“よそ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヨソ
語句割合
他所32.5%
余所20.8%
10.8%
他家8.9%
他処6.5%
5.6%
餘所2.4%
2.2%
余処1.3%
1.3%
(他:50)7.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたしのせいじゃなかったか知らん。男ってものは時々他所よそへ泊らせないと、いけないものかも知れない」……と……。
奥様探偵術 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「お民さんが来てから、何となく勝手が違って、ちょっと他所よそから帰って来ても、何だか自分の内のようじゃないんですよ。」
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひとしきり自分の体に着くものと決まっていた数ある衣類も、叔父に言われて、世帯の足しに大方余所よそへ持ち出してしまった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
うまつき心配性な彼は、細君のうなり声を余所よそにして、ぶらぶら外を歩いていられるような男ではなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
高瀬は浅黄の股引ももひきに、尻端を折り、腰には手拭をぶらさげ、憂鬱な顔の中に眼ばかり光らせて、よそから帰って来た。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
蕎麦屋そばやではないが、誰かひとりが、蕎麦切が食いたいと云うので、よそから蕎麦切を取り寄せて食べていたのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうせこの家の主婦として運命付けられた以上、他家よその嫁じゃないという気になって再び立上る勇気も出て来るのであります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
私は、確かに自宅で使ってる手拭だと判ってるので安心したのです。之が他家よそのでは又別に考え直さなけりゃなりません。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
または過去の自分の態度が間違っていたのであろうか、それならば悩んだ富子の魂を他処よそに見るべきであったろうか。
囚われ (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
このとんぼはその当時でも他処よそではあまり見たことがなく、その後他国ではどこでも見なかった種類のものである。
郷土的味覚 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さればこの水上にもを載せ酒をむの屋形船なく、花をよそなる釣舟といかだかもめとを浮ばしむるのみ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
細君は「虎」にこだわる良人をつとの心持とは違つて、「よそへ行くより」と云ふ言葉に、一種の意味を持たせて賛成した。
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
おつぎは勘次かんじがさういはれるとき何時いつあかかほをして餘所よそいてしまふのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかし滋幹は、自分のたねちがいの弟に当る中納言敦忠あつたゞに対しては、餘所よそながら深い親愛の情を寄せていた。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
が、こう云う場合には粟野さんに対する礼儀上、当惑とうわくの風をよそうことに全力を尽したのも事実である。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
内儀は私に少し濡れた羽織を脱がせて、真佐子に切炉の火でさせ乍ら、自分は私に飯をよそつて呉れてゐた。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
然るに此男子をば余処よそにして独り女子を警しむ、念入りたる教訓にして有難しとは申しながら、比較的に方角違いと言う可きのみ。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
我輩は右の話を聞て余処よその事とは思わず、新日本の一大汚点を摘発せられて慚愧ざんきあたか市朝しちょうむちうたるゝが如し。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
骸骨がいこつの上をよそうて花見かな」(鬼貫)とはいうものの、花見に化粧して行く娘の姿は美しいものです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
左には同じ草原の細い山稜が直ぐ黒木をよそうて、縦に見る所為せいか奥深く霧の裡にぼうっと溶け込んでいる。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
内儀は私に少し濡れた羽織を脱がせて、眞佐子に切爐の火でさせ乍ら、自分は私に飯をよそつて呉れてゐた。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
博士が、「まあ、御膳がよそつてあるのだから、早くおべ」と云ふと、玉ちやんは行儀好く膳の前に据わる。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
これはわたし一人ひとりものだとめてまするに、旦那だんなさまが他處よそからでもおかへりになつて
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
留守るす他處よそからお使つかひがれば、どんな大至急だいしきふ要用えうようでもふうといふをつたこと
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
でき得べくんば、他人よそさまへ——というはらを、みんなが持っている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
膝頭ひざがしらの抜けたを辛くも埋めつづった股引ももひきばかりわが夫にはかせおくこと、婦女おんなの身としては他人よその見る眼も羞ずかしけれど、何にもかも貧がさする不如意に是非のなく
