“たび”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:タビ
語句割合
40.3%
足袋27.9%
25.1%
2.4%
旅行1.9%
0.4%
0.4%
他国0.1%
放浪0.1%
地方0.1%
手火0.1%
他郷0.1%
0.1%
旅寓0.1%
旅所0.1%
旅路0.1%
異郷0.1%
0.1%
踏皮0.1%
都度0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのわすがたあぢかされて、ことくが——たび思出おもひだしては、歸途かへりがけに、つい、かされる。——いつもかへとき日暮ひぐれになる。
長岡家に養われてからは、なり振りも小綺麗に、前髪もきちんとって、伊織は、奉公人らしくなく、足袋たびまで白いのを穿いていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうすればきもは、あのたび薬屋くすりやたかれるし、にくは、むらじゅうのものでたべられるし、かわかわで、おかねにすることができるのだ。
猟師と薬屋の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
……たびに、銀杏返いてふがへしくろあたまが、縦横たてよこはげしくれて、まんまるかほのふら/\とせはしくまはるのが、おほき影法師かげばうしつて、障子しやうじうつる……
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たれでも左樣さうだが、戰爭いくさ首途かどでとか、旅行たび首途かどですこしでもへんことがあれば、多少たせうけずにはられぬのである。
しかれども富貴を得て、天が下の事一たびは此の人に一四五ざす。一四六任ずるものをはづかしめていのちおとすにて見れば、文武を兼ねしといふにもあらず。
一所に花柘榴ざくろの木があって、赤い蕾が珠のように、枝に点々とつづられていたが、その中の二、三たびのような花弁を、恥ずかしそうにはみ出させていた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
他国たび人間もんと思って軽蔑するか。一人と思うて侮るか。サア鰤をば返せ。返されんチ云うなら二人とも警察まで来い。サア来い」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
元来この棕梠箒売という人種は、日本中、どこへ行っても他国たびの者が多い。従ってどことなく言葉癖が違っている上に、根性のヒネクレた人間が珍らしくない。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ブリヂット そんなに長く放浪たびをしていてそんなに弱りもしないのは不思議だわねえ。
マイケル 放浪たびをしていたら寂しいだろうね、おばあさん?
匆々そうそうしかし地方たびは有難くない。——そうした、ぞんきな、一すじな料簡をもつことにおいて西巻はかれより二十幾つも若い田代と相如あいしくものがあった。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
会社では地方たびへ出すつもりでいたのを師匠が強情張って無理にあけさせた本郷の芝居、それがあんまりぞっとした景気をみせなかったのである、従ってそこに、師匠と会社との間に
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
やがて、琴と笛と法螺ほらとがゆるやかに王宮のほこだちの方から響いて来た。十人の大夫だいぶ手火たびをかかげて白洲の方へ進んで来た。続いて、はたぼこを持った三人の宿禰すくねが進んで来た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
群衆はよろこびの声を上げつつ彼らの後に動揺どよめいた。手火たび松明たいまつが入り乱れた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
あれはどんなに酔払っても俺にもそんな話はしないが、俺はこのごろになってようよう、彼がああして家を出て他郷たびで商売をする気になった心持が解ったよ。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
前にたびたび出て来ているアンドリウス氏と、ハリイ・ジョンソン。
アリゾナの女虎 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
孤客の旅寓たびに宿泊するが如し
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ねえ加賀田さん、学校では好きぢやないかたも交つて遊ぶのですから、私それよりもいゝことはないかと考へましたの、あのおひるに帰りました時ね、学校の太鼓のなるまでお旅所たびの処の大きい燈籠とうろうへ上つて遊ばないこと。」
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
昨日きのふまでは經廻へめぐ旅路たびいくときたのしきときかたらふひととては一人ひとりもなく、あした明星めうぜうすゞしきひかりのぞみ、ゆふべ晩照ゆふやけ華美はなやかなる景色けしきながむるにもたゞ一人ひとりわれ吾心わがこゝろなぐさむるのみであつたが
そればかりか、この頃では、おつかさんまであたしにきつう眼を見張るやうになつたんだもの。ほんとのことを言へば、あたし異郷たびにゐた時の方がよつぽど楽しかつたと思ふわ。
御つぎにてたび候か、又御またせ候てのちに御さかな給候て、くこん給候べく候
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
横幅廣く結ひ下げて、平塵ひらぢりの細鞘、しとやかに下げ、摺皮すりかは踏皮たびに同じ色の行纏むかばき穿ちしは、何れ由緒ゆゐしよある人の公達きんだちと思はれたり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
そうするとその都度たびに胸が微かにドキドキして、顔がポーッと火熱ほてるような気がしたのは今から考えても不思議な現象であった。
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
またたびの焦ぐるも知らね
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)