“郷國(くに)” の例文
新字:郷国
……で、二人で湯を沸して、飯を喰ひ乍ら、僕は今から乞食をして郷國(くに)へ歸る所だツて、何から何まで話したのですが、天野君は大きい涙を幾度も/\零(こぼ)して呉れました。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
石本君、生別又兼死別時(せいべつまたかねしべつのとき)、僕は慇懃に袖を引いて再逢(さいほう)の期を問ひはせん。君も敢てまたその事を云ひ給ふな。ただ別れるのだ。別れて君は郷國(くに)へ歸り、僕は遠い處へ行くまでだ。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
君が赤裸々で乞食をして郷國(くに)へ歸るといふのは、無論遺憾な事だ、然し外に仕方が無いのだから、僕も賛成する。尤も僕が一文無しでなかつたら、君の樣な身體の弱い男に乞食なんぞさせはしない。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)