治五年学制発布
爾来
(
じらい
)
、我が
邦
(
くに
)
教育事業
駸々乎
(
しんしんこ
)
として進み、
上
(
うえ
)
、大学より、
下
(
した
)
、幼稚園に至るまで、学校の設備大いに整頓し、教授の方法
頗
(
すこぶ
)
る発達し、明治二十三年教育勅語を
下
(
くだ
)
し賜うに及んでや
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
受けてこれを読むに、けだし近時英国の
碩学
(
せきがく
)
スペンサー氏の万物の追世化成の説を祖述し、さらに創意発明するところあり。よってもってわが
邦
(
くに
)
の制度文物、異日必ずまさになるべき云々の状を論ず。
将来の日本:03 再版の序
(新字新仮名)
/
中江兆民
、
中江篤介
(著)
得たからです。それは貴国の山水、植物の類が実に我が国のものに似たばかりでなく、貴国一般の国民は我が
邦
(
くに
)
の同胞に甚だよく似て居りますから、私は山路の困難も忘れて大いに
悦
(
よろこ
)
んだ訳でございます
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
Mitily の
邦
(
くに
)
の悲哀を思わせる
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
憎しみの眼をもて
瞰
(
にら
)
むかの
邦
(
くに
)
を。
エロディヤッド
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
右のオカトトキを昔はアサガオと呼んだとみえて、それが僧
昌住
(
しょうじゅう
)
の
著
(
あらわ
)
したわが
邦
(
くに
)
最古の辞書である『
新撰字鏡
(
しんせんじきょう
)
』に
載
(
の
)
っている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
これは英国で、
蝸牛
(
かたつむり
)
や牛肉や
林檎
(
りんご
)
に
疣
(
いぼ
)
を移し、わが
邦
(
くに
)
でも、鳥居や
蚊子木葉
(
いすのきのは
)
に疣を伝え去るごとく、頸の腫れを蛇に移すのだ。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
わが
邦
(
くに
)
の開発が一般に東部
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
などと違って、最初から甚しく収約的であり、村は自然に各自の周辺に向って成長して
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかれどもわが
邦
(
くに
)
将来情勢の赴くところ、勢いいかんともなすべからざるを知るなり。余は単純なる民主論者にあらず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
自分なぞはいわゆる茶の湯者流の儀礼などは
塵
(
ちり
)
ばかりも知らぬ者であるけれども、利休がわが
邦
(
くに
)
の趣味の世界に与えた恩沢は今に
至
(
いたっ
)
てなお存して
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
物の弊あるは物の
性
(
せい
)
なり。聖人といえども
予
(
あらかじ
)
めこれが
備
(
そなえ
)
をなす
克
(
あた
)
わざるなり。
羅瑪
(
ローマ
)
の
邦
(
くに
)
を復するや教門の力により、その敗るるやまた教門によれり。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
この国のやき物は東洋のを
粉本
(
ふんぽん
)
にしつといへど、染いだしたる草花などの色は、我
邦
(
くに
)
などのものに似もやらず。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
我が
邦
(
くに
)
には西洋語にては言いにくき便利なる言葉がある。そのなかに「何々しやあがった」というのは一つである。また「何々をしてやった」というも一例である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「これは、支那やわが
邦
(
くに
)
でいう九年母とはいささか違う。南蛮蜜柑ともいう木の実であろう」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
否
(
いや
)
でも
応
(
おう
)
でも境遇に我等は支配される。我々の
邦
(
くに
)
では一切の事が兎角徹底せぬわけである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
思想簡単なる時代には美術文学に対する
嗜好
(
しこう
)
も簡単を尚ぶは自然の
趨勢
(
すうせい
)
なり。わが
邦
(
くに
)
千余年間の和歌のいかに簡単なるかを見ば、人の思想の長く発達せざりし有様も見え透く心地す。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
余は本校に向て望む、十数年の
後
(
の
)
ち
漸
(
ようや
)
くこの専門の学校を改良前進し、邦語を以て我が子弟を教授する大学の位置に進め、我
邦
(
くに
)
学問の独立を助くるあらんことを(謹聴々々、大喝采)。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
(十)
子禽
(
しきん
)
、子貢に問いて曰く、夫子のこの
邦
(
くに
)
に至るや必ずその政を聞けり。(夫子)
之
(
これ
)
を求めたるか、
抑
(
あるい
)
(或)は(人君)之を与えたるか。子貢曰く、夫子は
温良恭倹譲
(
おんりょうきょうけんじょう
)
もて之を得たり。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
先生はわが
邦
(
くに
)
歴史のうちで、
葡萄牙
(
ポルトガル
)
人が十六世紀に始めて日本を発見して以来織田、豊臣、徳川三氏を経て島原の内乱に至るまでの間、いわゆる西欧交通の初期とも称して
然
(
しか
)
るべき時期を
択
(
えら
)
んで
マードック先生の『日本歴史』
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
眼路
(
めぢ
)
のあなたに生ひ茂げる
無花果
(
いちじゆく
)
の森、
象
(
きさ
)
の
邦
(
くに
)
。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
邦
常用漢字
中学
部首:⾢
7画
“邦”を含む語句
本邦
合邦
異邦
我邦
邦家
邦人
隣邦
異邦人
劉邦
邦内
邦土
邦訳
税所邦之助
雅邦
史邦
邦楽座
吾邦
久米邦武
忠邦
邦俗
...