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今日私を他郷よそへ流転の旅に送出おくりだそうとした中谷が来ているのだ。
流転 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
一八一五年の末に、一人のある他郷よその男がやってきて、その町に住み、そしてその製造法にふと考案をめぐらして、樹脂の代わりに漆を用い、また特に腕輪には、はんだづけにした鉄環てつわの代わりにただめ込んだ鉄環を使った。
「アア、あの黒い紀州犬。あの犬じゃ、いくら城太郎さんでもかなうまいよ。いつかも、お城の中へ忍び込もうとした他国よその隠密の者が噛み殺されたというくらいな犬だもの」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いいや、八裂きにしても飽き足らぬ奴。他国よそ者か、家中の者か」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
御米は女だけに声を出して笑ったが、御櫃おはちふたを開けて、夫の飯をよそいながら、
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この居士は茶碗を出して、宜道に飯をよそってもらうとき、はばかり様とも何とも云わずに、ただ合掌がっしょうして礼を述べたり、相図をしたりした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
七光なゝひかりどころか十光とひかりもして間接よそながらのおんぬとははれぬにらからうとも一つはおやためおとゝため
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
七光どころか十光とひかりもして間接よそながらの恩を着ぬとは言はれぬにらからうとも一つは親の為おととの為、太郎といふ子もあるものを今日までの辛棒がなるほどならば、これからとて出来ぬ事はあるまじ
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
浮世をよそに振りすてゝ越えし鈴鹿や神路山、かたじけなさに涙こぼれつ、行へも知れず消え失する富士のけぶりに思ひをよそへ、鴫立沢しぎたつさはの夕暮につゑとゞめて一人歎き
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
この窟上下四方すべて滑らかにして堅き岩なれば、これらの名は皆そのたかく張り出でたるところを似つかわしきものによそえて、昔の法師らの呼びなせしものにて、窟の内に別に一々岩あるにはあらず。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
年代や大いさよりいうも、珍種の分布上より見るも、本邦の誇りとすべきところなる上、古帝皇将相が熊野詣りごとに歎賞され、旧藩主も一代に一度は必ずその下をよぎりて神徳を老樹の高きによそえ仰がれたるなり。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
よそへんばかり、われわれも
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
もはや国家の一大変と申すものにつき、清末、岩国に走るも苦しからず、おそれながら君公へ与訴よそも苦しからず。
成程、夕顔の浴衣を着た、白い顔の眉の上を、すぐに、すらすらと帆が通る……と見ただけでも、他事よそながら、しんし、荷高似内のする事に、挙動ふるまいの似たのが、気とがめして、浅間しく恥しく、我身を馬鹿とののしって、何も知らないお京の待遇もてなしを水にした。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勘五郎 (なお震えながら)滅多なこというな。そりゃ、皆他村よその衆じゃ。
義民甚兵衛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
近所の小学校の校長たちがむずかしい顔をして控えている前へいって試験されるので、なるべく級の中から出来そうなのが前の方にならび、他校よその校長の眼の前でやった。
検査場で見た他楼よその花魁の美醜よしあし、検査医の男振りまで評し尽して、後連あとれんとさし代われば、さし代ッたなりに同じ話柄はなしの種類のかわッたのが、後からも後からも出て来て
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
仔細しさいこそあれとは覚ゆれど、例のこの人の無愛想よ、と満枝はよそに見つつもあはれ可笑をかしかりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼はこの長者のくるしめるをよそに見かねて、貫一が枕に近く差寄りてうかがへば、涙の顔をしとね擦付すりつけて、急上せきあげ急上げ肩息かたいきしてゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
はや四十よその年月かさね、
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
えにしこそ四十よその年月。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あの皮肉屋の、気取屋の趙が、いつもの外出よそ行きをすっかり脱いで——前にも言ったように、これ迄にも時として、そういう事もないではなかったが、今夜のような正直な激しさで私を驚かせたことはなかった。
虎狩 (新字新仮名) / 中島敦(著)
腐っているのではないか」腸蔵「腐りもするはずだ、正月のおセチにするって十日も前にこしらえておじゅうへ詰めておいたのだもの。せめて玉子でも新らしければ少しは持つけれども、二月ふたつきも前に外所よそから貰った到来物とうらいものの玉子だ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
月はあったが山路には巨木、……大木老木權木類が、空を被い四辺あたりを暗め、月光を遮っているがために、二人の姿は外方よそから見ては、ほとんど見ることが出来なかった。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そうサ、今じゃア鬼のようなつらをして、血のたれるビフテキを二口に喰って了うんだ。ところが先生僕と比較するとはじめから利口であったねエ、二月ばかりも辛棒していたろうか、ある日こんな馬鹿気たことは断然よそうという動議を提出した、その議論は何も自からこんな思をして隠者になる必要はない自然と戦うよりかむしろ世間と格闘しようじゃアないか、馬鈴薯よりか牛肉の方が滋養分が多いというんだ。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)